アプリケーションノート 3492

MAX5456/MAX5457を使用したオーディオのフェーディング回路

筆者: Jim LeClare

要約: このアプリケーションノートでは、単純な押しボタンインタフェース、3つのMAX5456/MAX5457 (ステレオ対数テーパディジタルポテンショメータ)を用いてボリューム、バランス、およびフェーダの制御を実行する方法について説明します。

ステレオオーディオテーパポテンショメータのMAX5456/MAX5457は、オーディオアプリケーションにおいて、ボリュームとバランスを制御する単純な押しボタンインタフェースを備えたデュアルタイプの対数テーパディジタルポテンショメータです。各ポテンショメータは32のタップポイントを持ち、メカニカルポテンショメータに取って代わります。MAX5456/MAX5457は、マキシムの独自のSmartWiper™制御を使用しているため、マイクロコントローラによってワイパーの遷移レートを増やす必要がありません。アクティブローDN / アクティブローBALまたはアクティブローUP / アクティブローBAL1を1秒以上ローのままにすると、最初の4秒間は4Hz、その後は16Hzのレートでワイパーが進みます。ボリューム制御モードでは、MAX5456/MAX5457のワイパーが同時に動き、各チャネル間のバランス分離を維持したまま、両方のチャネルのボリュームを調整します。バランス制御モードでは、MAX5456/MAX5457は、設定ボリュームを維持しつつ、チャネル0とチャネル1の間のバランスを調整します。さらなる機能として、シングルまたはデュアルの電源動作、カチッという音のしないスイッチング、-90dB (typ)までのミュート機能、-12dBのワイパー位置へのパワーオンリセット、(THD + N) = 0.01%、および小型16ピンQSOP/TQFNパッケージなどがあります。

AC信号でディジタルポテンショメータを使用する場合、特定の検討事項について対処する必要があります。1つ目として、AC信号をDCの供給電圧範囲にバイアスする方法を把握しておくことが重要です。2つ目として、ディジタルポテンショメータのステップは通常、値の等しい抵抗インクリメントを示すように設計されていますが、プロセス変動の結果として、終端間の抵抗の合計は、製品によって大幅に変動する可能性があります。ディジタルポテンショメータの中には、この値が±30%に達するタイプもあります(詳細については、アプリケーションノート161 「Using a DS1802 Push-Button Digital Potentiometer to Create an Audio Preamp with Attenuator」およびアプリケーションノート1828 「Audio Gain using Digital Potentiometers」を参照してください)。

図1. 3つのMAX5456/MAX5457 ICを使用して、ボリューム、バランス、およびフェーダの制御を実現するための回路ブロック図
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図1. 3つのMAX5456/MAX5457 ICを使用して、ボリューム、バランス、およびフェーダの制御を実現するための回路ブロック図

マルチスピーカ構成でフェーダの制御を必要とするアプリケーションでは、追加でMAX5456/MAX5467を使用してこの設計を実現します。

MAX5457では、アクティブローMODE入力を切り替えることによって、ボリューム制御またはバランス制御のモードを選択します。LED出力は、デバイスがボリューム制御モードまたはバランス制御モードのいずれにあるのかを示します。図1に示すアプリケーション回路では、U1は、ステレオ入力信号のバランスとボリュームを制御し、U2とU3で構成されるフェーダ制御に左と右の信号を出力します。ボリュームモードにて、U1のアクティブローDN / アクティブローBAL0またはアクティブローUP / アクティブローBAL1ボタンを用いてマスタボリュームを変更します。バランスを変更するには、アクティブローMODEをバランスモードに切り替えて、アクティブローDN / アクティブローBAL0またはアクティブローUP / アクティブローBAL1を使用します。

U2とU3は、それぞれ左と右のチャネル用のフェーダ制御を形成します。U2のバランスを調整すると、U1からの左の信号がL0とL1の間でフェードします。同様に、U3のバランスを調整すると、U1からの右の信号がR0とR1の間でフェードします。ボリューム制御とバランス制御の動作については、MAX5456/MAX5457のデータシートを参照してください。U2またはU3でのボリューム制御機能は通常、使用しません。U1がボリューム調整を処理するからです。ただし、オーディオパス内の不整合を補償するために、U2とU3でのボリューム調整が役に立つ場合もあります。

アプリケーション回路内でU1に先行するオペアンプは、ステレオオーディオソースからのラインレベルまたはハイインピーダンスの入力信号を増幅して、MAX5456/MAX5457を駆動します。MAX5456/MAX5457 ICの終端間の最小抵抗が7KΩに等しい場合、U1の左または右の入力に生じるワーストケースの負荷インピーダンスは、7KΩ (ワーストケース)および10KΩ (公称)になります。U1の出力上の2つのアンプは、バッファとして使用され、負荷を制限してTHDを最小限に抑えます。最後に、U2とU3の出力上の4つのアンプは、ワイパーの電流を最小限に抑え、信号を増幅して、スピーカを駆動します。