アプリケーションノート 4261

製品に依存する温度オフセットの測定と較正

筆者: Brian C. Wadell

要約: このアプリケーションノートでは、測定すべき温度がチップの外部にあるときに、MAX1358/MAX1359のデータ収集システムの温度読取り精度を最適化する手順について説明します。

はじめに

MAX1358/MAX1359のデータ収集システムは、内蔵ダイオード・ジャンクションを備えています。このダイオードの固有のi-v特性を使用して温度を測定しています。測定の精度を向上するために、マキシムはキャリブレーション係数を各デバイス内に保存し、小さな読取り誤差を補正して、最適な精度を実現しています。

温度の読取り値は、ジャンクションの実際の温度に一致しています。温度変化を監視しているアプリケーションでは、この読取り値をそのまま使用することができます。所望の温度がたとえばプラスチック封止ケースの外部にあるようなアプリケーションでは、読取り値を数度だけオフセットすれば、さらに正確な温度が得られます。

このアプリケーションノートでは、ユーザ製品に対してこのオフセットを測定して使用する方法について説明します。デバイスの内部に保存されるキャリブレーション係数データの使用方法については、アプリケーションノート4296 「Measuring Temperature with the MAX1358 Data Acquisition System」で説明しています。

温度測定モデル

MAX1358/MAX1359の内蔵温度センサは、内蔵ダイオード・ジャンクションまたはお客様がご用意する外部温度センサによって温度を測定します。2つの定数(m、b)は、チップ上のキャリブレーションレジスタに保存され、内蔵ダイオードと他の回路の理想からの偏差によって生じる測定誤差を補正します。測定、計算、およびデバイス毎や温度によって変わる非理想性による誤差を除去するための4電流手順については、上述のアプリケーションノート4296で説明しています。この4電流手順は、内蔵と外部の両方のダイオード・ジャンクションの温度センサに適用することができます。

図1. ダイオード・ジャンクションによる温度測定
図1. ダイオード・ジャンクションによる温度測定

MAX1358/MAX1359で測定する温度は、ジャンクションの温度です(図1)。関連するジャンクション温度TJ、周囲温度TA、およびケース温度TCについてよく知られたモデルを図2に示します。

図2. ジャンクション温度と周囲温度
図2. ジャンクション温度と周囲温度

このモデルでは、熱特性は等価回路に変換されています(チップをマキシムにて較正するとき、ケース温度TCと周囲温度TAはオイル槽によって強制的に同じになっていることに留意してください)。

図3. 製品の熱モデル
図3. 製品の熱モデル

チップを回路基板に実装したとき(図3)、MAX1358/MAX1359でわかるTJの値は、次の多くの製品固有の要因に依存します。
  • PCBの温度
  • PCB付近の空気の温度
  • PCBに対するエクスポーズドパッドの熱結合
  • MAX1358/MAX1359が消費する電力
  • PCB回路が消費する電力
  • 製品の周囲の空気の温度
  • 周囲温度から製品を断熱するパッケージング
上記の要因によって、MAX1358/MAX1359の内部で見られる温度TJと、MAX1358/MAX1359の外部で測定したい点との間に差が生じます。つまり、デバイスで測定したTJは、実際のTEXTの推定値すなわちTESTであるということです。

幸い、固定セットアップの場合、TJおよびTEXT間の差のほとんどは、小さく一定した製品に依存するオフセットであり、いくつかの簡単な測定によって求めることができます。

温度オフセットを計算する手順

簡単な手順を使用して製品に固有のオフセットを補正することができます。以下のワークシート(図4)に手順を説明しています。

「銀色」の係数は、MAX1358/MAX1359内に保存されているキャリブレーション係数の値(TEMP_CALレジスタ)を指します。これらの値は、SPI™バスを経由してチップから読み取ります。この値は、以下の式で使用されます。

TESTIMATE (°C) = TMEAS (°C) × GS + OS (°C)

図4. 製品固有の温度オフセットの除去
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図4. 製品固有の温度オフセットの除去

銀色の係数は、測定したTJから実際の温度の推定値に変換したいときにいつでも使用されます。

ユーザ製品の特性確認する間、温度オフセットを測定するには、2つの数値、すなわちMAX1358/MAX1359によって推定された温度(上式のC)とユーザ製品の外部の実際の温度(上式のA)が必要です。実際の温度は、既知の正確なセンサ、計器、および手順で測定する必要があります。これらの2つの数値によってDの値、すなわち製品固有の温度オフセットを計算することができます。Dの標準値は、0°C~+6°Cです。

この手順は、特性確認する間に繰り返し行って、製造するすべての製品について固定するのに値が十分に安定しているかどうか、あるいは製造する各製品毎に値を適用する必要があるかどうかを判断する必要があります。製品毎で安定している値は、ファームウェアに固定することができます。製品毎で安定しない値は、製品毎に、製造中に不揮発性メモリに保存する必要があります。

最後に、Dの値は、Kに関する式に示すようにランタイムで使用されます。結果は、ユーザ製品の外部における所望の温度を予測した、較正、オフセットされた読取り値です。

まとめ

MAX1358/MAX1359ファミリの内部温度センサで見られる温度読取り値の精度を簡単に向上する手順について説明しました。

この手順は、ユーザ製品が温度の変化だけを見る場合には不要であることに留意してください。たとえば、温度が上昇または下降したときに単に別の操作をトリガしたいだけの場合などです。この場合、あらゆるオフセット条件が消去されます。

また、外部温度センサがTEXTにさらされていない場合も、その外部センサを用いて同様の手順を使用することができます。

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