アプリケーションノート 4610

外部PWM制御によるWLED (白色LED)ドライバMAX6948の補足

筆者: Zeeshawn Shameem

要約: このアプリケーションノートは、デバイス内蔵のPWMを補足するために外部PWM (パルス幅変調器)輝度制御を追加する方法を説明します。WLED (白色LED)ドライバのMAX6948をデバイス例として用います。回路構成とパフォーマンスデータを示します。

MAX6948の概要

WLED (白色LED)ドライバのMAX6948は、+2.7V~+5.5Vの入力電圧範囲で動作し、携帯電話のバックライトを駆動するために+28Vまで出力電圧を昇圧します。WLEDの順方向電圧が3Vならば、MAX6948の28V高耐圧ポートは携帯電話の液晶画面バックライトのための9つの直列WLEDを駆動するのに用いられます。この高耐圧ポートは最大で30mAの安定した電流を供給します。これらのシリアルバックライトLEDの輝度は10ビット、1024ステップPWMメカニズムによってコントロールされます。

MAX6948はバッテリから直接LEDを駆動することもでき、またオープンドレインI/Oとして使うこともできる5つの汎用ポートをも備えています。LEDドライバとして使われるとき、これらの8V耐圧ポートは8ビット、256ステップPWM輝度制御を備えた10mAまたは30mA (max)の定電流を供給します。

MAX6948はI²Cコマンドによる異なるLED輝度を駆動するためのPWMを発生する集積化デバイスです。WLEDを駆動するブースト出力は、フルオン、フルオフ、または10ビットのPWMモードになります。最大電流はフィードバック抵抗、RBで決定されます。RBが3.3ΩであればLEDを流れる最大電流はおよそ30mA (VFB/RB = 100mV/3.3Ω 30mA)です。RBが30Ωであれば最大電流はおよそ3.3mAです。制御電圧、VFBは約100mVで安定し、WLEDを流れる最大電流をコントロールします。フィードバック抵抗を調整することによってWLED輝度の追加制御を実現することができます。

外部PWMコントロールの追加

携帯電話用プロセッサには直接LEDの輝度制御を行うためのPWM出力を備えているものがあります。その出力を用いて、外部PWM信号とI²Cコマンドは異なる目的のためのLED輝度制御にどちらも使用することができます。MAX6948は外部PWM信号入力を持っていませんが、回路(図1)を直接外部PWM輝度制御を追加するよう構成することができます。

図1. 外部PWMコントロールをWLEDドライバのMAX6948に適用した回路。5kHzのマイクロコントローラからのPWMは0~100%までのデューティサイクルで適用されます。
図1. 外部PWMコントロールをWLEDドライバのMAX6948に適用した回路。5kHzのマイクロコントローラからのPWMは0~100%までのデューティサイクルで適用されます。

この方法では、PWM制御信号はマイクロコントローラのMAXQ2000のEV (評価)ボードから与えられます。回路の出力電圧範囲は0V~+3.3V、周波数は5kHz、デューティサイクルは0%~100%まで調整することができます。MAX6948はそのEVボードに搭載されており、そしてVishay®のSI4800BD n-FETトランジスタはフィードバック抵抗を調整するのに用いられています。携帯電話のアプリケーションには、低ドレインソース間抵抗(RDSON)のより小型なn-FETトランジスタが使われなければなりません。あるいは、高いRDSONを補償するためにRBの抵抗値を減らすこともできます。SI4800BDは非常に低いオン抵抗を備えていますが、8ピンSOパッケージの中に収められています。5kHzの低いPWMスイッチング周波数のため、MAXQ2000のドライバが使われる場合、ゲートチャージによる効果は無視できます。スイッチングと電流はどちらもそこを通過するので、トランジスタでの電力消費は無視されます。図2は実験用セットアップを示します。

図2. 左側のMAXQ2000-KITと右側MAX6948搭載ボードによる実験用セットアップ
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図2. 左側のMAXQ2000-KITと右側MAX6948搭載ボードによる実験用セットアップ

試験結果

図3から5までは電流プローブを用いて測定され、直列WLEDを流れる電流を表します。MAX6948の内部PWMの機能はオン、そしてそのデューティサイクルは50%に設定しました。図3は外部PWMデューティサイクルが15%のときのLED電流を示し、図4は外部デューティサイクルが85%のときの電流を示します。図5は直列WLEDを流れる電流に対する外部PWMの作用を示します。

データによると、MAX6948がもつ時定数とフィードバック特性のために、LEDの電流レベルは30Ωの抵抗により決まる最も低い値と3.3Ωにより決まる最も高い値の間でスイッチングしているわけではないことが分かります。平均振幅とPWMのスイングは外部PWMのデューティサイクルの設定によって変化します。

図3. 15%の外部PWMデューティサイクルによるLED電流
図3. 15%の外部PWMデューティサイクルによるLED電流

図4. 85%の外部PWMデューティサイクルによるLED電流
図4. 85%の外部PWMデューティサイクルによるLED電流

図5. 外部PWM効果の詳細
図5. 外部PWM効果の詳細

外部のPWM制御はこの場合、n-FETトランジスタの瞬時抵抗値および平均抵抗値を変えることによって与えられます。これはさらに直列LEDを流れる電流を変化させます。この構成について注意すべき2つの重要な事実があります。まず最初に、5kHzの外部PWM周波数は125Hzの内部周波数より非常に高いことです。第2に、外部PWM制御はLED電流のDC成分も安定化しています。これら2つの特長により、デュアルPWM輝度制御によく見られる「干渉」問題は避けられます。0%~100%までの内部PWMに対して様々なデューティサイクルの外部PWM制御が適用され、外部制御の有効性が確認されます。どのようなデューティサイクル設定でも干渉は見られません。

LEDの発光はある限られた領域内では順方向電流に対して直線的に変化します。図6はMAX6948のEVボードで使われるKingbright® WLEDの発光輝度対順方向電流をプロットしたものです。抵抗RBを3.3Ω~30Ωの間で変調することにより、30mA~3.3mA間の順方向電流を生じます。図6が示すように3mA~30mAの間での電流と輝度の関係は線形に近くなります。0%の外部PWMデューティサイクルは3mAでの輝度を生じ、また100%のデューティサイクルでは30mAでの輝度を生じます。これらの結果は、内部PWM輝度が完全にオンであることを前提とします。輝度レベルはI²CのPWMコマンドを使い、デバイスの内部PWMを制御することにより低く調節することができます。

図6. 輝度と電流の関係
図6. 輝度と電流の関係