アプリケーションノート 3973

マキシムのアクティブ放射制限回路の説明


要約: このアプリケーションノートでは、民生用電子機器で「フィルタレス」動作を可能にするために、マキシムの第3世代D級オーディオパワーアンプが利用している技術について説明します。特にこの記事では、マキシムの新しいアクティブ放射制限回路によって、オーディオ性能を低下させることなく放射妨害波を最小限に抑える方法について説明します。

はじめに

マキシムの第2世代D級オーディオパワーアンプは、独自のスペクトラム拡散変調モードを備えており、広帯域のスペクトル成分を平坦化し、スピーカとケーブルによって放射されるEMI放射を改善しています。マキシムの第3世代D級オーディオパワーアンプは、新しいアクティブ放射制限回路を用いた同じスペクトラム拡散技術を採用しており、オーディオ性能を低下させることなく狭帯域のスペクトル成分をさらに低減しています。これら2つの独自の技術を組み合わせることによって、MAX9705などのマキシムのD級オーディオパワーアンプは、最大24インチの非シールドケーブルによる「フィルタレス」動作が可能となり、さらにEN55022の電磁波妨害(EMI)規制基準にも引き続き適合しています。この記事では、D級アンプで想定される高効率を維持しながら放射妨害波レベルを最小限に抑えるため、アクティブ放射制限のD級アンプでマキシムが採用している技術について説明します。

マキシムの第3世代D級技術

マキシムの第3世代D級オーディオパワーアンプは、新しいアクティブ放射制限回路を用いたマキシムのスペクトラム拡散技術を特徴としており、狭帯域のスペクトル成分をさらに低減しています。1アクティブ放射制限回路は、起こりうるすべての過渡出力電圧の状況の下で、出力FETのゲート遷移を能動的に制御することによって、EMI放射を大幅に低減します。各ゲート遷移のエッジレートをインテリジェントに制御することによって、放射の原因となるレイルトゥレイルに近いスイングや高速スイッチング周波数を低減すると同時に、アンプの効率に対する影響をできるだけ少なくしています。

D級アンプの高効率は、レイルトゥレイルに近いスイングと、出力FETの高速オン/オフ遷移によるものであるため(図1)、エッジレート制御は、D級アンプの効率にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

図1. スイッチングエッジレートとトランジスタのRDS(ON)によって生じる損失の領域を示したD級出力波形
図1. スイッチングエッジレートとトランジスタのRDS(ON)によって生じる損失の領域を示したD級出力波形

出力を高速に遷移すると、立上り時間や立下り時間の損失が最小限となり、高効率が得られます。オン/オフの遷移時間が増大すると、効率は低下します。アクティブ放射制限を使用すると、出力FETのゲート遷移はインテリジェントに制御されるため、最大限のD級効率が得られると同時に、優れた放射性能が維持されます(図2)。

図2. アクティブ放射制限回路は、D級スイッチング波形のエッジレートをインテリジェントに制御し、効率をほとんど低下させることなく放射妨害波を低減します。
図2. アクティブ放射制限回路は、D級スイッチング波形のエッジレートをインテリジェントに制御し、効率をほとんど低下させることなく放射妨害波を低減します。

MAX9705のD級アクティブ放射制限アンプ

MAX9705は、マキシムの第3世代D級技術を特徴とする超低EMIのモノラルD級アンプです。MAX9705は、最大90%の効率を実現し、12インチの非シールドツイストペアスピーカケーブルによって、FCC規制値に対して15.8dB準ピーク値マージンを示します(図3)。さらにすばらしいことに、MAX9705は、最大24インチの非シールドツイストペアスピーカケーブルでもFCC規制値をクリアすることができます(図4)。

図3. MAX9705の放射妨害波データ(MAX9705EVキット、スペクトラム拡散変調モード、12インチの非シールドツイストペアスピーカケーブル)
図3. MAX9705の放射妨害波データ(MAX9705EVキット、スペクトラム拡散変調モード、12インチの非シールドツイストペアスピーカケーブル)

図4. MAX9705の放射妨害波データ(MAX9705EVキット、スペクトラム拡散変調モード、24インチの非シールドツイストペアスピーカケーブル)
図4. MAX9705の放射妨害波データ(MAX9705EVキット、スペクトラム拡散変調モード、24インチの非シールドツイストペアスピーカケーブル)

優れたEMI性能に加えて、MAX9705のICは、0.02%という低いTHD+N、75dBという高いPSRR、および0.3µAという低電力のシャットダウンモードを特徴としています。MAX9705は、10ピンTDFN (3mm x 3mm x 0.8mm)、10ピンμMAX®、および12バンプのUCSP™ (1.5mm x 2mm x 0.6mm)パッケージで提供されます。詳細およびその他の仕様については、MAX9705のデータシートを参照してください。

結論

マキシムの第3世代D級アンプの放射性能によって、家庭用電子機器においてD級アンプの真の「フィルタレス」動作が可能となります。上記のように、スペクトラム拡散変調とアクティブ放射制限回路によって、部品数は削減され、バッテリ寿命は延長し、さらにマキシムの第3世代D級アンプは、効率を犠牲にすることなくAB級の性能を実現することができるようになります。結果として、この「フィルタレス」技術によって、さらに小型のコスト効率に優れたソリューションが可能となり、携帯電話、MP3、PDA、およびノートブックの応用に最適なアンプとなります。

1マキシムのスペクトラム拡散変調技術の詳細については、アプリケーションノート3881 「D級アンプの電磁波妨害を最小限にするスペクトラム拡散変調モード」を参照してください。

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