アプリケーションノート 146

DC-DCスイッチモード電源コントローラで安定化チャージポンプを駆動


要約: インダクタベースのスイッチモード電源は、オペアンプまたはLCDバイアスの負電源を生成する際に特に、大きな設計努力が必要でサイズを大きくすることがあります。このアプリケーションノートはMAX774およびダイオード・コンデンサ・ネットワークのようなスイッチモード電源コントローラがインダクタを使うことなくどのように適度な負電源電流を生成することができるかについて説明します。

スイッチモードの電源コントローラとダイオード・コンデンサ・ネットワークの組み合わせは、オペアンプあるいはLCDバイアスに必要な適度な負電源電流を発生することができます(図1)。この場合、インダクタを用いた構成に伴うようなサイズの問題や設計の手間はありません。図1の回路は2V~6Vの入力を許容し、デジタル調整が可能な出力電圧を生成します。ダイオード・コンデンサ・チャージポンプはDHIおよびDLOWのスイッチング動作によって駆動されます。これらは、インダクタを用いたスイッチモード電源では通常外部MOSFETまたはpnpトランジスタを駆動します。

図1. このDC-DCコントローラICはインダクタの代りにダイオード・コンデンサ・ネットワークを駆動することによって、適度なIOUT能力の安定化負出力を生成します。
図1. このDC-DCコントローラICはインダクタの代りにダイオード・コンデンサ・ネットワークを駆動することによって、適度なIOUT能力の安定化負出力を生成します。

パワーアップ時に、内部の6ビット電流出力D/Aコンバータが公称R1 x 13.33µAのVOUTを生成します。その後、CTRLをハイに保持しながらADJをトグルすることで、R1の値に従いながら(R1 x 6.66µA ≤ VOUT ≤ R1 x 20µA ) VOUTを等間隔の64ステップで1対3の範囲にわたって調整することができます。デジタル調整が必要ない場合は、ADJピンを接地してCTRLをV+に接続してください。同様の回路をMAX774のDC-DCコントローラで構成することもでき、16.5Vまでの入力電圧を許容します。VINよりも大きなプラスの出力が欲しい場合には、ステップアップコントローラと修正されたチャージポンプネットワークを使用すれば大丈夫です(図には示してありません)。

最大出力電流はVIN、VOUTおよびダイオード・コンデンサの段数に依存します。各段とも2つのダイオードと2つのコンデンサで構成されています。最大VOUT (VIN - (0.6V x段数))では僅か数マイクロアンペアしか出力できませんが、低出力電圧ではより多くの出力電流を引き出すことができます(図2)。

図2. 図1での可能な出力電流はVIN  (このグラフでは5V)、VOUT、およびダイオード・コンデンサの段数に依存します。
図2. 図1での可能な出力電流はVIN (このグラフでは5V)、VOUT、およびダイオード・コンデンサの段数に依存します。

VINとVOUTがすでに与えられている場合、最大IOUTはダイオード・コンデンサの段数に依存します。段数が少なすぎると希望の電圧が実現できませんし、多すぎると効率が悪化します。IINは(近似的に) IOUTに段数を掛けた値になります。VINが5V以下の場合、この回路の出力電流は、図2の曲線が示す値よりも小さくなります。例えば、4段回路の出力電流が1mAになるのは入力2V出力-2Vのとき、入力3V出力-7Vのとき、入力4V出力-11Vのとき、そして入力5V出力-14.5Vのときです。ポンプコンデンサを大きくすることでIOUTも大きくすることができます。

VOUTがR1で設定された電圧よりも著しく低くなった場合、コントローラの動作が変化します。インダクタ使用の回路用に設計されているため、コントローラはスイッチングトランジスタの「オフ」時間を犠牲にすることで「オン」時間を増やし、差し迫ったドロップアウトを補償します。通常この動作はインダクタ電流を増加させますが、図に示す回路では逆の効果を与えます。オフ時間が短い(DHIがハイ)ためにコンデンサが完全に放電できず、利用可能な出力電流は増加するのではなく減少します。従って、過負荷が原因でVOUTが安定化範囲から外れた場合、負荷電流をかなり減少させないと安定化状態は回復できません。信頼できる最大出力電流とはVOUTがドロップアウトから回復できるレベルであり、ドロップアウトに入るレベルよりも高いレベルではありません。

動作を安定させるためには、R1を220pFでバイパスし、R1とIC1の間の配線をできるだけ短くし、IC1の入力ピン間に直接入力バイパスコンデンサを接続してください。図に示す部品定数では出力リップルは通常1%以下ですが、回路の段数が設定された出力電圧に必要な段数より多いと、リップルが大きくなることがあります。出力容量を増やすことでリップルを減少させることができます。