デザインソリューション 7565

たった1つのスーパーキャパシタでシステムの動作を維持する

筆者: David Andeen

要約:

このデザインソリューションでは、バッテリ駆動システムおよびライン給電システムのどちらにも適用できるシステム電源バックアップ用の新しいソリューションを紹介します。この優れたアーキテクチャは1つのスーパーキャパシタで動作し、高精度で安定化された5V出力を、最大3Aで供給し、94%の効率を達成します。


はじめに

現代の生活では、継続的な動作と連続した稼働時間が要求されます。かつては無停電電源(UPS)を使用する病院やデータセンターなどのミッションクリティカルな設備に限られていましたが、今では家庭からユーティリティメーターやスキャナまで、多数のシステムがバックアップ電源を利用しています。スーパーキャパシタ技術とアナログ電源の進歩によって、システムへ追加されるバックアップ電源はこれまで以上に小型で便利になっています。

さまざまなタイプのバックアップ電源のオプションが存在しますが、スーパーキャパシタはボードレベルの電子回路の優れたソリューションです。スーパーキャパシタは従来のコンデンサより単位体積または質量あたりのエネルギーが大幅に高く、非常に長い時間にわたってシステムを駆動可能であり、「最後のあがき」以上の働きをします。充電式バッテリと比べて、スーパーキャパシタはかなり高速で充電され、はるかに多くの充電サイクルに耐えます。スーパーキャパシタは短期間のバーストモードで最も効果的で、停電やバッテリ交換などの短時間の電源停止時のシステムバックアップ用の優れたオプションになります。

バックアップ電源回路の実装は、かつては大変な作業でした。図1の画像は、2つ以上のスーパーキャパシタが5Vシステムのバックアップを提供する仮想のシステムを示しています。通常のスーパーキャパシタは、2.7Vまで充電されます。5Vレールを提供するには、その2.7Vを昇圧するか、または複数のスーパーキャパシタを使用して5V出力を生成する必要があります。図1では、2つ以上のスーパーキャパシタによって5Vレールの確実な提供を保証します。複数のスーパーキャパシタを使用する場合はセルバランシング(アクティブ方式またはパッシブ方式)が必要になるため、追加のコストが生じ回路も複雑性になります。

図1. このブロック図は複数のスーパーキャパシタによるバックアップシステムを示しており、必要なセルバランシングおよび5V出力を提供するためのバックコンバータを備えています。 図1. このブロック図は複数のスーパーキャパシタによるバックアップシステムを示しており、必要なセルバランシングおよび5V出力を提供するためのバックコンバータを備えています。

図2は、1つのスーパーキャパシタを使用したシステムを示しています。スーパーキャパシタを1つ使用した構成では、複雑でコストのかかるセルバランシングが不要になります。このより簡素なシステムでは、ダイオード両端で電圧降下してもシステムに5Vを供給できるように、システムの主電源であるバックまたはブースト出力は5V強になっています。スーパーキャパシタは充電デバイスによって充電され、必要なときにブーストコンバータを介して放電します。ダイオードによって、主電力源またはスーパーキャパシタのいずれかがシステムに給電することができます。

図2. このブロック図は1つのスーパーキャパシタによるバックアップシステムを示しており、セルバランシングが不要でブーストコンバータを使用して5V出力を提供します。 図2. このブロック図は1つのスーパーキャパシタによるバックアップシステムを示しており、セルバランシングが不要でブーストコンバータを使用して5V出力を提供します。

図3は、Maxim Integrated®のContinuaレギュレータのMAX38889を使用する最も簡素な回路を示しています。MAX38889は、入力と出力を逆転できるバックブーストです。MAX38889はメインシステム電源レールで動作し、その電圧を降圧することによってスーパーキャパシタを充電します。システム電源が除去されると、MAX38889は電力の不足を検出して入出力の関係を逆転させ、スーパーキャパシタの電圧から適切なシステム電圧に昇圧します。バックアップ動作の持続期間は、システムの消費電力によって異なります。MAX38889の機能によって、たった1つの、2.7Vスーパーキャパシタから最大の電力を得ることが可能になるともに、追加の回路が最小限に抑えられ、全体のBOMコストを削減し全体の実装を簡素化します。

図3. このブロック図はContinuaレギュレータの MAX38889を使用するシステムを示しています。この簡素な構成は、スーパーキャパシタの充放電を管理しながら、安定した5V出力を提供します。 図3. このブロック図はContinuaレギュレータの MAX38889を使用するシステムを示しています。この簡素な構成は、スーパーキャパシタの充放電を管理しながら、安定した5V出力を提供します。

継続的動作のための電源の構築には、追加の回路および電力源が必要です。スーパーキャパシタはこのアプリケーションに比類ない適性があり、特にバッテリ交換または電源停止を伴う5V以下のアプリケーションに最適です。MAX38889は複雑な回路をなくして、そのコストを削減するとともに、、たった1つのスーパーキャパシタから最大5.5V、3Aを出力する、非常に信頼性の高いソリューションを提供します。

Maxim IntegratedはMaxim Integrated Products, Inc.の登録商標で、Continuaは同社の商標です。