単一インダクタマルチ出力(SIMO)スイッチングレギュレータ技術

超低自己消費電流をより少ないスペースで実現

単一インダクタマルチ出力(SIMO)パワーコンバータアーキテクチャは、従来の複数DC-DCソリューションと比較して、省スペース性を提供するとともに、高効率を維持してバッテリ寿命を延長します。SIMOアーキテクチャは、1つのインダクタを介して複数の出力を提供することによって、レギュレータの低自己消費電流とともに、このICがスペースに制約のある、バッテリ給電の電子製品のバッテリ寿命を延長することを可能にします。




SIMOアーキテクチャの概要


従来のスイッチングレギュレータトポロジでは、各スイッチングレギュレータは各出力用に個別のインダクタを必要とします。これらのインダクタはより大型で高コストであるため、より小型の形状にとって不利になります。リニアレギュレータはもう1つの選択肢で、高速、小型、低ノイズですが、損失が大きくなります。複数の低ドロップアウトレギュレータ(LDO)とDC-DCコンバータのハイブリッドを使用するというもう1つの選択肢もありますが、これはLDOのみを使用するよりも大型の設計になります。

SIMOアーキテクチャは、通常は複数のディスクリート部品を必要とする機能をより小型のデバイスに集積することによって、より長いバッテリ寿命を必要とする小型の機器用に最適なソリューションを提供します。必要とするインダクタの数を削減しながらも、スイッチングコンバータの効率を維持することによって、SIMOアーキテクチャはより小型の、超低電力設計にとってさらに優れた、ほぼ理想的なトポロジになっています。

図1. SIMOアーキテクチャのブロック図


SIMOの利点


インダクタ飽和電流

インダクタ飽和電流(ISAT)は、インダクタンスが一定の割合だけ低下する電流で、所定のコア材質および構造に対してインダクタのコアサイズによって決定されます。複数のインダクタを1つに組み合わせることによって、必要な総インダクタサイズに対する利点があります。SIMOは以下による利点を提供します。

  • コスト節約と実装面積の向上
  • 利用可能な部品値の量子化
  • 時間多重化:1つのシステムがオンのときにもう1つのシステムがオフの場合、必要なISATを「共有」することができます。
  • 平均化:排他的なタイムスロットがない場合でも、電流使用量のピークは多くの場合異なる時間に発生します。その結果、必要なISATが低減します。

消費電力

マキシムのSIMOコンバータは、実装面積と消費電力の間の最適なトレードオフを提供します。これらのデバイスは、1つのDC-DCと数個の内蔵LDOの実装面積でDC-DCコンバータの利点を提供するように設計されています。また、インダクタの数を削減することによって、インダクタ間のスペースも削減され、これも総実装面積の削減に寄与します。

図2. MAX77650 PMICは、ヒアラブルやウェアラブルなどのスペースに制約のある、バッテリ給電の機器用に低発熱および小型実装面積を提供します。

PMICのSIMO

マキシムの新しいパワーマネージメントIC (PMIC)のMAX77650およびMAX77651は、マイクロパワーSIMOバックブーストDC-DCコンバータを使って設計されています。PMICに内蔵された150mA LDOは、ノイズに敏感なアプリケーション用にリップル除去を提供します。MAX77650/MAX77651では、SIMOは1つのインダクタから3つの個別に設定可能な電源レールを提供し、革新的なパワーマネージメントソリューションを実現します。SIMOアーキテクチャの高集積は、他のディスクリートソリューションと比べて全体的ソリューションサイズの大幅な削減に貢献します。

SIMO計算器

追加のデザインツールとして、マキシムのSIMO計算器が利用可能で、SIMOのパラメータに関連するトレードオフの探求に役立ちます。このスプレッドシートベースのツールの計算タブで、最上部の行セクション内の対応する値のセルにシステムパラメータを入力することができます。最も関心があると思われる計算値は黄色でハイライト表示されます。パラメータが通常の領域の範囲外の場合、そのセルは赤でハイライト表示されます。コメントセクションには、設計を強化する方法についてのガイダンスが提供されます。


注目製品



超低電力PMIC、3出力SIMOおよび小型リチウムイオンバッテリ用に最適化されたチャージャ内蔵

MAX77650-MAX77651

高集積、超低6.5µA動作電流


SIMOホワイトペーパー

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