アプリケーションノート 4653

アナログスイッチに関するFAQ

筆者: Micheal Scherrenburg

要約: このアプリケーションノートでは、アナログスイッチに関する一般的なFAQ (良くある質問)に回答します。これらのFAQには、マキシムのスイッチに固有の話題も含まれています。

このFAQ集は、マキシムのブロードバンドアナログスイッチを新規または既存の設計で使用する場合に発生する、特に一般的な問題の一部に対応しています。特定の情報分野に基づいて、質問をカテゴリ別に分類してあります。質問が複数のカテゴリにまたがる可能性もあります。

参考

LANに関する質問

  1. MAX4890は帯域幅が650MHzしかないのに、どのようにGigabit Ethernetを含むEthernet信号を通過させているのですか?
  2. 1GbpsのEthernetは通過するようなのに、MAX4890で625Mbps LVDS信号の切り替えを行うことができません。これはなぜですか? 説明をお願いします。
  3. MAX4890がEthernet信号を正しく伝送せず、出力される信号が激しくクリッピングされているようです。どうすれば修正可能ですか?
  4. 実際の回路に組み込む前に、設計の中でMAX4890の評価や試作を行うにはどうすれば良いですか?

PCI Express®に関する質問

  1. MAX4888/MAX4889デバイスで切り替えを行う端子の各ペア(たとえばNC1+とNC1-)について、切り替え対象は差動ペアである必要がありますか?
  2. SGMIIの切り替えに使用可能なマキシム製品はどれですか?
  3. XAUI信号の切り替えに使用可能なマキシム製品はどれですか?
  4. MAX4889BおよびMAX4889Cを使用したアプリケーションのシミュレーションを行う必要があります。マキシムは何かそれに役立つものを提供していますか?
  5. SATAやLVCMOSのような完全に異なる種類の信号の切り替えをMAX4889で行うことは可能ですか?
  6. MAX4950をPCIe®のホットプラグアプリケーションで使用する場合、どのような要件がありますか?
  7. マキシムはなぜMAX4950のIBISモデルを提供していないのですか?
  8. 2組のXAUIインタフェースを切り替える必要があります。この目的に役立つマキシム製品はどれですか?
  9. いくつかのLVDSインタフェースの切り替えを行う必要があります。MAX4889Aを使用することができますか?

SAS/SATAに関する質問

  1. マキシムではシステム内のMAX4951/MAX4951A/MAX4951BによるSATAアイの測定をどのように行っていますか?
  2. マキシムでは、MAX4951/MAX4951A/MAX4951Bのレイアウトのガイドラインを提供していますか?
  3. MAX4951/MAX4951A/MAX4951Bを使用してSATA準拠の測定を行った場合、特に内側のアイマスクの上部に対してアイがぎりぎりになります。ここはもっとマージンがあると思っていました。
  4. システム内でのMAX4951/MAX4951A/MAX4951Bの配置について何か一般的なガイドラインはありますか?
  5. アプリケーション内のMAX4951/MAX4951A/MAX4951Bのシミュレーションを行う必要があります。マキシムはこのデバイスのモデルを提供していますか?
  6. PCを起動する前にeSATAドライブを装着した場合は、ドライブが認識されます。しかし、PCの起動後に装着した場合は、ドライブが認識されません。これを解決するにはどうすれば良いですか?

USBに関する質問

  1. MAX4989を使用したアプリケーションのシミュレーションを行う必要があります。マキシムは何かそれに役立つものを提供していますか?

ビデオに関する質問

  1. マキシムはMAX4885Eを8:1のVGA切り替えアプリケーションで使用する場合のガイドラインを提供していますか?
  2. MAX4888をVGA RGB信号の切り替えに使用することはできますか?
  3. 大まかに言って、部品表(BOM)のどのような内容がMAX4895Eで代替されますか?
  4. シミュレーションを行おうとしているのですが、MAX4885のIBISモデルをAltium®でコンパイルすることができません。これはなぜですか?
  5. MAX4895E自体への給電が行われていない間も、VGAコネクタに接続されたモニタからSDA1およびSCL1ラインへの給電が可能なアプリケーションにMAX4895Eを使用したいと思います。これは可能ですか?

その他のデバイスに関する質問

  1. MAX4820リレードライバのディジタルシリアルインタフェース上で、データがDINからデバイスにシフトインされるとき、2つの書込みサイクルにわたる場合でも(/CSがハイになり、その後ローになることで書込みサイクルが分かれた場合でも)、デバイスのデータアウト(DOUT)は前回デバイスに書き込まれたデータを表していますか?

LANに関する質問

Q1. MAX4890は帯域幅が650MHzしかないのに、どのようにGigabit Ethernetを含むEthernet信号を通過させているのですか?
A1. ほとんどのエンジニアは、650MHzという帯域幅が10BASE-T (10Mbps)および100BASE-T (100Mbps、Fast Ethernet)信号を通過させるのに十分以上であることを理解しています。しかし、この帯域幅が1000BASE-T (1Gbps、Gigabit Ethernet)にも十分であることは、多くの人にとってそれほど明白ではありません。この誤解は、おそらく現在普及している2つのレベルのNRZ (non-return-to-zero)伝送方式に起因すると思われます。

Gigabit Ethernetでは、データペイロードがEthernet配線の4組すべてのツイストペアに分割され、ペア当り250Mbpsになります。また、ボーレート当り複数の振幅レベルの通信を行う5レベルのパルス振幅変調(PAM-5)方式を使用して、伝送レートをさらに低減しています。その結果、1000BASE-TはFast Ethernetと同じ毎秒1億2500万回の遷移でデータを伝送します。したがって、Fast Ethernetの伝送に十分なアナログ帯域幅を備えた配線システムは、すべてGigabit Ethernetの伝送も可能です。

MAX4890のようなLANスイッチにとって、650MHzの帯域幅は十分以上です。

Q2. 1GbpsのEthernetは通過するようなのに、MAX4890で625Mbps LVDS信号の切り替えを行うことができません。これはなぜですか? 説明をお願いします。
A2. 使用している符号化方式の効果で、Gigabit Ethernetの伝送はペア当り毎秒1億2500万回のみの遷移で行われます。LVDSで同様の性能を達成するためには、ペア当り125Mbpsで伝送を行う必要があります。LVDSが1回の遷移で1ビットを伝送するのに対し、Gigabit Ethernetはパルスの複数振幅符号化方式(PAM-5)を採用しているため、1回の遷移で2ビットが伝送されます。

Q3. MAX4890がEthernet信号を正しく伝送せず、出力される信号が激しくクリッピングされているようです。どうすれば修正可能ですか?
A3. MAX4890の場合、切り替え対象のEthernet信号がV+ (約3.3V)とグランドの範囲内であることが必要です。これらの制限値を超えた信号は、それらの端子が備えるESDクランプ回路によってクリッピングされます。ほとんどのPHYはV+とグランドの範囲でEthernetインタフェースを駆動するため、通常この点は問題になりません。しかし、この動作は普遍的なものではありません。一部のPHYは、3.3Vから±1Vの範囲の変動幅があります。

切り替え対象のEthernet信号がこれらの制限値を超える場合、ボード設計者はそれらの信号を適切な範囲に再バイアスする必要があります。Ethernet信号は、直列コンデンサを使用して効果的にDCブロックすることが可能です。また、センタータップを備えたトランスを使用することで、容易にほとんど任意のDC電圧に再バイアス可能です。

Q4. 実際の回路に組み込む前に、設計の中でMAX4890の評価や試作を行うにはどうすれば良いですか?
A4. マキシムのアカウントマネージャ、FAE、またはカスタマーサポートまでお問い合わせください。MAX4890のLANプロトタイプ評価(EV)ボートを請求してください。

このEVボードをお客様の回路に接続する際には、いくつか注意が必要になります。回路図については、 こちらをご覧ください。

PCI Expressに関する質問

Q1. MAX4888/MAX4889デバイスで切り替えを行う端子の各ペア(たとえばNC1+とNC1-)について、切り替え対象は差動ペアである必要がありますか?
A1. いいえ。MAX4888は4つの絶縁されたSPDT電子スイッチ、MAX4889は8つの絶縁されたSPDT電子スイッチで構成されており、個々のスイッチは他のすべてのスイッチと独立した信号に使用可能です。MAX4889は、4組の差動ペアと同様に、8つのシングルエンド信号の切り替えも容易に行うことができます。

Q2. SGMIIの切り替えに使用可能なマキシム製品はどれですか?
A2. 3.3V電源で動作するMAX4888シリーズのデバイスが最適です。SGMIIで切り替えるのはVIH (max)が1.525Vの1.25Gbps信号であり、MAX4888シリーズの性能で十分に対応可能です。

Q3. XAUI信号の切り替えに使用可能なマキシム製品はどれですか?
A3. 切り替え対象のXAUI信号のDCバイアスに応じて、MAX4889BまたはMAX4889Cのいずれかが最適となります。さらにサポートが必要な場合は、お客様の地域のアカウントマネージャおよび/またはFAEまでお問い合わせください。

Q4. MAX4889BおよびMAX4889Cを使用したアプリケーションのシミュレーションを行う必要があります。マキシムは何かそれに役立つものを提供していますか?
A4. 以下の4ポートのSパラメータが、それぞれの特定の差動ペア間のものです。 Q5. SATAやLVCMOSのような完全に異なる種類の信号の切り替えをMAX4889で行うことは可能ですか?
A5. はい。MAX4889はワーストケースで出力を最大約2.2Vまで駆動します。その後、より高い電圧に対して、最後にはパススイッチが高抵抗状態になります。1kΩのプルアップを付加することによって、MAX4889を使用して高速信号と低速ロジックの間の切り替えを行うことができます。低速ロジックのデータレートは、プルアップのRCによって制限されることになります。

特定のスイッチの入力と出力の詳細な関係については、下図をご覧ください。

The input-output relationship through a given switch.

Q6. MAX4950をPCIeのホットプラグアプリケーションで使用する場合、どのような要件がありますか?
A6. カードが取り外され、MAX4950が負荷を検出しなかった場合、タイムアウトが発生してチェックが終了します。その後にカードが装着された場合は、Rx検出端子またはイネーブル端子のいずれかをトグルする必要があります。この操作によって、MAX4950はカードの存在を示す終端抵抗のチェックを再開します。

Q7. マキシムはなぜMAX4950のIBISモデルを提供していないのですか?
A7. 現在では、IBISモデルはイコライゼーションを扱うのに適していません。適切なSパラメータについてはこちらをご覧ください。代替案については、お客様の地域のマキシム営業担当までお問い合わせください。

MAX4950 S-parameters.

Q8. 2組のXAUIインタフェースを切り替える必要があります。この目的に役立つマキシム製品はどれですか?
A8. このアプリケーションにはMAX4889Cが最適です。2組のXAUIインタフェースの一方と第3のインタフェースとの切り替えを行うことができます。

Q9. いくつかのLVDSインタフェースの切り替えを行う必要があります。MAX4889Aを使用することができますか?
A9. はい。MAX4888AとMAX4889Aの両方で可能ですが、必ず3.3V電源を使用する必要があります。MAX4892Eも同様に使用可能です。

SAS/SATAに関する質問

Q1. マキシムではシステム内のMAX4951/MAX4951A/MAX4951BおよびMAX4951AEによるSATAアイの測定をどのように行っていますか?
A1. これらの測定を行う際には注意が必要です。一般的に、MAX4951/MAX4951A/MAX4951B/MAX4951AEに対するアクセスとして妥当なのは、PCBのエッジにあるSATAコネクタからのもののみです。再現可能な測定値の取得に使用した手法についての説明は、こちらをご覧ください。

Q2. マキシムでは、MAX4951/MAX4951A/MAX4951B/MAX4851AEのレイアウトのガイドラインを提供していますか?
A2. はい。レイアウトのガイドラインについては、下の表をご覧ください。

Layout guidelines for the MAX4951/MAX4951A/MAX4951B/MAX4851AE.

Q3. MAX4951/MAX4951A/MAX4591B/MAX4851AEを使用してSATA準拠の測定を行った場合、特に内側のアイマスクの上部に対してアイがぎりぎりになります。ここはもっとマージンがあると思っていました。
A3. これらの測定を行う際には注意が必要です。準拠の測定に使用するオシロスコープのフロントエンド帯域幅によって、アイのマージンに大きな差が生じることが確認されています。アイオープニングとオシロスコープの帯域幅の比較については、こちらをご覧ください。

Q4. システム内でのMAX4951/MAX4951A/MAX4951B/MAX4851AEの配置について何か一般的なガイドラインはありますか?
A4. 一般的なガイドラインとして、MAX4951/MAX4951A/MAX4951B/MAX4951AEはSATAコネクタ自体の近くに配置するのがベストです。SATAソースまでのトレース長によっては、必要に応じてブーストを設定してください。MAX4951/MAX4951A/MAX4951B/MAX4951AEのレイアウトと配置に関して質問がある場合は、お問い合わせください。

Q5. アプリケーション内のMAX4951/MAX4951A/MAX4951B/MAX4851AEのシミュレーションを行う必要があります。マキシムはこのデバイスのモデルを提供していますか?
A5. はい、提供しています。機能のSPICEモデルについてはこちら,を、またIBISモデルについてはこちらをご覧ください。

Q6. PCを起動する前にeSATAドライブを装着した場合は、ドライブが認識されます。しかし、PCの起動後に装着した場合は、ドライブが認識されません。これを解決するにはどうすれば良いですか?
A6. これはMAX4951/MAX4951A/MAX4951B/MAX4951AEの問題ではなく、ドライバの問題です。SATAおよびeSATAはUSBドライブのようにハードディスクドライブ(HDD)のホットプラグをサポートしていますが、それにはBIOSによるAHCIのイネーブルと、オペレーティングシステムによるAHCIドライバのインストールが必要になります。

USBに関する質問

Q1. MAX4989を使用したアプリケーションのシミュレーションを行う必要があります。マキシムは何かそれに役立つものを提供していますか?
A1. MAX4989スイッチのSパラメータモデルについては、こちらをご覧ください。

MAX4989 S-parameters.

ビデオに関する質問

Q1. マキシムはMAX4885Eを8:1のVGA切り替えアプリケーションで使用する場合のガイドラインを提供していますか?
A1. もちろん提供しています。このアプリケーションの詳細なドキュメントについては、こちらご覧ください。

Q2. MAX4888をVGA RGB信号の切り替えに使用することはできますか?
A2. はい、問題ありません。VGAのRGB信号は最大で約0.7Vに達するため、MAX4888のVCCを1.9V以上に維持する必要があります。MAX4888は、このアプリケーションにとって十分以上の帯域幅を備えています。

Q3. 大まかに言って、部品表(BOM)のどのような内容がMAX4895Eで代替されますか?
A3. MAX4895EはESD保護とレベル変換の機能を備えています。この統合化によって、一般的に7つのダイオード、2つのFET、および2つのバッファICが、3mm x 3mmの小型パッケージ1つで代替されます。

Q4. シミュレーションを行おうとしているのですが、MAX4885のIBISモデルをAltiumでコンパイルすることができません。これはなぜですか?
A4. これはAltium Designer®ソフトウェアの既知の問題です。回避策は、MAX4885を1:2または2:1マルチプレクサのどちらとして使用しているかで異なります。

M = 0の場合は1:2モードであり、バッファがイネーブルされます。PIN MAPPINGセクションを変更して、「5」で始まる2つの行と「6」で始まる2つの行を削除してください。これによってHおよびV出力についてのMAX4885の切り替え機能が削除されますが、信号の完全性などその他の目的についてはシミュレーションが可能になります。

M = 1の場合は2:1モードであり、バッファがディセーブルされます。PINセクションを変更して、ピン18、19、22、および23のモデルをHVMUXOUTからTERM1に変えてください。

Q5. MAX4895E自体への給電が行われていない間も、VGAコネクタに接続されたモニタからSDA1およびSCL1ラインへの給電が可能なアプリケーションにMAX4895Eを使用したいと思います。これは可能ですか?
A5. MAX4895EのVCC端子をダイオードで絶縁して逆電流を防止している限り、可能です。

その他のデバイスに関する質問

Q1. MAX4820リレードライバのディジタルシリアルインタフェース上で、データがDINからデバイスにシフトインされるとき、2つの書込みサイクルにわたる場合でも(すなわち、アクティブローCSがハイになり、その後ローになることで書込みサイクルが分かれた場合でも)、データアウト(DOUT)は前回デバイスに書き込まれたデータを表していますか?
A1. はい、そうです。MAX4820は、シリアルデータを収集するための8ビットのシフトレジスタを内蔵しています。アクティブローCSをローにアサートし、8ビットのデータをクロックインし、アクティブローCSをハイにデアサートすることによって書込み操作を実行した場合、そのデータはMAX4820のシフトレジスタ内に残っています。

第2の書込み操作の間、DOUTは前回の書込み操作の8ビットをクロックアウトします。

シーケンス例:(X0~X7とY0~Y7は任意のビット)

アクティブローCSをローに
SCLKの立上り、DIN = X7
SCLKの立下り、DOUT = ?
SCLKの立上り、DIN = X6
SCLKの立下り、DOUT = ?
SCLKの立上り、DIN = X5
SCLKの立下り、DOUT = ?
SCLKの立上り、DIN = X4
SCLKの立下り、DOUT = ?
SCLKの立上り、DIN = X3
SCLKの立下り、DOUT = ?
SCLKの立上り、DIN = X2
SCLKの立下り、DOUT = ?
SCLKの立上り、DIN = X1
SCLKの立下り、DOUT = ?
SCLKの立上り、DIN = X0
SCLKの立下り、DOUT = ?
アクティブローCSをハイに

{少し待つ}

アクティブローCSをローに
SCLKの立上り、DIN = Y7
SCLKの立下り、DOUT = X7
SCLKの立上り、DIN = Y6
SCLKの立下り、DOUT = X6
SCLKの立上り、DIN = Y5
SCLKの立下り、DOUT = X5
SCLKの立上り、DIN = Y4
SCLKの立下り、DOUT = X4
SCLKの立上り、DIN = Y3
SCLKの立下り、DOUT = X3
SCLKの立上り、DIN = Y2
SCLKの立下り、DOUT = X2
SCLKの立上り、DIN = Y1
SCLKの立下り、DOUT = X1
SCLKの立上り、DIN = Y0
SCLKの立下り、DOUT = X0
アクティブローCSをハイに

この例では、アクティブローCS、SCLK、およびDIN信号でMAX4820を制御しています。DOUTはMAX4820によって駆動されます。