アプリケーションノート 3962

5GHzまでおよび5GHzを超えるRF測定用のマイクロ同軸「ピグテール」


要約: マイクロ同軸「ピグテール」は、RF信号経路問題を診断または解決しようとする誰にとっても有用なツールです。注意深く適用すると、このピグテールを使って、5GHzまでおよび5GHzを超えるネットワークの特性を規定することができます。このアプリケーションノートではピグテールの汎用性に関する概要を示し、適切な適用手法を紹介します。

今日の無線設計およびデバッグに従事する誰もが直面する課題のひとつは、コネクタ化されていない信号経路部分を正確に測定することです。例えば、入力端がダイプレクサに、出力端がLNAに結合されている場合は、フィルタの挿入損失(S21)はどのように測定されるのでしょうか? あるいは、パワーアンプ(PA)の出力電力およびリニアリティが問題であるかもしれませんが、この場合、一端はダイプレクサに、もう一端はTxドライバに接続されています。これらの例(およびその他の多くの例)の解決策は、通称「ピグテール」と呼ばれるセミリジットマイクロ同軸ケーブルを注意して使用することです(図1)。


図1. 5GHz+まで有効なシールドマイクロ同軸ケーブル

数多くのソース(www.micro-coax.com)からいろいろな種類の特性インピーダンスのセミリジットマイクロ同軸ケーブルを入手することができます。50Ωのアプリケーションの場合は、超小型でフレキシブルケーブル[外径8mil (0.203mm)]から超硬質ケーブル[外径250mil (6.35mm)]までの範囲を対象にすることができます。これらのケーブルが汎用的である理由は、ケーブルを信号経路に直接半田付けし、キーパラメータを測定する一時的手段として、回路がこうした測定に対応するように設計されていなくても、ケーブルを使用することができる点です。

前述の挿入損失例に戻ると、SAWフィルタの挿入損失例が問題の場合は、まずデバイスの入力側と出力側で回路を切断します。次に、2本のマイクロ同軸ケーブルをボードに半田付けすることにより、デバイスの簡単な2ポート試験が可能になります。この測定は、デバイスがこの実際のボードでどのように動作しているか正確に評価するものです。たとえば、PCBレイアウトがなんらかの点で間違いがあり、S21は製造メーカーが意図したデバイス以上のものであるかどうかが明らかになります。同じ手法をPAに適用することによって、周辺回路なしでの試験と最適化が可能になります。この測定によってトランスミッタのスプリアス発射を排除し、入力と出力における不整合を識別可能で、レイアウト問題がさらに明白になります。また、全項目の試験を問題の診断に適用することができます。

ピグテールを最大限に活用するには、いくつかのガイドラインに従う必要があります。まず、測定を行う周波数を検討します。SMAエッジマウントコネクタに接続された同軸ケーブルによる手製ケーブルは、場合によっては最高2GHzまでの周波数で許容可能です。ただし、2GHzを超えると、こうしたケーブルは、SMAから同軸ケーブルへの遷移によってリターン損失およびインピーダンスに関して予測不能になります(図2a、2b)。これより高い周波数の場合は、「シールド」ケーブルアセンブリのほうが多くの場合適切です(図1、3)。シールドケーブルは、場合によっては最寄の中古部品および機器ディーラで探すことができます。これらのアセンブリを半分に切断すると、それぞれ2本のピグテールがもたらされます。

Figure 2a. Handmade microcoaxial cable - good to approximately 2GHz to 3GHz.
図2a. 手製のマイクロ同軸ケーブル。約2GHz~3GHzに有効

Figure 2b. Return loss (S11) of the handmade microcoaxial cable (terminated to 50 Ohm on a PCB).
図2b. (PCB上の50Ωに終端された)手製のマイクロ同軸ケーブルのリターン損失(S11)

Figure 3. Return loss (S11) of the sealed microcoaxial cable.
図3. シールドマイクロ同軸ケーブルのリターン損失(S11)

ケーブル長全体をできる限り短くして挿入損失を最小限に抑制しながら、ケーブル端から突き出る中心導線の量を最小限に抑えることも極めて重要です。こうした超過長は、ピグテールのリターン損失を大幅に悪化させます(図4a、4b)。

Figure 4a. Excess center conductor length can be detrimental.
図4a. 長すぎる中心導線長は悪影響を及ぼすおそれがあります。

Figure 4b. Return loss with excess center conductor length.
図4b. 長すぎる中心導線長によるリターン損失

測定用に設定する際に考慮すべきもう1つの項目は、ピグテールを接続する箇所のDC電圧レベルです。多くのスペクトルアナライザ(およびその他の機器)はDC電圧によって損傷するおそれがあることに注意してください。このため、DCブロッキングコンデンサをピグテールと被測定デバイスの間に取り付けるために、伝送経路を常に切断するようにしてください。

最後に、躊躇せずにグランディングを実行してください。半田マスクが邪魔な場合は、使い慣れたX-Acto®ナイフを取り出し、スペースを確保してください。RFと機械的な理由のため、グランドプレーンに対するシールドが増大するほど接触が向上します。測定中にグランド接続が悪くなると、極めて厄介なことになります。PCB配線の引っ張りやまたはブロッキングコンデンサの破損をもたらすおそれがあります。

以上のガイドライン、マイクロ同軸ケーブル、および少しの想像性によって、伝送経路の隠れたパラメータはもはや謎ではなくなりました。これらの安価なツールによって、インピーダンスマッチングを最適化し、以前は思いもよらなかった挿入損失を測定し、システムの一部を分離して、これまで以上に無線設計を本当に「熟知」することができます。

同様の記事が、RF Design Magazine誌の2006年2月号に掲載されました。


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