アプリケーションノート 4648

新しいイコライズドSATA I/II/IIIリドライバがeSATAケーブル駆動を改善


要約: MAX4951BE SATA I/II/III双方向リドライバは、入力イコライゼーション、プリエンファシス、さらには2つの新しい低電力モードを特長としています。このデバイスによって、システムの一部として長いFR-4またはフレックスケーブルを利用することが可能になり、必要なeSATAコンプライアンスポイントに適合します。MAX4951BEは、SATAホストをeSATA外部接続に適合させるという問題を解消します。

はじめに

SATA¹は、ラップトップ、デスクトップPCの両方に内蔵されているハードディスクドライブのどちらにも接続可能になっています。SATAには内蔵と外付け(eSATA)という2つの基本形態があります。いずれの形態も、2つの平衡対と平衡対間にアースを持つ7本の導体ケーブルを使用しています。加えて、eSATAは、最長2メートルまでの経路に対応しており、ケーブルをシールドしています。多くのラップトップおよびデスクトップコンピュータは、eSATAドライブが使用するeSATAコネクタを内蔵しています。3.0Gbpsという現在のデータ転送速度は、USB 2.0ドライブの最大10倍の速度でデータを転送することができます。不格好なパラレルケーブルとは異なり、SATAケーブルおよびeSATAケーブルは細く、フレキシブルで、取り扱いが比較的簡単です。

eSATAポートのSATA接続装置への接続における課題への対応

SATAおよびeSATAは、3.0Gbpsすなわち300Mbpsの速度でデータを転送します。eSATA信号は通常、標準内蔵SATAポートから出力されます。この信号は、プリント基板を通過してeSATAコネクタに送信されます。多くのホストは、基板、コネクタ、さらにはケーブルの損失を補う駆動能力を備えていません。
MAX4951BEは、eSATAポートをSATA接続装置に対する適合問題を克服します。MAX4951BEは、eSATAケーブルを駆動し、イコライゼーションにより両方向の信号を強化します。入力イコライゼーション(EQ)および出力プリエンファシス(PE)はいずれも、信号の質を改善します。基板トレース、ケーブルは双方とも、ローパスフィルタ特性を示します。標準的な基板あるいはケーブルは、600MHzで-3dBポイントを示します。基板またはケーブルの損失は周波数に依存するため、高周波損失を補償するデバイスが理想的な組み合わせとなります。eSATAを使用する場合、システムは、2つの方向に進む信号、1つはホストから記憶装置に進む信号と、1つは記憶装置からホストへ戻る信号に対応しなければなりません。
図1. 標準的なeSATA-SATAセットアップ。ホストは、eSATAコネクタに接続されている数インチの基板またはケーブル、さらにはハードディスクドライブに接続されている長さ2メートルのeSATAケーブルを駆動します。
図1. 標準的なeSATA-SATAセットアップ。ホストは、eSATAコネクタに接続されている数インチの基板またはケーブル、さらにはハードディスクドライブに接続されている長さ2メートルのeSATAケーブルを駆動します。

基本構成

標準的なレイアウトを図1に示します。コントローラハブ(ホスト)は、MAX4951BEから数インチ離れています。ホストは、eSATAに接続されている数インチの基板またはケーブル、さらにはハードディスクドライブに接続されている2メートルの長さのeSATAケーブルを駆動します。ホストから送信される信号は、内部仕様に適合します。信号はわずか400mVP-Pです。信号は、さらに3インチ~9インチの基板からコネクタへ移動します。この信号は、フレックスコネクタまたはリボンコネクタで基板に接続されることがあり、1dB~7dBの損失は珍しくありません。その場合、400mVP-Pの信号は、eSATA出力レベルの要件に適合しなくなります。さらに、高周波ロールオフは、依存性のジッタ(DJ)を引き起こします。

イコライゼーションの重要性

MAX4951BEは、入力イコライザーション機能を持つリミティングアンプを内蔵しています。入力イコライゼーションは、リミティングアンプの前にハイパスフィルタを備えており、これにより基板またはケーブルに対するローパスフィルタの影響を補正します。出力振幅は修復され、200mV~1600mVに対して一定です。出力レベルは600mVP-P以下に固定されているため、基板の損失は解消されます。デバイスの出力のアイダイアグラムを図2Aに示します。出力は、400mVP-P以上という信号要件に問難なく適合します。入力EQは、基板からのローパスフィルタリングに起因するジッタの排除に寄与します。

プリエンファシス(PE)の重要性

図2Aに示す信号は、eSATA要件に問題なく適合しています。信号が、リボンケーブルまたはフレックスケーブルあるいは長いFR-4経路を駆動して、コネクタに到達するには補助が必要になります。リボンケーブルおよびフレックスケーブルは、3.0Gbpsにとって理想的なリンクを形成しません。これらのケーブルは、より大きな損失、高周波ロールオフ、さらにはジッタを誘発するからです。MAX4951BEは、出力プリエンファシス(PE)のオプション設定を備えています。PEは、信号がチップから送信され、コネクタまで移動した後に信号の高周波応答を改善します。PEは、ビットが1から0あるいは0から1に変わるたびに振幅を大きくします。図2Bをご覧ください。遷移ビットが発生するたびに、MAX4951BEは、PEをイネーブル状態にして割増のエネルギーをこのビットに供給します。割増された高周波エネルギーは、コネクタおよびケーブル/ソケットアセンブル内の高周波損失を解消するのに寄与します。MAX4951BEが、コネクタに接続されている対応が困難な経路を駆動しなければならない場合、割増されたエネルギーが使用されることになります。設計者は、ピン8およびピン9にプルアップ抵抗を接続した基板を立案することができます。アイダイアグラム内のeSATAコンプライアンスポイントにおけるアイが閉じている場合には、プルアップ抵抗を追加します。信号が、ソケットにおいて大幅なオーバーシュートを示す場合、PEは不要で、プルアップ抵抗を取り外すだけでオーバーシュートは解消されます。MAX4951BEは、これらのピンが抵抗を接地しなくてもいいように内部プルダウン抵抗を備えています。信号がホストに戻る場合、コンプライアンスポイントはありません。「経験則」では、MAX4951BEとホストとの間の距離が5インチを超える場合、または、信号が複数のバイアを通過しなければならない場合、PEの使用が有効です。図2Bに見られる「バンプ(隆起)」は、遷移ビットに対する高周波成分の増加を示します。オシロスコープ画面上の画像は、長い基板経路またはケーブルに対する優れた駆動性能を示します。
図2A. MAX4951BEの出力のアイダイアグラム。400mVP-Pという信号要件に問題なく適合しています。
図2A. MAX4951BEの出力のアイダイアグラム。400mVP-Pという信号要件に問題なく適合しています。
図2B. PEは、ビットが1から0あるいは0から1に変わるたびに振幅を大きくします。
図2B. PEは、ビットが1から0あるいは0から1に変わるたびに振幅を大きくします。

帯域外(OOB)信号のスケルチング

SATA/eSATA信号は複雑で、初期ハンドシェークに使用される帯域外(OOB)信号を含みます。 OOBは、1.5Gbpsバーストであり、バーストにおいてエンベロープが解釈されます(図3)。MAX4951BEは、信号が要求レベルを下回ると出力を除去する高速スケルチシステムを採用しています。この機能は、入力側にノイズが存在する場合、出力の増幅を確実に回避します。MAX4951BEは、信号が100mVP-P未満でスケルを実行するため、SATA仕様に適合します。
図3. OOBは、1.5Gbpsのバーストです。
図3. OOBは、1.5Gbpsのバーストです。

入力側および出力側でのコンデンサカップリング

最終基板は、デバイスの50Ω入力に対応するよう慎重に配置すべきです。設計者は、「スタックアップ」が100Ωの平衡トレースを発生するよう基板ベンダーと相談すべきです。MAX4951BEは、ホスト側、ドライブ側の両方からコンデンサと結合する必要があります。ドライブとMAX4951BEが、入力側、出力側の両方でコンデンサカップリング(12nf以下)を使用する場合は何も問題はありません。設計者が、eSATAコネクタの近くにMAX4951BEを配置し、接続にリボンケーブルを使用していない状態で、PEを使用するとシステムは最大振幅の仕様から外れてしまいます。この場合、ユーザーは、ピン9に接続されている推奨プルアップ抵抗を取り外す必要があります。

パワーマネージメント

電力消費量は、大半の設計にとって重要な問題です。MAX4951BEは、単独でも、あるいは組み合わせても使用することができる2つの省電力機能を採用しています。
前に述べたように、MAX4951BEは、有効な入力信号が存在しているか否かを判断するスケルチシステムを備えています。デバイスの電流のおよそ3/4は、出力段で消費されます。MAX4951BEは、有効な信号が存在しない場合に部分的にスリープモードに入ることで電力消費量を抑えます。SATAが作動していない場合のデバイスの電力消費量は、わずか≈15mAです。SATAのトラフィックは連続しておらず、標準的なトラフィックパターンは、平均電力消費量をピーク消費量の≈50%まで低減します。
MAX4951BEは、ケーブル検出(CAD)ピン(ピン18)も備えています。このピンは、300kΩ抵抗により+3.3Vまで内部プルアップされます。ピン18がフロートしたままの状態の場合、デバイスの電力消費量は1mA未満です。このピンは、実際には低イネーブルピンであり、接地されている場合は通常の動作を行います。このピンを自動パワーダウン機能として作動させるのは極めて簡単です。

パワーダウンの自動化

SATA/eSATAコネクタには、ピン1、ピン4、ピン7という3本のグランドピンがあります。パワーダウンは、これらのピンのいずれか1本(たとえばピン1)を非接地状態にし、ピン18をこのピンに結合するだけで簡単に自動化することができます。ケーブル/ハードディスクドライブが接続されている場合、今回の例のピン1は、ピン4およびピン7を介して接地されるため、MAX4951BEはイネーブル状態になります(図4)。高周波部に問題がある場合、設計者は、ピン1から5nfコンデンサを接地させるだけでピン1をAC接地することができます。ケーブルが接続されていない場合、MAX4951BEはほぼ電流ゼロで動作します。ハードディスクドライブが接続されている場合、MAX4951BEは正常に機能します。
自動パワーダウンが不要な場合、設計者は、ピン18を接地するだけです。デバイスは正常に機能する一方で、前述の低電力スケルチは引き続き有効です。設計者は、ピン18の地絡用0402パッドを使用した基板を配置すると良いでしょう。1nf~5nfの0402コンデンサをこの位置に設置し、試験を実施してください。この低電力スケルチ機能が有用でないと思われる場合は、コンデンサを0Ω抵抗に交換するだけです。
図4. MAX4951BEの自動パワーダウンのセットアップ
図4. MAX4951BEの自動パワーダウンのセットアップ

6.0GbpsのデータレートおよびeSATA接続

SATAおよびeSATAのデータレートは1.5Gbps~3.0Gbps、そして最近では6.0Gbpsにまで進化しています。SATA仕様の現行バージョンはv. 3.0で、内部ドライブ用として6.0Gbpsのデータ転送速度に対応しています。この仕様は、まだeSATAには対応していませんが、数か月以内にはeSATAに対応することができるよう変更が施されると思われます。設計者は、リドライバデバイスを使用しなければ、このデータレートに対応できる基板の設計は非常に大変でしょう。マキシムは、いかなる変更も施さずにMAX4951BEが6.0Gbpsの速度で動作するよう設計しました。デバイスを設計、認定する際、同じデバイスが次世代ハードウェアでも使用できることを確認しておくと良いでしょう。6.0Gbps信号でのMAX4951BEの性能を図5に示します。オープンアイを生成し、ジッタをほとんど発生しないこのデバイスは、6.0Gbps eSATAが完成次第使用することができます。
図5. MAX4951BEは、6.0Gbps信号からオープンアイを生成し、ジッタをほとんど発生せず、今後登場するeSATA仕様で使用することができます。
図5. MAX4951BEは、6.0Gbps信号からオープンアイを生成し、ジッタをほとんど発生せず、今後登場するeSATA仕様で使用することができます。
設計者は、外部とインタフェース接続しているデバイスがどれほど堅牢かを検討する必要があります。eSATAは、ピンの露出を確実に防止しますが、問題はあります。eSATAを使用しても、静電放電(ESD)保護ダイオードを部品の内部あるいは外部に簡単に追加することはできません。1pfダイオードでさえ、3.0Gbpsのデータレートで100Ωのリアクタンスを出力へ分流します。マキシムは、eSATAのデータ速度を予測し、最大±8kVの内部保護機能(ヒューマンボディモデル)を追加しました。すべての性能仕様は、デバイスの完全性を確保するためこの保護機能を反映しています。

結論

MAX4951BEは、SATAホストをeSATA外部接続に適合させます。MA4951BEは、基板の損失とジッタの誘発を解消するため、入力イコライゼーション、選択可能な出力プリエンファシスの両方を採用しています。MAX4951BEは、電力消費量を低減する2つの低電力機能を備えており、ハードディスクドライブが接続されていない場合は電力消費量を1mA未満とし、eSATAトラフィックが存在しない場合は電力を抑えます。
設計者は、プロトタイプ段階で、ジャンパとして2、3の抵抗を使用して部品をセットアップし、どのモードが適切かを判断することがすることができます。これにより、コードのデバッグおよびソフトウェアの試験に要する時間を短縮することができます。最後に、MAX4951BEは、±8kVのESD保護機能を備えているため非常に堅牢です。MAX4951BEは、SATA 3.0ドライブで使用できるため「将来性が確保された」デバイスです。MAX4951BEには評価(EV)キットが用意されています。MAX4951BEVKITをご覧ください。EVキット基板には、SATAコネクタおよびレベル設定用ジャンパが含まれ、さらに、SMAコネクタを使用して高周波性能試験を行う独立したセクションがあります。
¹SATAとはSerial Advanced Technology Attachmentで、記憶装置用の高速シリアルインタフェースのことです。
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