現在と将来の自動車の安全性/インフォテイメントを進化させる

2017年10月10日

Randall Wollschlager 著者:Randall Wollschlager
マキシム・インテグレーテッド オートモーティブ事業部門バイスプレジデント 


今から10年後も空飛ぶ自動車は実現しないでしょうが、将来の自動車はよりコネクテッドで自律的になると思われます。自動運転車のシートに座って作業テーブルを引き出し、ラップトップにログインしてひと仕事するのを想像してみてください。あるいは、長距離ドライブの間、背もたれを倒して大画面で超高解像度(UHD)の映画を見ている横で、子供たちは仮想現実(VR)ゲームで遊び、奥さんはソーシャルメディアのフィードをスクロールさせている—それぞれ自分専用の車載ディスプレイを使って—というのも良いでしょう。

Alexander Kalogianni氏はDigital Trendsの中で、「注意してください。さほど遠くない将来の自動車は、今作られています。しばらく前から、自動車メーカーは将来の自動車に採用される技術のテストに全力で取り組んでおり、私たちはその成果をすでに目にしています」と書いています。

すでに、飛行機よりも多くの配線を備えた自動車が市販されています。自動車の高度化によって、電子部品と電子技術の使用はますます増え続けます。今日の自動車の多くは、車線逸脱警告、非常ブレーキ、360°サラウンドビューなどの重要な安全性機能を提供しサポートするために、すでに5~8個のカメラを備えています。将来の自動車の、特にインフォテイメントおよび先進運転支援システム(ADAS)にとって最も基本的な技術の1つは、マキシムが開発しているギガビットマルチメディアシリアルリンク(GMSL)技術などの高速シリアルリンクです。今から10年後、フル装備の高級車は、リアルタイム運転支援および安全性機能用に3Gbps以上の速度を持つ最大16のリンクが必要になると考えられます。

自動車内のデータ処理の急増への対応

現在の自動車で、私たちはデータ処理の爆発的増加を体験しています。今日のWi-Fi対応車両は、ホームネットワーク、衛星、および携帯電話の電波塔に接続します。次の段階の車車間・路車間(V2X)通信で想定されるのは、信号機や標識など、インフラストラクチャの追加要素との接続です。ネットワーク機能の向上によって、最終的にはワイヤレスの車車間(V2V)通信が現実になり、自動車、トラック、およびバスが位置、速度、およびブレーキ状態などのデータを付近の他の車両に伝え、必要に応じてドライバーへの警告を可能にします。このすべての先進機能をサポートするために、完全な自動運転車は3,000Wの計算パワーを誇るようになっても驚くには当たりません。

高速シリアライザ/デシリアライザ(SerDes)ラインドライバおよびレシーバはデータストリームを搬送し、車載ビデオ、オーディオ、および通信を実現します。これらのデジタルコンテンツストリームは、自動車の中で私たちを楽しませたり正しい道順をナビゲーションしたりするだけではなく、運転をより安全にする働きもします。衝突防止、車線逸脱警告、自動ブレーキシステムなどのADASアプリケーションは、複数のカメラからのビデオストリームとレーダーおよびライダー(LiDAR)のセンサーデータがプロセッサに高速で伝達され、そこで分析されて自動車による適切な対応をトリガします。今後は、自動車のミラーはビデオリンクとディスプレイに置き換わります。人間の視覚に代って自動車の動作をガイドすることになるマシンビジョンの性能向上には、ビデオシステムとヘッドライト間の双方向、高速通信が不可欠です。自動車業界は完全自動運転車に向かって進んでいるため、これらのアプリケーションの基盤を提供する高速リンクの広帯域幅、高性能、および高信頼性は、さらに重要性を増すことになります。

未来の車

GMSL技術は自動運転機能のサポートに必要な高速データレート、低ケーブルコスト、および低レイテンシーを提供します。

車載グレードGMSL SerDes技術

マキシムは10億個以上の車載ICの出荷実績があり、ADASやインフォテイメントなどのアプリケーション用にGMSL SerDes ICを開発しています。GMSLは、15mの単線同軸ケーブルまたは10m~15mのシールド付きツイストペア上でHDビデオ、オーディオ、制御情報、およびギガビットイーサネットを伝送するマルチギガビット車載相互接続技術です。この技術には、設計の革新を実現するソリューションの開発に長年にわたって取り組んできたマキシムの歴史を示す、いくつかの注目に値する重要な機能があります。

  • この車載グレード技術は、最も厳格な車載電磁環境適合性(EMC)仕様に適合しています。
  • スペクトラム拡散機能が各SerDes ICに組み込まれているため、リンクのEMI性能が強化されます。使用されるデータ変調方式もこの点で重要な役割を果たします。
  • この技術は非圧縮であるという事実が重要です。圧縮によってアーチファクトが発生し情報が失われるため、物体および歩行者検出などの安全性機能に必須の能力であるマシンビジョンへの対応が不可能になります。また、非圧縮技術は非常に低いデータレイテンシーにもつながります。

100Mbpsイーサネットはすでに車載アプリケーション用に認定済みで、1Gbpsイーサネットの認定に向けた動きがあります。それに対して、マキシムの現在の3Gbps GMSL技術はより高速なデータレート、50%低いケーブルコスト、およびより優れたEMCを提供します。マキシムは年間数千万個のGMSLチップを出荷しており、GMSL技術の強化を継続しています。将来の自動車はより自動運転化されるため、ドライバーも同乗者も乗車中にインフォテイメントシステムをより多く利用したいと考えるでしょう。さらに、ビデオおよびセンサーデータをリアルタイムで捕捉・分析してADAS機能に対応するために、自動車自体もより多くのパワーを必要とします。

私たちは自動車の重量が常に問題であることも理解しており、パワー効率に優れたICの設計に当たって、追加の電源またはグランド配線が不要なPower over Coaxialアーキテクチャを採用しました。その結果、自動車の軽量化と燃料効率の向上、システムコストと製造コストの低減、およびADAS /インフォテイメントシステムの全体的な設計の簡素化が実現します。マキシムは、GMSL技術を内蔵した新しいリモートチューナソリューションチップセットを提供しています。このチップセットは、車載ラジオヘッドユニットを簡素化するとともに、ラジオの信号品質を向上させます。マキシムがGMSL技術を進化させて行く上で、自動車用安全度水準を念頭に置いた設計を続けます。

生産的な未来の道

自動運転アプリケーションはすでに大幅な進歩を遂げており、完全な自動運転車に向かう途上で、私たちはさらに多くのマイルストーンを体験することになるでしょう。将来的に、広帯域幅と高速データレートは重要であり続け、耐障害性も同じです。遠くない将来、自動車による通勤や旅行はより安全になるだけでなく、はるかに生産的で楽しいものになるでしょう。