透析装置IC

説明

透析装置は、人間の腎臓のほとんどの機能を実行します。これらの装置は血液から不要な老廃物を除去し、慢性または急性の腎不全の患者によって使用されます。

動作時には、患者の血液が動脈、大静脈、または外科処置を施した静脈から、高い血流速度が可能な方法でポンプによって絶え間なく透析装置に送出されます。血液の凝固を防止するために、血液が透析器に入る前にヘパリンが加えられます。正確に制御された速度でヘパリンを注入するために、シリンジポンプが使用されます。

次に、血液は透析器に入り、反対側が透析液になっている大表面積の半透膜を通ります。血液との間で化合物の適切な流れが確保されるように、半透膜の両側の圧力勾配が維持されます。透析器内での浄化とバランス調整が終わった血液は、エアトラップを通って気泡が除去された後、患者に戻されます。装置の適正な動作を確認し患者の安全を保証するために、血圧、酸素飽和度、および場合によってヘマトクリットレベル(血球濃度)が監視されます。最大の効果を得るため、動作中は常に新鮮な透析液が透析器に注入されます。

透析装置は、複数のポンプ、多数のセンサー、および多数の制御バルブで構成されます。これらのデバイスのそれぞれが、比較的高度なアナログ信号処理を必要とします。

透析装置内のこれらのデバイスの制御に通常使用されるシグナルチェーンと回路について理解するため、「設計上の考慮点」タブをクリックしてください。「回路」または「ブロック図」タブをクリックして、各種の設計機能の実装に使用されるリファレンスデザインおよび推奨製品をご覧ください。


透析装置は、血液をポンプで引き出し、治療溶液を注入し、濾過した後、患者に血液を戻す複雑なプロセス制御装置です。透析装置は、複数のポンプ(機能によって3~10の範囲)、圧力/温度/酸素レベル/気泡の検出と監視を行う複数のセンサー、および多数の機械式バルブで構成されます。これらの装置は定期的に較正を行う必要があります。

通常は以下のポンプが透析装置内で使用されます。

  • アシッドポンプ(酸ポンプ)
  • 重炭酸塩ポンプ
  • UFポンプ
  • 透析液ポンプ
  • 血液ポンプ
  • 気泡除去ポンプ

通常は以下のセンサーが透析装置内で使用されます。

  • 気泡除去および負荷圧力
  • 流圧
  • 透析液圧
  • 動脈圧
  • 静脈圧
  • 注入水圧
  • 温度センサー(複数)
  • 伝導率センサー

透析装置は高精度の器具です。精度が非常に重要なため、圧力、温度、および流量のすべてを定期的に較正して、装置が適切な治療を提供することを確保する必要があります。

ポンプおよびバルブはすべて中央のコントローラによって制御され、コントローラはセンサーからの入力に基づいてポンプの動作を同期させる必要があります。アナログ設計の観点から見ると、透析装置で使用される電子回路の大部分はモーター制御回路とセンサーインタフェース回路です。ユーザーインタフェースは、通常はLCDスクリーン、キーパッド、およびオーディオ通知/警報で構成され、これらにも大量のアナログ部品が含まれています。

透析装置は、主として商用電源で動作する大型の装置ですが、停電が発生した場合に透析セッションが正常に終了可能であることを確保するため、バッテリ動作も必要です。バッテリシステムは大容量で、通常は装置内部に格納されます。透析装置は動作時の消費電流が10A~15Aになる場合があり、複数の電圧レールおよびポイントオブロードレギュレータが必要です。

ポンプ - 制御と監視


透析装置には多数のポンプがあります。重要な血液循環路と治療液注入には、蠕動およびシリンジポンプ機構が使用されます。各ポンプはモーターによって駆動され、すべてのモーターは個々のモーター制御回路を介してシステムマイクロコントローラによって制御されます。

各モーターに対して、フィードバックセンサーが回転数、モーター位置、および電流使用量に関する情報を提供します。使用するモーターのタイプは、アプリケーションによって異なります。蠕動ポンプとシリンジポンプの駆動には、通常はステッパモーターとBLDCモーターが使用されます。BLDCモーターは、通常はギア機構と組み合わされ、回転に関するフィードバックをシステムコントローラに提供するための角位置センサーまたはロータリーエンコーダを備えています。ステッパモーターは、一部のポンプ機構を直接駆動することができます。さらに、モーターが効率的に動作していることを確認するため、通常はBLDCモーターの電流巻線が監視されます。

透析装置では多数のモーターが使用されるため、制御アーキテクチャにはメインコントローラから命令を受け取る複数のモーター制御専用マイクロコントローラが含まれます。選択するモーター駆動回路のタイプは、使用するモーターのタイプとアプリケーションによって異なります。通常は、高信頼性の動作、制御の簡便さ、および低コストという理由からブラシレスDCモーターが使用されます。

部品の選択

BLDCモーターはパワーMOSFETによって駆動され、それらのMOSFETは通常はハーフブリッジドライバICによって駆動されます。ドライバICは、モーター制御マイクロコントローラからデジタルタイミングパルスを受け取ります。これらのタイミングパルスが、モーターの速度を制御します。ポンプモジュールは、通常はコントローラへの速度に関するフィードバック信号として使用されるデジタルまたはアナログの出力信号を提供します。さらに、ほとんどのポンプモーターは、モーター巻線の電流を監視してモーターがスムーズに動作していることを確認するための出力を提供します。これらのアプリケーション用のマキシムの推奨製品については、モーター/ポンプドライバシグナルチェーンのブロック図をご参照ください。この図で推奨されている製品は、選択するポンプのタイプに関係なく、一般にこの装置内の全ポンプ制御回路で使用することができます。

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圧力検出


透析装置は、複数の圧力センサーを必要とします。透析装置内に存在する圧力差は大きくありませんが、圧力値は非常に高精度である必要があります。センサーシグナルチェーンは、必要な分解能を実現するため、超高精度10および12ビットアナログ-デジタルコンバータ(ADC)によって支えられています。較正時間を最小限に抑えるため、ADCおよび必要なオペアンプの両方を可能な限り高精度かつ安定性の高いものにしてください。

異なる圧力センサーは、出力レベルもそれぞれ異なります。mV出力のセンサーは、通常はアンプを必要とします。より高レベルの信号はADCに直接供給することが可能で、必要な精度に応じて、あるいはマイクロコントローラの処理能力の余裕に応じて、マイクロコントローラに直接供給可能な場合もあります。

マキシムの圧力検出ソリューションは、圧力センサーシグナルチェーンの設計に対する優れたバックグラウンドを提供します。

部品の選択

このアプリケーションは、非常に高精度で高い安定性を備える必要があります。圧力の範囲は比較的狭いため、10~12ビットのADCを使用して高精度のデジタル値を取得することができます。必要なサンプルレートは、監視するセンサーの数で決まります。マルチプレクサを内蔵したADCが提供されており、1つのADCで複数のセンサーを監視することが可能です。このアプリケーションに最も適したマキシムの推奨ICを見るには、圧力センサーシグナルチェーンのブロック図を参照し、ADC、アンプ、およびリファレンスのブロックをクリックしてください。

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温度検出


透析装置の内部に見られる温度範囲は比較的狭いため、低コストのRTD (測温抵抗体)を使用して、全温度範囲にわたり高精度で高信頼性の結果を提供することができます。設計の詳細については、マキシムの温度検出ソリューションをご参照ください。

部品の選択

シングルチップRTD-デジタルICのMAX31865は、低コストで、RTDインタフェースの設計を簡易化します。回路のアイデアについては、温度検出ソリューションのページをご参照ください。

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流量測定


障害物がない場合、流量はモーター速度に比例するため、流量は主としてポンプモーターの速度によって決定されます。モーター軸の複数回の回転がギア機構によってシリンジの非常にわずかな直線運動に変換されるシリンジポンプなどの特殊なタイプのポンプの使用によって、非常に高精度の流量が得られます。物理的流量センサーを導入すると不要な信頼性の問題が生じる可能性がありますが、超音波流量測定器などのデバイスはラインに障害物を持ち込むことなく非常に高精度の測定値を提供することができます。

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気泡検出


気泡センサーは電圧を出力する超音波センサーで、送血チューブ内を流れる気泡が検出されると電圧が変化します。これらのセンサーは、一般に圧力センサーより高い出力レベルを提供するため、ADCの入力に直接接続するか、またはスケーリングオペアンプを前に配置してマイクロコントローラベースのADCに直接供給することが可能です。必要になる正確なシグナルチェーンは選択するセンサーによって異なります。

部品の選択

センサーの選択によって、このシグナルチェーンは高電圧出力(たとえば、0V~5V)またはmV出力のいずれかで構成されます。マイクロコントローラがADCを備えている場合、どちらの出力タイプもスケーリングオペアンプを介してマイクロコントローラのADCポートに直接供給可能です。あるいは、これらのセンサーから、閉塞センサーの処理も行う1つのマルチチャネル外部ADCに供給することも可能です。センサーシグナルチェーンのブロック図を参照して、このアプリケーション用のマキシムの推奨製品をご覧ください。

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処理


処理アーキテクチャは、複数のセンサー管理マイクロコントローラを介してシステムを制御するメインプロセッサとユーザーインタフェースで構成されます。メインプロセッサは、大容量ARM®ベースのコントローラ、Intelベースのプロセッサ、またはFPGAベースのコントローラの場合があります。このプロセッサが複数の電源レールを必要とし、電源シーケンスが必要になることがあります。さらに、安全のため、プロセッサが外部ウォッチドッグタイマを必要とすることがあり、またセンサープロセッサにも外部ウォッチドッグタイマが必要な場合があります。プロセッサの選択によっては、外部リアルタイムクロックが必要になります。また、システムボードが指定の温度範囲内で動作していることを確認するため、システムにも一般にシステム温度センサーが必要です。

部品の選択

マキシムは、電圧シーケンサ、ウォッチドッグタイマ、システム監視のためのシリコンベースの温度センサー、およびリアルタイムクロックを提供しています。「ブロック図」タブをクリックし、メインの図の関連するブロックをクリックしてこのアプリケーションに最適な製品をご覧ください。

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ユーザーインタフェース


透析装置のセットアップと較正は複雑な作業です。ユーザーインタフェースを最適化するため、ほとんどの装置は大型のカラーディスプレイ(新しい装置の場合はタッチ機能付き)と、ユーザー入力用のキーボードまたはタッチスクリーンを備えています。新しい透析装置の場合、メインコントローラ上で動作する標準のエンベデッドWindows®またはLinux®ベースのオペレーティングシステムを使用しているものもあります。メインコントローラは、大容量のI/Oと広範なファームウェアメモリおよびプログラムメモリを備えた高性能デバイスです。メインコントローラは、ユーザーインタフェース画面およびキーボードと直接インタフェースし、あらゆる外部通信(たとえば、USB、診断用のRS-232、場合によってはイーサネットなど)も提供します。

透析装置は音響アラーム機能も備えています。一部の装置は合成音声のオーディオ機能を備え、ほとんどの装置は複数の信号音を使用する音響アラームを備えています。

部品の選択

LCDディスプレイの多くはモジュールとして選択されるため、透析装置の設計者はほとんどの場合ディスプレイ回路やキーボード回路の設計には関与しません。しかし、ディスプレイが特殊な電源レールを必要とし、その機能のための独自のスイッチングレギュレータの選択がシステム設計者に求められる場合もあります。ユーザーインタフェースのブロック図を参照し、設計に適合する可能性のある製品をご覧ください。

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電源


透析装置は、通常は商用電源から給電され、停電が発生した場合に患者にとって安全な状態まで透析処理を進めることができるようにバッテリ電源システムも内蔵しています。主電源は、商用電源を中間電圧レベルに変換して各種の処理ボードに配電します。電圧は個々の処理ボードでステップダウンスイッチングレギュレータおよび低電圧リニアレギュレータを使用して必要なレベルに変換されます。

部品の選択

マキシムは、広範なスイッチングレギュレータおよびLDOを提供しています。「ブロック図」タブを参照し、関連するDC-DCコンバータのブロックをクリックしてこのアプリケーションに最適な製品をご覧ください。

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モーター/ポンプ制御回路 ヒーター制御 センサー信号処理 ユーザーインタフェース 通信 オーディオシグナルチェーン I/Oエキスパンダ ウォッチドッグ RTC 温度/ファン制御 マルチ電圧監視回路 LDO 負荷スイッチ バッテリチャージャ ステップアップDC-DC ステップダウンDC-DC

ポンプモーターシグナルチェーン


ハーフブリッジドライバ CSアンプ ADC

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通信


USB保護 絶縁 RS-232トランシーバ

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センサー、シグナルチェーン


VREF アンプ ADC

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ヒーター制御


温度センサー ヒーターアクチュエータ

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ユーザーインタフェース


LCD電源および制御 LCDバックライトドライバ キースキャナ GPIO表示ドライバ

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オーディオ


スピーカドライバ オーディオコーデック 圧電ドライバ

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