チュートリアル 4701

プログラマブムロジックコントローラ(PLC)およびメインシステムモジュールの動作機能の概要

筆者: Hugh Wright

要約: このアプリケーションノートは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)の詳細な入門書を提供します。ファクトリオートメーションにおける歴史とPLCの役割の概要から始まります。PLC動作の基本原理が論じられます。インダストリアルコントロールシステムのコアモジュールとしての、アナログ入力機能、アナログ出力機能、分散制御(フィールドバス)インタフェース、ディジタル入力と出力(I/O)、CPU、および絶縁電源について検討されます。ファンクションブロックダイアグラムと推奨ディバイスについて、機能ごとに説明されます。

概要

プログラマブルロジックコントローラ(PLC)は、この数十年間、ファクトリオートメーションと産業用プロセス制御において不可欠な要素となっています。PLCは、単純な照明機能から環境システムや化学処理プラントに至るまで、幅広いアプリケーションを制御しています。これらのシステムは、アナログとディジタルの豊富な入出力インタフェース、信号処理、データ変換、およびさまざまな通信プロトコルを備えており、多くの機能を遂行しています。PLCのすべての部品と機能は、特定のタスクを実行するようにプログラムされているコントローラのまわりに集中化されています。

PLCs in factory automation.

基本的なPLCモジュールは充分に柔軟でなくてはならず、さまざまな工場やアプリケーションにおける多様なニーズに応えるように構成することができる必要があります。入力刺激(アナログまたはディジタル)は、機械、センサー、またはプロセスの事象から電圧または電流の形でもたらされます。PLCは入力刺激を正確に解釈してCPU用に変換する必要があり、CPUは、出力システム に対する一連の命令を定義し、これによって工場の現場やその他の産業環境に配置されたアクチュエータを制御します。

近代のPLCが1960年代に導入されてから数十年の間、一般的な機能と信号経路の流れはほとんど変わっていません。ただし、21世紀のプロセス制御には、より高性能、より小型、かつより柔軟な機能性など、新しくてより厳しい要求がPLCに対して求められるようになっています。また、苛酷な産業環境においてシステムに悪影響を与える可能性がある、静電放電(ESD)、電磁妨害と無線周波数干渉(RFI/EMI)、および高振幅の過渡パルスに対する保護機能を内蔵している必要があります。

堅牢な設計

PLCはインダストリアルの環境で何年にも渡って故障なく動作し続けることが期待されていますが、その環境は現代のPLCに優れた柔軟性と精度を与えている超小型電子部品にとっては苛酷なものと言えます。このことを、マキシムほどよく理解しているミックスドシグナルのICメーカーはありません。我々は、創業以来、高レベルのESD、大きな過渡電圧振幅、およびEMI/RFIなどを含み、実際の環境における危険から高機能エレクトロニクス製品を保護するために、優れた製品の信頼性と革新的な手法によって業界をリードしてきました。マキシム製品が設計者の皆様から長い間支持され続けているのは、マキシムが困難なアナログおよびミックスドシグナルの設計問題を解決し、年々この問題を解決し続けているからです。

より高度な集積化

PLCは、4~数百の入出力(I/O)チャネルを多種多様な寸法形状で実装しているため、サイズや消費電力がシステムの精度や信頼度と同程度に重要になります。マキシムは、適切な機能をICに集積化することにおいて業界をリードし、これによって、システム全体の実装面積と電力需要を縮小するとともに、設計をよりコンパクトにしています。マキシムには、最小の実装面積で低消費電力と高精度の数百のIC製品があり、システム設計者は、スペースと消費電力に対する厳しい要件を満たした高精度の製品を構築することができます。

ファクトリオートメーション小史

組み立てラインは人類の歴史において比較的新しい発明です。多くの国で多数の同等の発明がなされたと思われますが、ここでは米国の例を少し紹介しましょう。

米国の銃製造業者サミュエル・コルトは、1800年代中頃に互換性のある部品を実証しました。それ以前の銃は、それぞれ個別に適合するように削られて作った部分で組み立てられていました。その組み立て工程を自動化するために、コルト氏は、個別の箱に10丁の銃のすべての部品を配置し、次に、箱から無作為に部品を取り出して銃を組み立てました。ヘンリー・フォードは、20世紀の初めに大量生産技術を拡張しました。彼は固定の組み立てステーションを設計し、自動車が各ステーション間を移動するようにしました。各従業員はわずかな組み立て作業を学習し、何日も続けてこの作業を実行しました。1954年には、ジョージ・デボルが米国特許2988237を申請しましたが、Unimateという名の最初の工業用ロボットを実現するものでした。1960年代の後半に、General Motors®は、PLCを使用して自動車の自動変速装置を組み立てました。PLCの「父」として知られているディック・モーリーは、最初のPLCのGM®向けModiconの生産に関わりました。モーリーの米国特許3761893は今日の多くのPLCの基礎となってい ます(上記の4人の発明者の詳細については、www.wikipedia.org/をご覧ください。彼らの特許については、http://patft.uspto.gov/netahtml/PTO/srchnum.htm)を検索してください)。

PLCの基本動作

プロセス制御はどの程度簡単にすることができるでしょうか? 家庭の一般的な室内暖房器を考えてみましょう。

暖房器の各部品は1つの筐体内に収容されているため、システムの通信は容易になります。この概念をさらに発展させたものが、リモートサーモスタットを備えた家庭用の強制送風式暖房器です。この場合の通信経路はほんの数メートルであり、一般的に電圧制御が利用されます。

次に、小規模ではない比較的単純なプロセス制御システムを考えてみましょう。工場においてはどのような制御や構成が必要になるでしょうか?

長い電線の抵抗、EMI、およびRFIが存在するため、電圧モードの制御は非実用的になります。これに代わるものとして、電流ループが単純ですが簡潔な解決策になります。この設計では、キルヒホッフの法則によって、ループ内のいずれの点の電流もループ内の他のすべての点の電流に等しいため、電線の抵抗を式から取り除きます。ループインピーダンスと帯域幅が低いため(数百オームおよび100Hz未満)、EMIとRFIのスプリアスを拾う問題は最小限に抑えられます。PLCシステムはこのような工場システムを適切に制御するのに役立ちます。

家庭用電気暖房器は単純なプロセス制御の一例。
家庭用電気暖房器は単純なプロセス制御の一例。

工場での長距離通信。
工場での長距離通信。

PLCの電流通信

電流制御ループは、20世紀初期のテレタイプのインパクトプリンタから発展し、最初は0-60mAループ、後には0-20mAループが使われました。PLCシステムの進歩によって4-20mAループも追加されました。

4-20mAループにはいくつかの長所があります。古いディスクリート部品設計では慎重な設計計算が要求され、今日の集積化された4-20mA ICと比較して回路が比較的大規模でした。マキシムは、MAX15500MAX5661など、いくつかの20mAのデバイスを発売していますが、これらは4-20mA PLCシステムの設計を大幅に簡素化するものです。

測定される電流のレベルが何らかの情報を示します。実際には、4-20mAの電流ループは0mAから24mAの電流範囲で動作します。ただし、0mAから4mAと20mAから24mAの電流範囲は診断とシステム較正に使用されます。4mA未満と20mA超の電流レベルは診断に使用されるため、測定値が0mAから4mAの間であればシステム内の電線が破損している可能性があるということです。同様に、20mAから24mAの間の電流レベルは、システム内に短絡が生じている可能性があることを示します。

4-20mA通信を拡張したものがHART® (Highway-Addressable Remote Transducer)システムで、4-20mA計装と下位互換性があります。HARTシステムによって、高性能なマイクロプロセッサ搭載の高機能なフィールド デバイスとの双方向通信が可能となります。HARTプロトコルでは、プロセス制御アプリケーション用の4-20mAアナログ電流信号と同一のペア信号線にディジタル情報を付加することができます。

PLCは、いくつかの機能グループに分割して説明することができます。多くのPLC製造業者は、これらの機能を個別のモジュールにまとめており、これらの各モジュールの正確な中身は、アプリケーションと同様に多種多様なものとなります。多くのモジュールは複数の機能を持っており、複数のセンサーインタフェースと接続することができます。さらに、その他のモジュールや拡張モジュールのほとんどは、測温抵抗体(RTD)、センサー、または熱電対センサーなどの特定アプリケーション専用です。一般に、すべてのモジュールには、アナログ入力、アナログ出力、分散制御(たとえばフィールドバス)、インタフェース、ディジタル入出力(I/O)、CPU、および電源など、核となる同一の機能を備えています。この項では、これらの核となる機能のそれぞれを順に検討し、センサーとセンサーインタフェースについては他の項で検討します。

PLCの簡易ブロック図。マキシムが推奨するPLCソリューションの一覧については、www.maximintegrated.com/plcをご覧ください。
PLCの簡易ブロック図。マキシムが推奨するPLCソリューションの一覧については、www.maximintegrated.com/plcをご覧ください。
 

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