アプリケーションノート 1017

MAX1470スーパーヘテロダインレシーバ用の水晶発振器の選び方


要約: さまざまな形やサイズの水晶発振子が数多くのベンダから入手でき、幅広い性能の仕様に対応可能です。これらの仕様には、共振周波数、共振モード、負荷容量、直列抵抗、ホルダ容量、および駆動レベルなどが含まれます。このアプリケーションノートは、上記のパラメータの理解を助け、この結果、ユーザは、使用するアプリケーションに適正で、かつMAX1470スーパーヘテロダインレシーバ回路を用いて最適な結果を得るための水晶を特定することができるようになります。

さまざまな形やサイズの水晶発振子が数多くのベンダから入手でき、幅広い性能の仕様に対応可能です。これらの仕様には、共振周波数、共振モード、負荷容量、直列抵抗、ホルダ容量、および駆動レベルなどが含まれます。これらのパラメータを理解すると、ご使用のアプリケーションに対して適正で、かつMAX1470スーパーヘテロダインレシーバ回路を用いて最適な結果を得るための水晶を特定することができるようになります。

水晶の等価回路を図1に示します。これは、抵抗Rs、インダクタLm、コンデンサCm、およびシャントコンデンサCoという動素子で構成されています。動素子は、共振器の直列共振周波数とQを決定します。シャントコンデンサCoは、水晶電極、ホルダ、およびリードの機能です。

図1. 水晶モデル
図1. 水晶モデル

主要な性能の仕様についての詳しい説明は下記をご覧ください。

共振周波数

指定する水晶周波数は、受信したい周波数によって決まります。MAX1470はローサイド挿入により、10.7MHz IFを使用するため、水晶周波数は以下の式によって求められます(単位はすべてMHz)。



したがって、315MHzアプリケーション用の水晶周波数は4.7547MHzですが、433.92MHz用では6.6128MHzの水晶が必要となります。基本モードの水晶のみを指定するようにしてください(オーバートーンなし)。

共振モード

水晶には、直列(周波数の低い方)と並列(周波数の高い方で、反共振とも呼ばれる)の2つの共振モードがあります。水晶はすべて、この両方の共振モードを提示し、このモードにて、発振器回路内で抵抗性を示します。直列共振では、動容量CmとインダクタンスLmのリアクタンスは、等しい正負の電荷を持ち、その抵抗は最小になります。一方、反共振ポイントで、抵抗は最大となり、電流の流れは最小になります。発振器の設計では、反共振ポイントは使用しません。

水晶発振子を使用すると、外付け部品(通常はコンデンサ)を追加することで、直列共振周波数と反共振周波数の間の任意の周波数で発振できるようになります。水晶業界では、これを並列周波数または並列モードと呼んでいます。この周波数は、直列周波数を上回りますが、水晶の実際の並列共振(反共振ポイント)を下回ります。図2は、標準的な水晶インピーダンス対周波数のグラフです。

図2. 水晶インピーダンス対周波数
図2. 水晶インピーダンス対周波数

負荷容量と周波数可変幅

負荷容量は、並列共振の発振モードを使用するときに重要な仕様です。このモードでは、水晶の合計リアクタンスはわずかに誘導性を示し、発振器の負荷容量と並列となり、発振器の周波数を決定するLCタンク回路を形成します。負荷容量の値が変わると、出力周波数も変わります。したがって、水晶ベンダは、発振器回路が使用する負荷容量を知っておく必要があります。これにより、この同じ負荷容量を使用して工場で発振器回路を較正できるようになります。

異なる負荷容量で発振するように設計された水晶を使用する場合、その水晶は規定の動作周波数から外れてしまい、基準周波数に誤差を生じます。したがって、水晶をその所望の動作周波数に戻すため、外付けコンデンサを追加して、負荷容量を変更します。

図3は、MAX1470 EVキット回路内の水晶を示しています。この回路では、C14とC15は直列のプリングコンデンサですが、C16は並列のプリングコンデンサです。CevkitはMAX1470と同等で、かつEVキットのPCB標遊容量が追加されています。Cevkitは約5pFです。

図3. EVキットの等価回路
図3. EVキットの等価回路

直列プリングコンデンサは、水晶を「加速」しますが、並列コンデンサは逆に「減速」します。Cevkitは5pFに等しいため、負荷容量が5pFの水晶を使用すると、意図した周波数で発振し、追加の容量は必要ありません(C16はオープンですが、C14とC15はボード上で短絡されます)。EVキット自体は3pFの負荷容量の水晶を使用しているので、水晶の速度を上げるため、直列の2 x 15pFのコンデンサを必要とします。必要な容量の値を計算するには、以下の式を使用します。



EVキットの場合、2つの直列コンデンサを使用しなければ、4.7547MHzの水晶は実際には4.7544MHzで発振するので、レシーバは315.0MHzではなく314.98MHzにチューニングされ、約20kHzすなわち60ppmの誤差を生じます。

したがって、重要となるのは、直列か並列のコンデンサのいずれかを使用するか、両方を組み合わせることによって(利用可能なコンデンサの値に応じて決定)、必要な水晶の負荷容量をマッチングすることです。たとえば、6pFの負荷容量の水晶に必要なものは、1pFの並列コンデンサ(または、C14 = C15 = 27pF、C16 = 5pFの組み合わせ)だけです。

ここで注意すべきことは、C16に極端に大きな値を使用しないということです。大きな値を使用すると、発振器回路を流れる電流が増加して機能しなくなります。図4は、並列容量と発振器の電流の関係を示しています。

図4. 水晶発振器の電流対追加された並列負荷容量
図4. 水晶発振器の電流対追加された並列負荷容量

カスタムのPCB上で、Cevkitがわからない場合は、スペクトラムアナライザ上でIFをモニタして(信号をスペクトラムアナライザに入力する前に、必ずDCブロッキングコンデンサを使用してください)、直列および並列コンデンサにより、IFを10.7MHzに「チューニング」し直すことが可能です。

直列抵抗

大部分の水晶では、直列抵抗の標準範囲は、25Ω~100Ωです。通常、水晶ベンダはこの抵抗値が特性付けて、直列抵抗の最大値で規定しています。MAX1470発振器回路では、100Ω以上は使用しないでください。

ホルダまたはシャントコンデンサ

これは、水晶電極、ホルダ、およびリードの容量です。標準値は、2pF~7pFです。

駆動レベル

水晶内で消費される電力は制限しなくてはなりません。そのようにしないと、水晶発振子が、過度の機械的な振動のため、実際に停止してしまう可能性があります。水晶の特性もまた、ノンリニア動作のため、駆動レベルとともに変化します。水晶ベンダは、特定の製品ラインに応じた最大駆動レベルを規定しています。1µW以内の駆動レベルで水晶を使用してください。

これらの仕様によって、MAX1470発振器回路の要件に最適な水晶を指定することが可能となり、この結果、全体的な性能が向上します。

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