アプリケーションノート 5873

パッケージ熱分析計算器のチュートリアル


要約: パッケージ熱分析計算器(PTA)は、ICパッケージの熱特性の分析に役立ちます。これには、熱抵抗、消費電力、およびチップ温度/パッケージ温度/周囲温度が含まれます。このプログラムは、HP® 50g計算器または無料のPCエミュレータで使用します。

はじめに

経験豊富なアナログ設計エンジニアであるSteve Edwards*は、繰り返し行われる作業を自動化するために、数種類の計算器を作成しました。これらのツールは、アナログ回路の選択、仕様決定、および特性評価を行う他のアナログ設計エンジニアの役に立つように公開されています。以下では、それらのツールの1つである、パッケージ熱分析計算器の機能について概説します。

パッケージ熱分析(PTA)は、HP50g計算器用に書かれたプログラムで、ICパッケージの熱特性の分析に役立ちます。これには、熱抵抗、消費電力とディレーティング、およびチップ温度/パッケージ温度/周囲温度が含まれます。PTAは、これらのパラメータのいずれも、他のパラメータを指定することによって算出可能です。PTAは、www.hpcalc.orgまたはマキシムの計算器ページで提供されている無料プログラムのHPUserEdit 5.4を使用して、PC上で実行することができます。

10種類のパラメータが使用されます。

  1. 消費電力(P、単位:mW)
  2. 接合部温度(Tj、単位:℃)
  3. 接合部-ケース間熱抵抗(θjc、単位:℃/W)
  4. ケース温度(Tc、単位:℃)
  5. ケース-周囲間熱抵抗(θca、単位:℃/W)
  6. 周囲温度(Ta、単位:℃)
  7. 接合部-周囲間熱抵抗(θja、単位:℃/W)
  8. 電力ディレーティング係数(DF、単位:mW/℃)
  9. 最大接合部温度(Tjmax、単位:℃)
  10. 最大消費電力(Pmax、単位:mW)

PTAでは、10種類のパラメータ(P、Tj、θjc、Tc、θca、Ta、θja、DF、Tjmax、およびPmax)の入力が可能で、その内の9つ(P、Tj、θjc、Tc、θca、Ta、θja、DF、およびPmax)は他のパラメータの関数として算出することができます。

これらのパラメータは、PTA内で下図のように表示されます。

パッケージ熱分析計算器のチュートリアル

パッケージ熱分析計算器のチュートリアル

熱の流れ

チップ内で電力が生成されるとき、熱が発生し、より低温の周囲の空気に向かって流れます。この熱は、モールド材、ボンディングワイヤ、リード、および(一部のデバイスでは)エクスポーズドリードフレームパッドを経由して伝わる必要があります。パッケージは熱を瞬時に放散することができないため、チップ温度(Tj)およびパッケージ温度(Tc)が上昇します。熱抵抗(θjc + θca)は(そのため熱が通過する経路も)、パッケージの構造と、PCBへの実装方法によって変化します。たとえば、下図のような場合があります。

パッケージ熱分析計算器のチュートリアル

この計算器のユーザーガイドのチュートリアルでは、ICパッケージの熱特性の種類と、その計算方法について詳しく説明しています。実際的な例として、レーザ光ドライバで使用される9チャネルDACのMAX5112のパッケージの熱特性を、PTAを使用して概算します。この例では、データの入力から、パッケージの電力と温度の関係を算出するまでの手順が示されます。

*Steve Edwardsはすでにマキシムを退社しています。