LEDヘッドランプのEMI課題の解決

2017年1月26日

Tamer Kira 著者:Tamer Kira
車載製品担当ディレクター、マキシム・インテグレーテッド 


暗い夜道を照らす場合も、自分の車を他の運転者から見えやすくする場合も、高輝度(HB)発光ダイオード(LED)は安全性を高めつつエネルギー消費を削減します。2004年にアウディが始めてヘッドライトにLEDを使用して以来、自動車メーカー各社はその小型サイズを利用して多くのスタイリッシュなデザインを実現してきました。

Global Market Insightsによると、HB LED市場の売上高は2023年には220億米ドルを超えると予想され、この市場に占める自動車業界の割合が着実に拡大すると思われます。従来の照明技術と比べて、LEDはエネルギー使用量を50~70%節約することが可能で、二酸化炭素排出量を削減します。LEDは5万時間またはそれ以上の寿命を備え、他の照明技術より長持ちします。これは日中走行用ライト(DRL)などのアプリケーションで役立ちます。また、LEDは白熱灯より高速に点灯および消灯するため、ブレーキランプに最適です。

しかし、HB LEDの設計にも課題はあり、中でも特に難しいものの1つが電磁干渉(EMI)です。LEDドライバの高いスイッチング周波数によって発生するこれらの不要なノイズ信号は、回路の性能を低下させ、酷い場合には回路の機能を停止させます。また、EMIは他の車載サブシステム(ラジオなど)にも悪影響を与えます。


図1:LEDヘッドライト-エネルギー効率に優れたLEDヘッドライトは多くのスタイリッシュなデザインに使用することができる

EMI制御の手法と技術

LEDドライバのスイッチング周波数を低下させるという方法を採ることはできません。結局のところ、高周波がLEDのエネルギー効率と長寿命動作の維持に役立っているからです。ドライバのフィルタ処理は有効な手段です。EMIの影響を最小限に抑えるように設計されたLEDドライバICを選択することも有効です。たとえば、スイッチングエッジを滑らかにする波形整形回路は、パルス幅変調(PWM)調光時の放射EMIを低減します。波形整形回路は、マキシムの高電圧、350mA、可変リニアHB LEDドライバのMAX16800で利用可能です。

内部周波数ディザリング(または変調)もEMIの制御に役立ちます。スイッチング周波数を変調すると、ピークエネルギーを低下させ、他の周波数およびその高調波に再配分することができます。さらに、スペクトラム拡散手法では、EMI周波数をノイズが害にならない帯域へと移動させることも可能で、ノイズが回路の敏感な部分に影響する場合に最適です。また、スペクトラム拡散手法はEMIに関する規制規格への適合にも効果的です。一般にこれらの規格は、スペクトル内の特定ポイントにおける最大EMIエネルギーを規定しているためです。

マキシムのHB LEDドライバのMAX16833ファミリ(図2)は、スペクトラム拡散アプリケーション用の周波数ディザリングによってEMI性能を向上させます。また、この製品ファミリは高度の柔軟性も提供するため、ハイビーム/ロービーム/シグナルライト、日中走行用ライト、フォグランプ、適応型フロントライトアセンブリなど、複数の車載照明アプリケーションに最適です。EMIノイズの低減に加えて、これらのLEDドライバは、ハーネスワイヤの削減、堅牢な障害保護を備えたハイパワーアプリケーションのサポート、および最大65V入力電圧への対応によるシステム部品表(BOM)コストの削減を実現します。


図2:MAX16833の簡略動作回路