より安全でスマートな自動車を実現するために必要なもの

2017年10月17日

Kent Robinett 著者:Kent Robinett
マキシム・インテグレーテッド オートモーティブ事業部門バイスプレジデント 


特に大都市圏において、道路がどれほど混雑しているか気付いていますか? 車でオフィスに向かっている途中に電話会議を行うこともできますが、この移動時間は一般にあまり生産的ではありません。自動運転車が道路を走行するようになると、この状況が大きく変化します。自分の車が交通の流れに沿って進む中で、電子メールをチェックしたり、報告書、調査、その他のプロジェクトの作業が可能になることの効率性を想像してみてください。

自動運転車のテストは、すでに世界中のさまざまな都市で進められています。実際に、ゼネラルモーターズ(GM)と(昨年GMが買収した)クルーズオートメーションは先月、量産向けに設計された自動運転車を開発したことを発表しました。GMとクルーズは、これが同種の自動車として初めてフルスケール生産に対応したものだと主張していますが、すでにテスラは自動運転を可能にするセンサー一式を自社のすべての電気自動車に装備し始めています。クライスラーはウェイモ(アルファベットの自動運転部門)向けに数百台の自動運転パシフィカミニバンを製造しています。

一方で、現行世代の自動車はすでに駐車支援、自動ブレーキ、歩行者検出、衝突防止などの機能を持つ先進運転支援システム(ADAS)を備えています。センサー、カメラ、高速シリアルリンクなどの基盤技術は、これらの機能を実現するために不可欠で、業界がレベル5の完全自動運転車に向かって移行する間も非常に重要であり続けます。

膨大な帯域幅を必要とするリアルタイム意思決定

自動車の応答と反応を指示するリアルタイム意思決定を行うために、ADASアプリケーションは複数のカメラおよびセンサーからの入力を迅速に取得し処理することができる必要があります。自動車内部のカメラシステムは、通常は非常に高いデータレートを備えています。サラウンドビューシステムを考えてみると、各カメラが通常は1280 x 800ピクセルの解像度と30 f/sのフレームリフレッシュレートのビデオストリームを使用します。インフォテイメントシステムもカメラに依存しており、高解像度コンテンツを提供し、オーディオとビデオの両方のデータの処理を行うことが増えています。今日の自動車の多くは、セーフティ機能をサポートするために最大8つのカメラを備えているのが一般的です。セーフティとインフォテイメントの組み合わせによって、将来の自動車は1ダース以上のカメラ、複数の高解像度ディスプレイ、およびこのすべてのデータを転送するためのシリアルリンクを備えることになります。さらに、車車間(V2V)および車車間/路車間(V2X)通信を忘れてはいけません。ADASやインフォテイメントシステムのように、V2V、V2X、およびセンサーフュージョンシステムもすべて、自動車が他の自動車および道路インフラストラクチャからのデータを共有し、それに基づいて動作することを可能にするために、広い帯域幅とデータ完全性を必要とします。

Strategy Analyticsによると、必要な帯域幅は今年から2020年にかけて約25倍に増大すると予想されます。より高いフレームレートと解像度は、自動車の帯域幅にさらなる圧力をかける一方です。しかし、これはストリーミングビデオ、ビデオ会議、ゲーム、ソーシャルメディアなどのオンラインの、自動車内アクティビティが要求するデータ量の急増に対応するために必要なものです。基盤となるデータ伝送技術に関しては、帯域幅、データ完全性、相互通信の複雑性、動作環境の過酷な特性などの面で対応すべき課題が増大しています。シリアルリンク技術はこの車載環境で優れた性能を発揮し、要求される超高速性、高信頼性、および低遅延をサポートする必要があります。

イーサネットバックボーンは今日の自動車の多くで非常に一般的に使われており、CANバスの100倍という高速リンク上でデータを伝送することができます。しかし、イーサネットを使用する場合はビデオフィードの圧縮も必要になり、明らかに現在または将来の自動車の要求に対して高速性が不足しています。自動車メーカーは、自動車内でメガピクセル解像度の画像を伝送するとともに、カメラでのスペースおよび電力の使用量に関する厳格な要求を満たすこともできる必要性が増しています。

4Kビデオ用の次世代高速シリアルリンク

マキシムの次世代ギガビットマルチメディアシリアルリンク(GMSL)シリアライザ/デシリアライザ(SerDes)技術は、将来のADASおよびインフォテイメントシステムに必要な広帯域幅、複雑な相互通信、およびデータ完全性の要求に完全に対応します。


すべての自動車にこれらの高速シリアルリンクが必要な理由(日本語字幕)
1:33 October 16, 2017

GMSL SerDes技術は、HDビデオ、オーディオ、制御情報、集約されたセンサーデータ、およびギガビットイーサネットを、15mの1本の同軸ケーブルまたは10m~15mのシールド付きツイストペアケーブル上で同時に伝送します。GMSL技術は数メガピクセルの画像を圧縮なしで伝送することができるため、物体および歩行者検出などのセーフティ機能にとって急速に不可欠なものになっているマシンビジョン技術に対応可能です。また、このSerDes技術はリンク上の電磁干渉(EMI)を低減するスペクトラム拡散機能も内蔵しています。GMSL技術が必要とするのはシールド付きツイストペアまたは同軸ケーブルのみであるため、設計の簡素化と同時に、重量、コスト、サイズ、および消費電力の削減を実現します。

GMSL:よりスマートで安全な自動車への道を拓く

現在の自動車は、すでにより多くのセーフティおよびエンターテイメント機能を取り入れており、必要なインタフェース帯域幅が増大しています。将来の自動車は、毎日の通勤時のリモートワークステーションや長距離の移動時のエンターテイメントセンターになるため、複数のデータタイプの高速な伝送および処理の必要性がさらに高まります。GMSL SerDes技術は、4Kビデオ、センサーデータ集約、ギガビットイーサネット、およびオーディオへの道を拓き、よりスマートで安全な将来の自動車の設計に貢献します。