アプリケーションノート 3070

標準および白色LEDの基礎と動作


要約: 長年、発光ダイオード(LED)は状態表示やマトリックス型パネルにおいて、ポピュラーな選択となっていました。現在、広く普及している緑、赤、および黄色タイプと同様に、最近開発された青および白色LED (携帯機器で広く採用されています)を採用することができます。例えば、白色LEDはカラーディスプレイの背面照明用に理想的であると考えられています。しかし、その電源設計を行う場合は、これらの新しいLEDの本質的な特異性について、注意をする必要があります。このアプリケーションノートは従来および新型のLEDの特性と、それらを駆動するために必要とする電源に要求される性能について説明します。

標準の赤、緑、および黄色のLED

1個のLEDを動作させる最も簡単な方法は1個の抵抗器をLEDと直列に接続して、その両端に電圧源を印加することです。動作電圧(VB)が一定である限り、LEDは一定輝度の光を放射します(しかし、周囲温度が上昇すると、輝度は減少します)。この接続では、抵抗器の値を変えることによって光の強度を変えることができます。

図1は直径が5mmの標準型LEDに対する順方向電圧(VF)と順方向電流(IF)の関係を示しています。順方向電流を増加させると、LED両端間の電圧は大きくなることに注目してください。1個の緑のLEDの電流を10mAとして、動作電圧を一定の5Vとすると仮定すると、直列抵抗RVは(5V -VF,10mA)/10mA = 300Ωとなります。データシートに示された標準動作条件のグラフから、順方向電圧は2Vであることが示されています(図2)。

図1. 標準的な赤、緑、および黄色のLEDは1.4V~2.6Vの範囲の順方向電圧を示し、これは必要とする輝度と順方向電流に依存します。10mA以下の順方向電流では、順方向電圧は数百ミリボルトの範囲でしか変化しません。
図1. 標準的な赤、緑、および黄色のLEDは1.4V~2.6Vの範囲の順方向電圧を示し、これは必要とする輝度と順方向電流に依存します。10mA以下の順方向電流では、順方向電圧は数百ミリボルトの範囲でしか変化しません。

図2. 1個の抵抗器と定電圧源を使うと簡単にLEDを動作させることができます。
図2. 1個の抵抗器と定電圧源を使うと簡単にLEDを動作させることができます。

ここに示すような汎用のダイオードはガリウム、砒素、およびリンの化合物として作られています。取扱いが容易でほとんどの設計技術者に知られているこれらのダイオードは以下に示すような長所を持っています:
  • 発光色(放射する波長)は順方向電流、動作電圧、および周囲温度の変化に対して比較的、一定値に留まります。標準的な緑のLEDは波長が約565nmで、25nmの小さいバラツキを持ちます。色差が非常に小さいので、このようなダイオードを複数個、並列に接続しても、問題になりません(図3)。順方向電圧の正常変動は、わずかに輝度の変化をもたらしますが、しかし、それらも小さい問題です。同じ製造メーカで同じロットのLEDを使う限りは、通常はどのようなばらつきも無視することができます。
  • 順方向電流が約10mAまでは、順方向電圧はほとんど変化しません。その変動は赤色LEDでは約200mVであり、他の色では約400mVです(図1)。
  • 順方向電流が10mA以下の場合、順方向電圧は青や白色LEDに比べてはるかに低く、これによって、リチウムイオン(Li+)セルまたは3セルのニッケル水素(NiMH)からの直接駆動による安価な動作が可能となります。
図3. 図示された構成では、赤、黄色、または緑のLEDを複数、並列に接続して動作させる例ですが、色差、または明るさの差がほとんどありません。
図3. 図示された構成では、赤、黄色、または緑のLEDを複数、並列に接続して動作させる例ですが、色差、または明るさの差がほとんどありません。

このように、標準的なLEDを動作させるための電気回路のコストは、非常に安くなります。もし、LEDを駆動するための供給電圧がLEDの順方向電圧の最大値よりも大きければ、ブーストコンバータまたは複雑で高価な電流源は必要ではありません。

バッテリが放電するにつれて光の強度が減少してゆくアプリケーションが許容できれば、これらのLEDはリチウムイオン(Li+)またはニッケル水素(NiMH)電池を3個使って、直接、駆動することができます。

青色LED

青い光を発するLEDは、長い間入手することができませんでした。設計技術者は仕方なく、既存色の赤、緑、および黄色に頼るしかなかったのです。初期の頃の「青色」の素子は実際には、青のLEDではなく、青色の拡散器で囲まれた小さい白熱電球でした。

最初の「真の青色」LEDは数年前に純粋な炭化珪素材料(SiC)を用いて開発されましたが、その光効率は非常に低いものでした。その次の世代のデバイスは窒化ガリウム材料をベースとして、初期の頃よりも数倍の光効率を達成しました。今日では、青色LEDの結晶材料は窒化インジウムガリウム(InGaN)と呼ばれています。InGaNを用いたLEDは450nm~470nmの波長を放射して、窒化ガリウムLEDの光強度よりも、5倍の光を発生することができます。

白色LED

真の白色を発光するLEDは入手することはできません。そのようなデバイスを作ることは、LEDは、普通、単波長を発光するために困難です。白色は色のスペクトラムに現れるのではなく、白と認識するためには、複数の波長を混合することが必要です。

白色LEDを作るために、トリックが使われます。青を放射するInGaNをベースとした材料を、青色光で刺激すれば黄色光を放射する変換物質で覆います。この結果、青と黄色が混合されて、人間の目には白と認識されます(図4)。

図4. 白色LEDの放射波長(実線)には青色のピークと黄色の領域が含まれますが、人間の目には、白色として認識されます。人間の目の相対的な光感度(破線)が比較のために示されています。
図4. 白色LEDの放射波長(実線)には青色のピークと黄色の領域が含まれますが、人間の目には、白色として認識されます。人間の目の相対的な光感度(破線)が比較のために示されています。

白色LEDの色は色座標で定義されます。これらのXとY座標の値がCommission Internationale De L’Eclairage (CIE)のpublication 15.2に示された指示に従って計算されます。白色LEDのデータシートには、多くの場合、順方向の電流を変化させた場合のこれらの色座標の変化が示されています(図5)。

図5. 順方向電流を変化させると、白色LED (OSRAM Opto Semiconductors製のLEQ983)の色度座標がシフトし、従って白色光の品質が変わります。
図5. 順方向電流を変化させると、白色LED (OSRAM Opto Semiconductors製のLEQ983)の色度座標がシフトし、従って白色光の品質が変わります。

あいにく、InGaN技術によるLEDは標準的な緑、赤、および黄色タイプと同じように簡単に扱うことはできません。InGaN LEDの主波長(色)は順方向電流によって変化します(図6)。例えば、青を発光するInGaN材料が順方向電圧によって波長が変化することに加えて、色変換材料の濃度が変わることによって白色LEDは色のシフトを起こします。図5では色の変化を見ることができ、図5でXとY軸が変化することは色の変化が起こることを意味します(既に述べたように、白色LEDに固有の波長は存在しません)。

図6. 順方向電流を変化させると、青色LEDは放射波長が変化して、色合いが変わります。
図6. 順方向電流を変化させると、青色LEDは放射波長が変化して、色合いが変わります。

10mAまでの順方向電流では、順方向電圧は大きく変化します。その変化の範囲は約800mVです(さらに大きく変化するダイオードもあります)。バッテリの放電によって、動作電圧が変化すると、色が変化します。それは動作電圧が変化することで、順方向電流が変化するからです。順方向電流が10mAの場合、順方向電圧は約3.4Vです(この値はメーカーによって異なり、その範囲は3.1V~4.0Vの範囲です)。電流対電圧特性は、LED間での大きなばらつきも示しています(下記参照)。バッテリから直接LEDを駆動することは困難です。その理由は大部分のバッテリの放電状態では、LEDが最低必要とする順方向電圧よりも低い値を示すからです。

複数の白色LEDの並列駆動

ポータブルおよびバッテリ駆動の多くのデバイスは背面照明用に白色LEDを使用します。特に、PDAのカラーディスプレイは元に近い色を再現するために白色バックライトを必要とします。将来の3Gモバイルフォンは静止画とビデオデータを表示し、そのためには、白色バックライト照明が必要です。ディジタルスチルカメラ、MP3プレーヤ、およびその他のビデオおよびオーディオ装置もまた白色バックライトを必要とするディスプレイを備えています。

多くの場合、1個の白色LEDのみでは十分ではなく、複数個を同時に使用する必要があります。その場合、バッテリの充電状態およびその他の条件が変化しても、複数個のLEDの明るさの強度と色がマッチするように、特別な配慮を必要とします。

図7はランダムに選択した白色LEDグループの電流対電圧曲線を示しています。3.3Vの電圧をこれらのLED (上側の点線)に印加するとその順方向の電流は2mA~5mAの範囲で変化します。すると、異なった白色を作り出すことになります。特にY座標はこの領域で大きく変化し(図5)、その結果、照射型のディスプレイにおいて、真の色再現を行うことができません。また、複数のLEDは、異なった光強度を示し、それが均一でない映像を作り出します。この他、必要とする最小供給電圧の問題があります。LEDを駆動するために3Vを十分に超える電圧が必要です。このレベル以下の電圧では、いくつかのLEDは完全に無発光に留まる可能性があります。

図7. これらの曲線は、同じ製造ロットからランダムに選択した場合、白色LEDは電流対電圧特性に大きなばらつきが生じることを示しています。従って、そのようなLEDの複数個を並列に接続して、一定の3.3V (上の破線)で使用すると異なった白色および明るさとなります。
図7. これらの曲線は、同じ製造ロットからランダムに選択した場合、白色LEDは電流対電圧特性に大きなばらつきが生じることを示しています。従って、そのようなLEDの複数個を並列に接続して、一定の3.3V (上の破線)で使用すると異なった白色および明るさとなります。

リチウムイオンバッテリは完全に充電するとその出力電圧は4.2Vとなりますが、短期間使用しただけで、3.5Vに低下します。その電圧はバッテリが放電してしまうと、さらに3.0Vまで低下します。図3に示すように、もし白色LEDを直接、バッテリから駆動すると次に示すような問題が発生します:

最初にバッテリが完全に充電されていると、すべてのダイオードは発光しますが、その強度と色は異なります。バッテリの電圧が公称値レベルに低下すると、光強度が減少して白色の差が、より大きくなります。従って、設計者は、直列抵抗の値を計算する場合に、バッテリ電圧の値とダイオードの順方向電圧を考慮しなければなりません。(バッテリが完全に放電した場合は、いくつかのダイオードは完全に消光します。)

電流制御を行うチャージポンプ

LED駆動用電源の目標とすることは、十分に高い出力電圧を供給し、並列に接続したすべてのLEDに同じ電流を流すことです。もし、並列接続したすべての白色LEDが同じ電流となる場合は、すべてのLEDは同じ色度座標を持つことに注目してください(図5)。マキシムはそのような目的のために電流制御を行うチャージポンプを提供します(MAX1912)。

図8で示した3つのLEDの並列接続構成では、チャージポンプは入力電圧を1.5倍に増加させる大規模タイプです。初期の頃のチャージポンプは、単純に、入力電圧の2倍に昇圧しましたが、この新しい技術ではさらに高い効率を得ることができます。入力電圧はLEDが丁度、動作することができる電圧まで昇圧されます。SET端子(ピン10)に接続された抵抗ネットワークがすべてのLEDに同じ電流が流れることを保証します。内部回路がSET端子の電圧を200mVに維持し、従ってLEDを流れる電流はILED = 200mV/10Ω = 20mAとして計算することができます。もし、いくつかのLEDがより小さい電流でよい場合は、MA1912は60mAまで、電流を流すことができるため、3個以上のLEDを並列に接続して使用することができます。さらに別のアプリケーションと回路については、MAX1912のデータシートを参照してください。

図8. このICはチャージポンプと電流制御を組合せたものです。チャージポンプは白色LEDを駆動するために十分な電圧を供給し、電流制御は各LEDに同じ値の電流を強制的に流すことによって、均一な白色光を保証します。
図8. このICはチャージポンプと電流制御を組合せたものです。チャージポンプは白色LEDを駆動するために十分な電圧を供給し、電流制御は各LEDに同じ値の電流を強制的に流すことによって、均一な白色光を保証します。

単純な電流制御

システムがダイオードの順方向電圧よりも高い電圧を供給することができれば、白色LEDを動作させることは容易です。例えば、ディジタルスチルカメラは通常+5V電圧を備えています。その場合は、昇圧機能は必要ではありません。その理由はその供給電圧はLEDを駆動するための十分なマージンを持つからです。図8の回路においては、特性が揃った電流源を選択する必要があります。その1つの例がMAX1916であり、3個のLEDを並列に駆動することができます(図9)。

図9. 1個の外付け抵抗器(R<sub>SET</sub>)によって各LEDが等しい電流値となるように設定されます。このICのイネーブル端子(EN)にパルス幅変調信号を印加すると簡単に輝度制御を行うことができます(調光機能)。
図9. 1個の外付け抵抗器(RSET)によって各LEDが等しい電流値となるように設定されます。このICのイネーブル端子(EN)にパルス幅変調信号を印加すると簡単に輝度制御を行うことができます(調光機能)。

操作が単純:接続された複数LEDに流れる電流を外付け抵抗器RSETが強制的に設定します。この方法は、基板スペースをほとんど必要としません。IC (6リード、小型SOT23パッケージ)と数個のバイパスコンデンサ以外には、外付け抵抗器を1個必要とするだけです。この製品は、0.3%の優れた電流マッチングを各LEDに提供します。この構成では同じ色度座標を得ることができるため、各LEDから同じ白色光を得ることができます。

光の強度を変えて調光する

携帯機器には周囲の明るさに応じて光の強さを制御するものや、短い待機時間の後、ソフトウエアによって光強度を下げるものがあります。この機能の両方ともLEDを調光する必要があります。この調光機能は、調光によって色度座標がシフトすることを避ける方法で各順方向電流を変化させる必要があります。そのような均一性は抵抗器RSETを流れる電流を制御する小さいD/Aコンバータを使って達成することができます。

I²C*対応インタフェースを持つMAX5362、またはSPI™対応インタフェースを持つMAX5365のような6ビット分解能のコンバータは光の強さを32段階で変えることができる調光機能を可能とします(図10)。明るさを変えると複数のLEDからの白色光の質は変化します。それは順方向電流が色度座標に影響を及ぼすからです。しかし、それは問題とはならないはずです。その理由は、各順方向電流は同じとなるため、各ダイオードは、グループとして、同じ光を発することができるからです。

図10. このD/Aコンバータは各LEDの順方向電流を同じ値で変化させることによって調光を行います。
図10. このD/Aコンバータは各LEDの順方向電流を同じ値で変化させることによって調光を行います。

色度座標が動かない調光機能はパルス幅変調と呼ばれます。それはイネーブルまたはシャットダウン機能を備える大部分の電源デバイスによって実現可能です。例えば、MAX1916はEN端子を強制的にローレベルにすることによってデバイスをディセーブルにすると、直ちにLEDに流れる電流をわずか1µAに制限します。この結果、光の放射はゼロとなります。EN端子をハイにすることによって、設定した電流がLEDに流れます。EN端子にパルス幅変調した信号を印加すると、LEDの明るさは信号のデューティサイクルに比例して変化します。

この場合、色度座標は動きません。それは各LEDには、同じ順方向電流が流れるからです。しかし、人間の目はデューティサイクルの変化を明るさの変化として認識します。人間の目は25Hzを超える周波数を分解することができないため、200Hz~300Hzのスイッチング周波数はPWMによる調光用として良い選択です。周波数をそれよりも高くすると、問題を起こします。それはLEDがONとOFFにスイッチングする場合の短い期間に色度座標がシフトすることがあるからです。PWM信号はマイクロプロセッサのI/O端子またはその周辺デバイスの端子から供給することができます。可能とする明るさのステップ数はPWMの制御に使われるカウンタレジスタのビット幅によって決まります。

スイッチモードブーストコンバータによって電流制御が可能

上述したチャージポンプ(MAX1912)に加えて、ブーストコンバータを用いて電流制御を実現することができます。例えば、MAX1848スイッチモード電圧コンバータは最大13Vまでの出力電圧を生成することが可能で、これは3つのLEDを直列接続するために十分な電圧です(図11)。おそらく、そのような構成が最も完全です。それは直列接続された全てのLEDに正確に同じ電流が流れるからです。LED電流はRSENSEとCTRL入力に印加される電圧によって決定されます。

図11. このスイッチモードのレギュレータは複数個のLEDを直列接続して動作させることを可能とします。すべてのLEDには同じ電流が流れ、それは(例えば) D/AコンバータによってCTRL入力から制御されます。
図11. このスイッチモードのレギュレータは複数個のLEDを直列接続して動作させることを可能とします。すべてのLEDには同じ電流が流れ、それは(例えば) D/AコンバータによってCTRL入力から制御されます。

MAX1484は上述したいずれかの方法に従って調光機能を実現します。LEDを流れる順方向電流はCTRL端子に印加する電圧に比例します。MAX1484はCTRL端子に印加する電圧が100mV以下となるとシャットダウンモードに移行するため、この電圧による調光を使う場合でも、PWMによる調光機能を実現することができます。

まとめ

複数の白色LEDは、その順方向電流を等しくすることによって、均一な白色光を放射するように注意を払えば、並列に接続して動作させることができます。LEDを動作させるためには、制御された電流源、または電流制御と昇圧型変換器の組合せの何れかを選択してください。チャージポンプまたはスイッチング型ブーストコンバータを使うと、いくつかの標準製品を使ってそのような組合せを実現することができます。

文献

  1. Data Sheet "LR5360, LS5360, LY5360, LG5360", OSRAM Opto Semiconductors, Regensburg, 2001.
  2. "Driving InGaN-Based LED in Parallel Circuits," Gerhard Scharf, OSRAM Opto Semiconductors, November 2001.
  3. Colorimetry, 2nd Edition, Publication CIE 15.2-1986, ISBN 3 900 734 00 3.
  4. Data Sheet "Hyper ChipLED LW Q983," OSRAM Opto Semiconductors, Regensburg, 2001.
  5. Data Sheet MAX1912, Maxim Integrated, 2002: http://japan.maximintegrated.com/max1912