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USB-C電源ソリューションのより迅速な設計を実現するためのヒント

2020年7月28日

Bakul Damle 筆者:Bakul Damle
 ビジネスマネージメントディレクター、マキシム・インテグレーテッド 
Sagar Khare およびSagar Khare
 バッテリーマネージメント部門エグゼクティブビジネスマネージャー、マキシム・インテグレーテッド 


ポータブル機器の5Gや4Kディスプレイなどの先進的機能は消費電力を増大させており、大容量2Sバッテリによって動作する機器では多くの場合15Wより大幅に高くなっています。これらの消費電力が大きいガジェットの場合、急速充電が可能なUSB-C Power Delivery (PD)にはわずかな停止時間でこれらの製品の動作を再開させることができるという利点があります(図1)。また、以前はAC-DCバレルアダプタを使用していた多くのアプリケーションは、便利さと標準化のために USB-C PDへと移行しています。しかし、設計者にとって、USB-C PD規格への準拠には通常は複雑なファームウェア開発および追加のハードウェア部品が必要になります。端子間は近距離かつ高電圧(20V)のため、コネクタが斜めに挿入または抜去されると明らかに損傷の可能性があります。間違いなく、USB-CおよびUSB-C PDの仕様はいずれも独自のスキルセットを要求し、それらを使用する設計は旧来バージョンのUSBの設計ほど簡単ではありません。

カメラ、AR/VRシステム、ワイヤレススピーカーなどの民生機器は、USB-CおよびUSB-C PDへの急速な移行を先導しています。皮肉なことに、これらはまさに市場投入までの時間のプレッシャーが強く、十分な開発サイクルの余裕がない製品です。まもなく、産業や医療などの領域のアプリケーションでも、同じユーザーが業務環境でも同じレベルの便利さを求めるため、採用の拡大が始まります。また、USB-C規格はポイントオブセール(POS)機器、産業用スキャナ、および搾乳器などの製品でも使用されています。このブログ記事では、USB-C PD設計の設計作業を合理化するためのヒントを紹介します。

図1. USB-CおよびUSB-C Power Deliveryは、高速データ伝送およびポータブル機器への充電という利便性をもたらします。

図1. USB-CおよびUSB-C Power Deliveryは、高速データ伝送およびポータブル機器への充電という利便性をもたらします。

USB-C充電システムの設計上の課題

USB-CおよびUSB-C PDは、設計者が汎用コネクタという約束を実現することを可能にし、データ伝送および電源供給用の上下反転可能な24ピンコネクタの仕様を提供します。USB-Cは5Vで最大3A (15W)を規定し、USB-C PD 3.0は5V~20Vで最大5A (100W)を規定しています。USB-C用の充電システムの設計には、以下が必要です。

  • 信号完全性および速度の問題への対処
  • 旧来の各種インタフェースへの接続
  • 設計がコールドソケット(エンドツーエンドの検出完了まで0V)での起動を含む広範囲の電圧および電流に対応可能であることの確保1
  • USB-C充電源が挿入されたときにチャージャおよびポートコントローラが相互に通信可能であることの確保
  • 民生機器などの製品の小型化要求への適合
  • 熱効率の維持による温度上昇の最小化

これらの課題を満たすには、通常はUSB-Cネゴシエーション用の複雑なホスト側ソフトウェア開発、または外付けFETや外部マイクロコントローラなどの追加部品が必要になります。しかし、これらの課題の最小化に役立つ充電システムソリューションが提供されています。1つの重要な特長はプロトコルへの準拠で、それによって設計の実装が簡素化されます。一部のソリューションの設計はイベントベースのアクションスクリプトも備えており、カスタマイズ作業が容易になります。高集積ICは、多すぎるディスクリート部品を不要にします。また、過酷な環境(たとえば、温度や湿度条件の変動)で信頼性の高い動作を維持するために役立つ機能にも考慮が必要です。

消費電力の大きいエンド機器がより長い動作時間に対応するために必要な、より大容量のバッテリの使用によって、もう1つの問題が生じます。1Sから2Sバッテリに移行すると、充電電流の増加なしで容量が増大します。USB-Cは5V~20Vの入力電圧に対応し、2Sまたは3Sバッテリ電圧はその範囲内に入るため、バックブーストコンバータはギャップの橋渡しに役立ちます。図2の2Sバッテリベースのアプリケーションのブロック図を参照してください。

図2. 2Sバッテリベースのアプリケーションのブロック図

そのままでUSB-C準拠

マキシムの新しい1組のUSB-C充電システムソリューションは、そのままでUSB-C PD 3.0仕様への準拠を提供し、ファームウェア開発が不要で開発期間を最大3か月短縮します。また、それらの小型実装面積は競合ソリューションと比べてソリューションサイズを半分に削減します。USB-CおよびUSB-C Power Delivery充電コントローラのMAX77958は、GUI方式のカスタマイズスクリプト、BC1.2対応、および高速ロールスワップ(FRS)、デュアルロールポート(DRP)、およびTry.SNKモードに関係する設定によって、ファームウェア開発作業を不要にします。このスタンドアロンデバイスは外部マイクロコントローラが不要で、そのままでUSB-C PD 3.0準拠を提供し、ファームウェア開発なしでエンドアプリケーションの動作のカスタマイズを可能にします。また、このデバイスは28V定格、CC端子へのVBUS短絡保護、内蔵アナログ-デジタルコンバータ(ADC)、および水分検出/腐食防止などの特長によって過酷な環境に耐えるように設計されています。

MAX77962は3.2A USB-Cバックブーストチャージャで、FETを内蔵し大容量2Sリチウムイオンバッテリを急速充電します。このデバイスはUSB-C PD充電用の広い入力電圧範囲(3.5V~23V)を提供し、ディスクリートFETは不要で、アプリケーションプロセッサありまたはなしの構成が可能です。ピーク効率は97% (9VIN、7.4VOUT、1.5AOUT)です。

この両方のデバイスをMAX77958EVKIT-2S3#で評価することが可能で、MAX77958がそのI2Cマスター機能によってチャージャのMAX77962を自律的に制御するのをデモします。この評価キットは80ドルで提供されます。

これらのデバイスはいずれもより広範なUSB-CおよびUSB-C PDデバイスポートフォリオの一部で、他には電力効率に優れたチャージャやコンバータ、自律的で堅牢なコントローラ、および電源経路/保護 ICなどがあります。

出典

1 https://www.maximintegrated.com/jp/design/technical-documents/app-notes/6/6918.html