アプリケーションノート 6263

ModelGauge m5 EZにより、バッテリの特性評価を行わずにリチウムイオンバッテリの残量を測定する方法


要約: このアプリケーションノートでは、ModelGauge m5 EZと関連EVキットを利用してバッテリの特性評価を不要にし、残量測定を強化する方法について説明します。バッテリを接続して残量ゲージレジスタの読取りを開始するだけであり、設定はほとんど、またはまったく必要ありません。

はじめに

ModelGauge m5 EZは、残量測定をかつてないほど簡単にします。バッテリを接続して残量ゲージレジスタの読取りを開始するだけであり、設定はほとんど、またはまったく必要ありません。

従来の残量ゲージでは、バッテリの特性評価を行わない限り許容可能な性能が得られません。市販されているリチウムイオンバッテリは科学的性質が多様であることから、電気的特性のばらつきが大きいためです。広く使用されているコバルト酸リチウム(LiCoO2)など、バッテリの科学的性質が同じ場合でも、外形サイズが異なればバッテリ内のインピーダンスが変化するため、従来はバッテリの特性評価が必要になります。スケジュールに余裕がないプロジェクトでは、特性評価やデータ分析に2~3週間も費やすことはできない場合があります。

ModelGauge m5 EZ構成では、バッテリの特性評価が不要になり、リソースと時間を節約することができます。この構成では、さまざまな科学的性質、容量、充電電圧のバッテリに対して、優れた残量測定性能を実現することが可能です。これはマキシムの特性評価データベース内の何百種類ものバッテリについてテスト済みです。

ModelGauge m5 EZの性能

図1は、300種類以上のバッテリについて+20℃と+40℃で3時間超にわたり実行したテストにおけるModelGauge m5 EZの精度を示しています。

図1. ModelGauge m5 EZ構成の精度面での性能。 図1. ModelGauge m5 EZ構成の精度面での性能。.

説明 1サイクル後* (%) 2サイクル後* (%)
Tests with error less than 3% 97 97.6
Tests with error less than 5% 99 99.5
Tests with error less than 10% 100 100
*テスト条件:+20℃と+40℃、実行時間は3時間超。

注記:LiFePO4、LiMnO2、LiNiO2、Li2TiO3、NCAなど、いくつかの特殊な科学的性質のバッテリは、電気的特性がLiCoO2とは大幅に異なるため、このテスト結果から除外されています。このような科学的性質については、別のModelGauge m5 EZモデルまたはカスタムモデルによってサポートすることができます。

ModelGauge m5 EZはいかにしてバッテリ特性評価なしで優れた精度を実現するか

ModelGauge m5 EZの強固なアルゴリズムは、以下に説明するような複数の学習および適応メカニズムが組み込まれているため、多種多様なバッテリに対応可能です。

ModelGauge m5アルゴリズムは、クーロンカウンタの短期的精度とリニアリティ、電圧ベースの残量ゲージの長期的安定性、および温度補償を組み合わせて優れた残量ゲージ精度を実現します。詳細については、MAX17055 ModelGauge m5 EZユーザーガイドである「MAX17055 User Guide」の「OCV Estimation and Coulomb Count Mixing (OCV推定とクーロンカウントのミキシング)」および「Fuel Gauge Learning (残量ゲージの学習機能)」の項を参照してください。

MAX17055は、経時劣化、温度、および放電率を自動的に補償し、幅広い動作条件にわたって高精度な残容量値(SOC)をパーセント(%)またはミリアンペア時(mAh)単位で提供します。詳細については、MAX17055 ModelGauge m5 EZユーザーガイドの「Empty Compensation (エンプティ補償)」の項を参照してください。

ModelGauge m5 EZはバッテリの実容量を最初の1サイクルの後、次第に学習し優れた残量ゲージ性能を発揮します。詳細については、MAX17055 ModelGauge m5 EZユーザーガイドの「Fuel Gauge Learning (残量ゲージの学習機能)」の項を参照してください。

低温での放電を考慮した場合、SOCの精度は次のようになります。

0℃を含む第1サイクル、実行時間3時間超、各放電のワーストケースとして誤差を評価した場合の性能
Description Percentile Cases (%)
Tests with error less than 5% 92
Tests with error less than 10% 97

さらに、ModelGauge m5 EZでは、バッテリがエンプティに近づくにつれて誤差が向上します。詳細については、MAX17055 ModelGauge m5 EZユーザーガイドの「Converge-to-Empty (エンプティ収束)」の項を参照してください。10%の時に誤差を評価すると、誤差は下記の表に示すとおり向上します。

0℃を含む第1サイクル、実行時間3時間超、バッテリがほぼエンプティ(10%)の時に誤差を評価した場合の性能
Description Percentile Cases (%)
Tests with error less than 5% 94
Tests with error less than 10% 98

ModelGauge m5 EZの設定方法

ModelGauge m5 EZは、初期セットアップなしで使用できるように設計されています。緩和したバッテリをEVキットまたはカスタムPCBに接続し、対象のレジスタの読取りを開始するだけです。

ただし、設定ウィザード(MAX17201/MAX17205/MAX17211/MAX17215)を使用するか、またはEVキットのソフトウェアでConfigure (設定) > Battery (バッテリ) (MAX17055)を選択することにより、最小限の設定を行って精度を向上させることができます。EVキットのソフトウェアは、ハードウェアなしで使用して適切な設定値を生成することができます。設定ウィザードでは、次のパラメータを調整する必要があります。

  • セルサイズ(mAh)
  • エンプティ電圧(V)
  • 4.275Vを上回る/下回る充電電圧

MAX17201/MAX17205/MAX17211/MAX17215の各ICでは、設定ウィザードでICのセル数とサーミスタのオプションを設定することもできます。これらのパラメータは、設定ウィザードの最後のページで不揮発性メモリに保存するか、または設定ウィザードの最後のページに表示されるメモリマップを使用して任意のI2Cマスターにより書き込むことができます。

詳細については、次のビデオを参照してください。

MAX17055 ModelGauge m5低IQスタンドアロン残量ゲージのEZセットアップ

MAX17201/MAX17211 ModelGauge m5スタンドアロン残量ゲージのEZセットアップ

ModelGauge m5 EZ製品の選択
製品 インタフェース 直列セル セルバランス EVキット
MAX17055 I2C 1   MAX17055XEVKIT# (WLP)
MAX17055GEVKIT# (TDFN)
MAX17201 I2C, SMBus 1   MAX17201XEVKIT# (WLP)
MAX17201GEVKIT# (TDFN)
MAX17205 I2C, SMBus Multiple 2S, 3S Configurations MAX17205XEVKIT# (WLP)
MAX17205GEVKIT# (TDFN)
MAX17211 1-Wire® 1   MAX17211XEVKIT# (WLP)
MAX17211GEVKIT# (TDFN)
MAX17215 1-Wire Multiple 2S, 3S Configurations MAX17215XEVKIT# (WLP)
MAX17215GEVKIT# (TDFN)
#はRoHS準拠を表します。

結論

ModelGauge m5 EZは、バッテリの特性評価を不要にし、残量ゲージをシステムに組み込む作業を簡素化します。

次のステップ
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