アプリケーションノート 1998

75Ωのハイパスフィルタで衛星DBSチューナへのUHFの進入を制御


要約: セットトップボックスへの混合帯域用の給電ケーブルで、衛星DBS帯域は950MHz~2150MHzであり、一方、地上波の帯域は54MHz~860MHzです。セットトップボックスの入力部にはハイパスフィルタが必要です。これは、UHFチャネルが衛星DBSチューナに到達して、感度低下を引き起こさないようにするためです。今回は、MAX2116単一チップ衛星チューナICで使用するためのフィルタを製作してテストしました。

はじめに

衛星テレビはさまざまな番組を提供していますが、郊外や多くの都市部では、ローカルチャネルをほとんど取り扱っていません。衛星放送の視聴者は、地上波TVの信号を衛星放送用給電ケーブルに混合しています(図1を参照)。要するに1本のケーブルを敷設するほうが、2本敷設するよりはるかに容易だからです。エンドユーザにとって最良の選択肢は、衛星/TVダイプレクサを使用して、信号を混合することです。ただし、このようなユニットは大きな阻止域除去が必要となってしまいます。多くのユーザは、地上波TV信号が強い地域に住んでいたり、あるいは高利得の八木式アンテナを使用したりしています。

図1. 衛星/地上波の構成
図1. 衛星/地上波の構成

セットトップボックスへの混合帯域用の給電ケーブルで、衛星DBS帯域は950MHz~2150MHzであり、一方、地上波の帯域は54MHz~860MHzです。セットトップボックスの入力部にはハイパスフィルタが必要です。これは、UHFチャネルが衛星DBSチューナに到達して、感度低下を引き起こさないようにするためです。今回は、MAX2116単一チップ衛星チューナICで使用するためのフィルタを製作してテストしました。

衛星信号と地上波TV信号を混合しない場合でも、他の強力な干渉源が存在する可能性があります。衛星放送用パラボラアンテナは、強い指向性を有するとはいえ、依然としてブロッカによる影響を受けます。825MHz~895MHz帯域のセルラ電話塔の信号、さらに地上波放送TV局の信号が、セットトップボックスにつながる衛星放送用の給電線に入り込む可能性があります。この「ブロッキング」信号は、サイドローブ(完全な指向性というのはあり得ないということです)の1つを経由してパラボラアンテナに結合される可能性があります。あるいは、単高電力に接近することで、結合されてしまう可能性があります。.

フィルタの設計

54MHz~860MHzを20dBだけ減衰させながら、挿入損失を0.7dBに抑えて、衛星のL帯域信号(950MHz~2150MHz)を通過させると仮定すると、フィルタのマスクを計算することができます。地上波信号の帯域エッジ(860MHz)は、衛星波の下位側の帯域エッジ(950MHz)と非常に近接しています。通過帯域と阻止域の比は1.1 = (950/860)となります。この小さな比を想定した場合には、楕円フィルタを選択します。衛星信号は非常に広い帯域幅を持つため、ハイパスフィルタを選択します。通過帯域が1オクターブを超え、かつ挿入損失が低いバンドパスフィルタの設計は困難です。コストおよび部品の許容誤差の問題があるため、楕円フィルタの段数を4段に限定することにします。

衛星チューナの低ノイズブロック(LNB:Low Noise Block)には、インダクタを通じた、DC電圧の給電が必要です。このインダクタは、4セクションの楕円ハイパスフィルタの最初のシャントセクションで利用します。

図2は、4セクションのUHFイングレス楕円フィルタの回路図を示します。この回路は次の部品を使用して、製作およびテストしました。
  • 1.8pF ±0.1pFのコンデンサ
  • 2.2pF ±0.1pFのコンデンサ
  • 18pF ±0.1pFのコンデンサ
  • 22pF 5%のコンデンサ
  • 10nH ±2%のMuRata高Qインダクタ(LQW1608A10NG00)、Q = 100 (1500MHz時)
  • 22nH ±2%のMuRata高Qインダクタ(LQW1608A22NG00)、Q = 105 (1500MHz時)
図2. UHFイングレスフィルタの回路図
図2. UHFイングレスフィルタの回路図

フィルタの設計には多くのトレードオフがあります。目標は、帯域内の挿入損失が約0.7dB (公称)でリップルが0.5dBの状態において、阻止域減衰量20dBを達成することです。図3図6は、実際に測定したフィルタのリターンロスです。これらは、特性インピーダンスZo = 75Ωで測定しました。

図3は、フィルタのSパラメータ(S21)の応答を示しています。これは、図2の回路でネットワークアナライザを使用して測定したものです。阻止域の全体的な形状は非常に良好と思われます。楕円フィルタを用いた場合でも、阻止域の減衰量は、650HMzになるまで20dBに達することはありません。

図3. フィルタのSパラメータ測定(S21)
図3. フィルタのSパラメータ測定(S21)

図4は、通過帯域の拡大図を示します。公称損失は、リップルが約0.3dBの状態で約0.7dBです。帯域内の挿入損失を最小限に抑えるにはこれで十分です。衛星放送受信機の場合、ノイズ指数に損失の各dB値が加算されます。

図4. Sパラメータ(S21)の拡大図
図4. Sパラメータ(S21)の拡大図

図5に、フィルタの入力リターンロス(S11)を示します。リターンロスは、DVB-S仕様である8dB以内に問題なく収まっています。

図5. 入力リターンロス
図5. 入力リターンロス

図6は出力リターンロス(S22)です。75Ω系に対して良好なマッチングであることがわかります。

図6. 出力リターンロス
図6. 出力リターンロス

まとめ

UHFイングレスフィルタを設計/製作し、950MHz~2150MHzで0.7dB ±0.3dBの帯域内損失を実現しました。54MHz~650MHzでの阻止域減衰量は20dBを超えています。このフィルタは、75Ω系で、良好な帯域内リターンロスを示しています。

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