輸液ポンプIC

説明

輸液ポンプは、高精度で制御された量の液体を患者に注入する医療装置です。このポンプは、通常はIVバッグからチューブとシリンジを通って患者に注入される流量を調整します。輸液ポンプには、大容量ポンプ、自己調整鎮痛(PCA)ポンプ、エラストマーポンプ、シリンジポンプ、経腸ポンプ、インスリンポンプなどを含む、多数のタイプがあります。これらのポンプは、病院や老人ホームなどの臨床現場、および家庭を含む携行方式で使用されます。

輸液ポンプで使用されるポンプ構造のタイプは、アプリケーションによって異なります。一般的なポンプには、蠕動ポンプとシリンジポンプがあります。どちらのタイプも高精度の輸液を供給し、どちらも電気モーターによって駆動されます。

輸液ポンプの作成に必要な主要パラメータおよび回路について理解するため、「設計上の考慮点」タブをクリックしてください。「回路」または「ブロック図」タブをクリックして、各種の設計機能の実装に使用されるリファレンスデザインおよび推奨製品をご覧ください。


輸液ポンプの設計では、信頼性と安全性を考慮に入れる必要があります。製品に組み込まれる機能が増えているため、ユーザーインタフェース(制御インタフェースと操作インタフェースの両方)に注意を払い、ポンプが容易に設定可能であること、および治療が要求通りに行われることを確保する必要があります。

輸液ポンプの部品の多くは、たとえば、シャフトエンコーダを備えたモーターとギア機構のように、モジュール形式で提供されます。輸液ポンプの設計者にとって最大の焦点となるのは、モジュール形式の部品とセンサーを選択または指定し、次に各部品を統合して、ポンプとセンサーをマイクロコントローラにインタフェースするために必要なアナログシグナルチェーンを設計することです。マイクロコントローラ内のファームウェアが、設計の最終的な機能を確立します。

輸液ポンプの設計は、ポンプを制御し、特定の時間にわたって高精度で設定可能な量の液体を送る必要があります。この目標を達成するため、設計には特殊なタイプのポンプ(すなわち、蠕動ポンプ、シリンジポンプ)と制御回路の組合せを使用します。以下では、輸液ポンプの設計上の考慮点を機能別に説明します。

ポンプおよびポンプドライバ


蠕動ポンプおよびシリンジポンプのメカニズムは、どちらもモーターによって駆動され、モーターはシステムマイクロコントローラによって制御されます。フィードバックセンサーが回転数、モーター位置、および電流使用量についての情報を提供します。使用するモーターのタイプは、アプリケーションによって異なります。ステッパモーター、ブラシDCモーター、およびBLDC (ブラシレスDC)モーターのすべてが使用されます。DCおよびBLDCモーターは、通常はギア機構と組み合わされ、回転に関するフィードバックをシステムコントローラに提供するための角度位置センサーまたはロータリーエンコーダを備えています。ステッパモーターは、一部のポンプメカニズムを直接駆動することができます。

選択するモーター駆動回路のタイプは、使用するモーターのタイプとアプリケーションによって異なります。

部品の選択

マキシムは、小型の輸液ポンプに最適な革新的ブラシDCモータードライバを提供しています。大型のポンプおよびBLDCモーターを使用するポンプの場合、マキシムはMOSFETドライバICを提供しています。一部の設計は、モーターの1つまたは複数の位相の電流を監視します。このアプリケーションの場合、モーター電流監視シグナルチェーンは、マルチチャネル12ビットADCに接続された電流検出アンプで構成されます。これらのアプリケーション用のマキシムの推奨製品については、モータードライバシグナルチェーンのブロック図をご参照ください。

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流量監視


輸液ポンプは、特定の時間にわたって正確な量の液体を送る必要があります。流量は、主としてモーターの速度に影響されます。しかし、安全上の理由から、液体の流れも監視する必要があります。流れの監視は、一般にポンプの前後に配置された閉塞センサーによって行います。これらのセンサー値を監視し、動作範囲内であることを確認します。スレッショルド範囲外の読み値が記録された場合、アラームが鳴ってポンプは停止します。

部品の選択

閉塞センサーは、通常は歪みゲージの一種で、増幅なしの出力はmVの範囲です。測定する必要がある圧力範囲全体は(産業用圧力アプリケーションと比べて)非常に限られているため、一般に高精度10または12ビットアナログ-デジタルコンバータ(ADC)がこれらのセンサーの効果的な監視に十分な分解能を提供します。閉塞センサーの標準的シグナルチェーンは、10または12ビットADCの前にオペアンプがあるものです。このアプリケーション用のマキシムの推奨部品を見るには、圧力センサー/気泡シグナルチェーンのブロック図をご参照ください。

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気泡検出


気泡センサーは、一般に電圧出力の超音波センサーで、輸液チューブ内を流れる気泡が検出されると電圧が変化します。これらのセンサーは、一般に閉塞/圧力センサーより高い出力レベルを提供するため、場合によって、ADCの入力に直接接続するか、またはスケーリングオペアンプを前に配置してマイクロコントローラベースのADCに直接供給することが可能です。必要になる正確なシグナルチェーンは、選択するセンサーによって異なります。

部品の選択

センサーの選択によって、このシグナルチェーンは高電圧出力(たとえば、0V~5V)またはmV出力のいずれかで構成されます。マイクロコントローラがADCを備えている場合、どちらの出力タイプもスケーリングオペアンプを介してマイクロコントローラのADCポートに直接供給可能です。あるいは、これらのセンサーから、閉塞センサーの処理も行う1つのマルチチャネル外部ADCに供給することも可能です。このアプリケーション用のマキシムの推奨部品を見るには、圧力センサー/気泡シグナルチェーンのブロック図をご参照ください。

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電源およびバッテリ


輸液ポンプは一般に携帯型の装置で、通常は机上に置かれたり移動式IVラックに取り付けられます。輸液ポンプは一般に商用電源で動作しますが、アプリケーションによってはバッテリ駆動の場合もあります。通常、停電時やグリッチ発生時にも高信頼性の動作を実現するため、商用電源の輸液ポンプはバッテリバックアップを備えています。

電源システムは、一般に商用電源AC-DCアダプタで構成され、その出力は通常はシステム設計に応じて12V~24Vの1つのDCレールです。この電圧レールはバッテリ充電回路に入力され、また通常はパワーソーススイッチを介してシステムDC-DCコンバータにも送られます。パワーソーススイッチは、DCライン電源が有効な場合はそちらを選択し、それ以外の場合は自動的にバッテリに切り替えます。

バッテリ充電回路用に選択するICは、バッテリのタイプとセル数に適合する必要があります。使用されるバッテリタイプには、密閉型鉛蓄電池、リチウムイオン、およびリチウムポリマーが含まれます。マルチセルのリチウムベースのバッテリは、最適な動作寿命を提供し爆発を防ぐため、他のセルとバランスを取って各セルの充電を行う必要があります。使用する充電回路は、バッテリメーカーからの情報に基づいて選択してください。マキシムのリファレンス回路3241 「USB電源を使ったバッテリ充電」は、バッテリ充電の入門として最適です。

バッテリチャージャIC以外に、バッテリの充電残量のインジケータをユーザーに提供することが非常に重要です。このアプリケーション用に、バッテリ残量ゲージICが必要です。

部品の選択

マキシムは、さまざまな種類のバッテリチャージャICを製造しています。アプリケーション用に選択する充電ICは、選択するバッテリのタイプによって決まり、使用する充電回路は、バッテリメーカーからの情報に基づいて選択してください。

このアプリケーション用の推奨バッテリ充電および残量ゲージICについては、メインのブロック図をご参照ください。

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システム電源


メインバッテリまたはDCライン電圧レールは、一般にモーターへの給電を行います。システムICへの電源は、1つまたはそれ以上のスイッチングレギュレータ、また一部のレールについては低ドロップアウトリニア電圧レギュレータの組合せを介して供給されます。ディスプレイの設計によっては、LCDディスプレイへの給電により高い電圧が必要になる場合がありますが、ディスプレイモジュールの多くは1つの3.3Vまたは5Vレールのみを必要とし、ディスプレイに給電するための電圧変換をモジュール内部で行います。

部品の選択

このアプリケーションに必要な電圧レールの数は、使用するプロセッサによって異なります。たとえばディスプレイへの給電のために、ステップアップスイッチングレギュレータが必要になる可能性があります。さらに、特定のマイクロコントローラ用レールに、よりクリーンな電力を供給するため、低ドロップアウト電圧レギュレータ(LDO)が使用される場合があります。マキシムは、必要な電圧レールを供給することができる数多くのステップダウン/ステップアップスイッチングレギュレータおよびLDOを製造しています。このアプリケーション用の標準推奨部品については、メインのブロック図をご参照ください。

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ユーザーインタフェースおよびアラーム


ほとんどの輸液ポンプのユーザーインタフェースは、ディスプレイ画面と操作ボタン一式で構成されます。ディスプレイは操作の指示を提供し、ボタンは操作の入力を提供します。ディスプレイは、簡素な文字ベースのLCDからグラフィック表示のカラーTFT LCDスクリーンまで幅があります。完全なディスプレイモジュールが一般に使用されます。これらのモジュールは、通常は1つの電源レールのみを必要とし、I2Cデータインタフェースを提供します。

輸液ポンプは、障害または潜在的に危険な状況をユーザーに警告するための、音と視覚によるアラームを必要とします。視覚的インジケータとして、通常は2色または3色(レッド/オレンジ/グリーン)のLEDが使用されます。音によるアラームは、マイクロコントローラのパルス幅変調(PWM)出力によって駆動される単純なブザーから、オーディオDACによって作られる音声合成を含むより洗練されたアラームまで幅があります。単純な音響ブザーの場合も、セルフテスト機能を内蔵すべきです。この機能の実装には、スピーカのインピーダンスが範囲内かどうかを監視する間接的な方法と、スピーカの近くにマイクロフォンを内蔵してオーディオ出力を記録し、適切なレベルであることを確認する直接的な方法があります。

輸液ポンプ設計のユーザーインタフェース機能に組み込むことができるマキシムの回路を、ユーザーインタフェースおよびオーディオのブロック図に示します。

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静電気放電


すべての輸液ポンプは、ESD保護を内蔵した電子回路を使用するか、または露出したトレースにESDラインプロテクタを付加することによって、IEC 61000-4-2静電気放電(ESD)要件に合格する必要があります。マキシムは、この高ESD保護を内蔵した多数のインタフェース製品、およびスタンドアロンのESDダイオードアレイを提供しています。

設計の詳細については、右の欄に示すアプリケーションノート、「回路」タブに記載された回路、および「ブロック図」タブに記載されたブロック図をご覧ください。

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センサーシグナルチェーン
モータードライバシグナルチェーン ユーザーインタフェース 通信 オーディオシグナルチェーン マルチ電圧監視回路 温度 RTC SDカードリーダー バッテリチャージャ 残量ゲージ バッテリ絶縁 ステップダウンDC-DC ステップアップDC-DC LDO

気泡、閉塞センサー、圧力センサーシグナルチェーン


アンプ VREF ADC

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通信


絶縁型電源 USB保護 絶縁 RS-232トランシーバ NFC

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モータードライバシグナルチェーン


DCモータードライバ ハーフブリッジドライバ CSアンプ ADC

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ユーザーインタフェース


LCD電源および制御 LCDバックライトドライバ キースキャナ GPIO表示ドライバ

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オーディオ


オーディオコーデック スピーカドライバ 圧電ドライバ

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