アプリケーションノート 3539

50ワットの中間バスアーキテクチャ(IBA)仕様の電源

筆者: Suresh Hariharan

要約: このアプリケーションノートでは、十分に安定化されて効率の良い、絶縁された12Vを48Vバスから供給する12V/50Wバスコンバータについて説明します。使用されるトポロジは、同期整流を備えたシングルスイッチのフォワードコンバータです。MAX5003は、この設計で使用するPWMコントローラであり、48V ±5%の狭い入力電圧範囲に対して最適化されています。

はじめに

中間バスアーキテクチャ(IBA)には2つの電力変換段が含まれています。第1段は、バスコンバータを使用して中間バス電圧を取得します。第2段は、ポイントオブロード(POL)コンバータを使用して中間バス電圧を1つまたは複数の十分に安定化された低電圧に変換し、近くの負荷に電力を供給します。このアプリケーションノートでは、十分に安定化されて絶縁された12Vを48Vバスから供給する12V/50Wのバスコンバータについて説明します。

電源仕様

  • 入力電圧:48VDC、±5%レギュレーション
  • 出力電圧:12V/4.2A
  • 最小負荷:ゼロアンペア
  • リップル:±1% (ピークトゥピーク)
  • アイソレーション:1500VAC
  • 低コスト
  • 効率:90%以上
  • 出力は短絡保護と過負荷保護が必要

電力変換トポロジ

この設計で選択可能な電力変換トポロジがいくつかあります。選択したトポロジは低コストで効率的でなければなりません。低コストという要件のためには、直接駆動のシングルスイッチトポロジを選択する必要があります。また高効率を達成するには、第2段で同期整流が必要です。この設計に最も適した選択は、次のようになります。
  • 第2段に同期整流を備えたシングルスイッチフライバック(図1)
  • 第2段に1次リセット巻線と同期整流を備えたシングルスイッチフォワード(図2)
図1. 同期整流を備えたフライバックコンバータ
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図1. 同期整流を備えたフライバックコンバータ

図2. リセット巻線と同期整流を備えたフォワードコンバータ
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図2. リセット巻線と同期整流を備えたフォワードコンバータ

シングルスイッチフライバックのトポロジの方が、出力インダクタがないという点でフォワードよりも優れています。フライバックでは、1次駆動信号をPWMコントローラU1から第2段に伝達するための回路と、特別な駆動トランスT2を追加する必要があります。次にこの信号を使用して、1次MOSFET Q1をオフにする直前に、第2段の同期MOSFET Q2をオフにします。さらに、Q3、Q5、C6、R3、D3、およびR4の回路を追加することによって、MOSFET Q1のオンを遅延させ、Q1がオンになる前に確実に2次MOSFET Q2がオフになるようにしています。この回路がなければ、MOSFET Q2がオフになるまでに2次トランスの両端で短絡が発生し、その結果、MOSFET Q1がオンになるときに、MOSFET Q1で電流スパイクを引き起こします。

シングルスイッチフォワードコンバータのトポロジでは、特別なインダクタが必要ですが、出力容量はフライバック設計よりも小さくなります。また特別な駆動トランス(上記のT2)を不要にすることも可能です。これには、トランスT1を完全にリセットすること、かつ1次スイッチがオンになる前にトランス両端の電圧を確実にゼロにすることが必要です。

IBA仕様の電源は入力電圧範囲が狭いため、動作デューティサイクルを最大限にすることができます。以下に示す設計では、MAX5003のPWMコントローラを使用します。図3は実際の電源の回路図です。

図3. 実際の電源の回路図
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図3. 実際の電源の回路図

電源の部品リスト
Designator Qty Description
C1 1 Ceramic capacitor 470pF, X7R, 50V, 10% (0402)
TDK C1005X7R1H471K
C10 1 Ceramic capacitor 0.33µF, X5R, 6.3V, 10% (0402)
TDK C1005X5R0J334K
C11 1 Ceramic capacitor 1µF, X5R, 6.3V, 20% (0402)
TDK C1005X5R0J105M
C12 1 Ceramic capacitor 2200pF, X7R, 50V, 10% (0402)
TDK C1005X7R1H222K
C13 1 Ceramic capacitor 0.1µF, X5R, 25V, 20% (0603)
TDK C1608X7R1E104M
C14, C17 2 Ceramic capacitor 0.068µF, 16V, 10% (0402)
TDKC1005X5R1C683Kex
C15 1 Ceramic capacitor 4700pF, 250VAC, X7R (2220)
Murata GA355DR7GC472KY02
C2, C3, C4 3 Polymer tantalum chip capacitor 47µF, 16V, 20%
Kemet T520D476M016ASE070
C5 1 Ceramic capacitor 1µF, 100V, X7R, 10% (1210)
TDKC3225X7R2A105K
C6 2 Ceramic capacitor 1µF, 16V, X7R, 20%, (0805)
TDKC2012X7R1C105M
C8 1 SMT Electrolytic capacitor 22µF, 50V, 20%
Panasonic EEVFK1H220P
D1 1 Zener diode 6.2V, 200mW (SOD323)
D2-D5, D7-D10, D12 9 Switching diode 75V, 150ma (SOD323)
Diodes Inc 1N4148W
D11 1 Silicon Epitaxial Planar Rectifier 200V, 200ma (SMINI2P)
Panasonic MA115
D5 1 Schottky diode 3A, 40A (SMA)
Diodes Inc B340A
L1 1 Inductor 3.3mh
Coilcraft DO1608C-335
L2 1 Inductor 12µH
Coilcraft DO5022P-103ML
Q3 1 Transistor PNP 60V SOT23 MMBT2907
Diodes Inc MMBT2907
Q4 1 N channel MOSFET, 80V, 15mΩ, SO8
International Rectifier IRF7493
Q5 1 N channel MOSFET 30V, 13.8mΩ, SO8
International Rectifier IRF7807Z
Q7 1 Nchannel MOSFET 200V, 79mΩ, SO8
International Rectifier IRF7892
Q6 1 N channel MOSFET, 30V, 1.2A, SOT23
Fairchild Semiconductor NDS351AN
R1 1 Resistor 27k, 5% (1206)
R10, R20 2 Resistor 20.0k, 1% (0402)
R11-R14 4 Resistor 1Ω 5% (0603)
R15 1 Resistor 66.5k, 1% (0402)
R16 1 Resistor 1.24k, 1% (0402)
R17 1 1.24k, 1%
R18 1 Resistor 562Ω, 1% (1206)
R19 1 Resistor 1k, 1% (1206)
R21 1 Resistor 100Ω, 1% (0402)
R22 1 Resistor 60.4k, 1% (0402)
R23 1 Resistor 0.025Ω, 1% (0805)
R27 1 Resistor 2.32k, 1% (0402)
R3 1 Resistor 261k, 1% (0402)
R4 1 Resistor 5.1k, 1% (0402)
R5 1 Resistor 490Ω, 1% (0402)
R6 1 Resistor 221k, 1% (0402)
R7 1 Resistor 22Ω, 1% (1206)
R8 1 Resistor 15k, 1% (0402)
R9 1 Resistor 453k, 1% (0805)
T1 1 Custom transformer (EFD20-12)
Delta 2004D-535A
U1 1 High Voltage PWM Power Supply Controller
MAXIM MAX5003ESE
U2, U4 2 Adjustable shunt regulator SOT23-5
Texas instruments TLV431IDB
U3 1 SMD Optoisolator 1channel HiCTR
NEC PS2911-1


図4. 12V/4.2Aにおけるリップルとノイズ(入力は48VDC)
図4. 12V/4.2Aにおけるリップルとノイズ(入力は48VDC)
注:リップルとノイズの測定で使用する帯域幅は20MHzです。最大負荷と48V入力でのピークトゥピークのリップルは110MVです。

図5. 50W出力と48VDC入力におけるQ7のVDSとID
図5. 50W出力と48VDC入力におけるQ7のVDSとID
注:Q7のピーク電圧は、48V入力の入力端にて152Vになっています。この理由は、トランスによって励磁されるインダクタンスと、Q7 (D-S)両端の全反射容量によってLC共振が形成されるため、リセット巻線がクランプされず、トランスがリセットされるからです。この容量には、トランスの1次容量、MOSFET Q7の容量、およびQ5 (D-S)からの反射容量が含まれます。また、トランス電圧がQ7のターンオンの直前にゼロに達していることにも留意してください。ダイオードD5の伝導時間の間隔を低減すると、上述のように効率は最適化されます。

図6. 最大負荷で48VDC入力におけるQ7の電流とQ5のVGS
図6. 最大負荷で48VDC入力におけるQ7の電流とQ5のVGS
注:フリーホイール用の同期MOSFET Q5は、Q7がオンになる前にオフにされているため、Q7の電流スパイクが防止されます(電流スパイクが生じると効率が低下します)。

図7. 最大負荷で48VDC入力におけるQ7の電流とQ5のVDS
図7. 最大負荷で48VDC入力におけるQ7の電流とQ5のVDS

図8. 最大負荷で48VDC入力におけるQ7の電流とQ5のVGS
図8. 最大負荷で48VDC入力におけるQ7の電流とQ5のVGS

注:50Wで48V入力における、この電源の測定効率は93%でした。電源は、この設計で規定したすべての要件を満たしました。短絡時に、電源はヒカップ電流制限状態に移行しますが、短絡が解除されると最大負荷状態に戻ります。
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