Q&A:将来の自動車の設計についてマキシムのRandall Wollschlagerに聞く

2017年9月19日

Christine Young 著者:Christine Young
ブロガー、マキシム・インテグレーテッド  


これまでに10億個以上の車載ICを出荷してきたマキシムには、車載市場での長い成功の歴史があります。この分野を指揮しているオートモーティブ事業部門バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのRandall Wollschlagerは、マキシムの最初の車載定義ICを開発した2人の設計エンジニアのうちの1人です。最近Randallにインタビューを行い、車載エレクトロニクスがどのように進化してきたか、今後はどうなりそうかについて聞いてみました。どうぞご覧ください。 

Randall Wollschlager

マキシム初の車載チップについて教えてください。

あれは2006年のことで、私たちが作った最初の製品は24チャネル車載スイッチモニタのMAX13362でした。このデバイスは、機械式スイッチと低電圧マイクロプロセッサまたはその他のロジック回路間のインタフェースを提供するものです。自動車の機械式スイッチは、物理的接点が時間とともに酸化することが原因で故障します。これらのスイッチモニタはスイッチに接続されて接点の位置を検出し、接点の酸化を焼き切ることによってスイッチの寿命を延長します。この製品は現在も生産されています。

当時は課題の多い市場でしたが、私を含む少数の人間は成功を確信して取り組みを続けました。現在オートモーティブビジネスマネージメント担当バイスプレジデントを務めているKent Robinettと、製品定義担当エグゼクティブディレクターのKevin Schemanskyも、根気強くこの事業の拡張を支えた専任チームのメンバーでした。私は新製品の開発を指揮していたモバイルチームからオートモーティブへと移ったのですが、スマートフォンの体験を車載インフォテイメントシステムに応用する方法を見出しました。自動車の電気系統は、人類が知っている最も過酷で最も安定化の不十分な環境の1つですが、その環境に耐える堅牢なICを提供することができる場合には長期的ビジネスとして悪くありません。

マキシムは10年以上にわたってスマートフォンICを開発しているため、スマートフォンのユーザー体験を車載インフォテイメントシステムで提供するという独自の位置を占めています。早くから、私たちはマキシムの民生用製品を基に車載グレードバージョンを作るチャンスを認識していました。そして自分達の評判を基盤として非常に困難なエンジニアリグ上の問題を解決してきました。マキシムの車載IC技術に従事するエンジニアは長期的な社員である場合が多く、それによって私たちは組織的にこの業界での専門知識を育成することができました。 

当時から、現在のような自動運転車に向かう考えはありましたか?

自動運転車は、私たちの意識の中にはまったくありませんでしたね。2000年代に、インフォテイメントとセンタースタックが自動車にとって重要性を増しました。市場で物事が変化しているときは参入する絶好のチャンスなので、私たちはドライバーの前にあるインフォテイメントとクラスターに集中しました。また、エクステリア照明、電気自動車用のバッテリ管理システム、USBポート、およびスイッチモードパワーマネージメントに対する投資も開始し、ラップトップのバックライトディスプレイドライバに関する専門知識を活用するようになりました。自動車の中で100年間にわたって技術的に進歩していなかった部分に、技術が浸透し始めていました。

この年月の間に車載設計で起きた最大の変化にはどんなものがありますか?

1990年代に私がこの業界で働き始めたとき、OEM各社(自動車メーカー)は自社の電気モジュールの多くについて仕様を決め設計していました。現在は、場合によって、OEMはどのベンダーの部品を使用するかを決定し、外部のモジュールサプライヤ(別名ティア1)にどのICサプライヤを使うかを指示します。その後、ティア1は選択されたベンダーと協力して部品とサブシステムを作成します。そのため、たとえば、カメラのサプライヤがある特定のICベンダーのシリアライザを使っている場合、ヘッドユニットのサプライヤはOEMの決定に従って同じベンダーのデシリアライザを使用する必要があります。私たちは、OEMおよびティア1サプライヤと直接協力する必要があります。 

今日の車載設計が直面している最大の技術的課題にはどんなものがありますか?

自動車で今まさに起きているのは、データ処理の爆発的な増大です。過去にこれほどのデータ処理が必要になったことはありません。完全な自動運転車は、約3,000Wの計算パワーを備えることになります。それはちょうど、自動車のトランク内で2つのヘアドライヤーを最大風力で使うようなものです。より多くの機能が自動車に追加されるのに伴って、CPUの数も大幅に増えています。

自動車の品質と寿命は、今後も重要な検討事項であり続けます。今は、自動車を運転するのはA地点からB地点に移動する必要があるときだけで、それ以外のとき自動車はアイドル状態になっています。しかし、カーシェアリングサービスが普及し、最終的に自動運転車の時代になると、自動車はほぼ1日24時間利用される可能性があります。

では、今から10年後に私たちはどんな自動車を運転していることになるのでしょう?(運転は不要かもしれませんが!)

最終的なゴールは明らかに自動運転車ですが、次の通過点はコネクテッドカーになると思います。コネクテッドカーは、すでに家庭のWi-Fiを使ってソフトウェアプログラムのアップグレードを行い、衛星からの信号を受信してエンターテイメントやGPSナビゲーションを実現しています。将来は、その他にも信号機、標識、携帯電話の電波塔など、そしておそらく他の自動車と通信することになります。周囲に他の交通がないことを検出すると、停止信号が青に変わるのを想像してください。安定した作業台やシートの改良も必要になります。ラップトップで作業しているときに揺れないように、搭乗者の安定性を強化する必要があります。少しの間横になったり、あるいは単に背中を伸ばしたいこともあるでしょう。また、エンターテイメントや仕事関連の活動にスクリーンを使用する時間が増えるため、より多くのHD (高解像度)かつ大型のディスプレイが搭載されます。

将来の車にはミラーがなくなり、代わりにカメラとディスプレイを備えることになります。それによって死角がなくなります。自動運転車ではエンターテイメントがより重要になるため、4Kディスプレイが使用されます。レーダー、ライダー(LiDAR)、ビデオシステムから出力されて自動車内を飛び交う大量のデータは、すべてデジタルです。そのすべてが、マキシムのGMSL (ギガビットマルチメディアシリアルリンク) SerDes技術などの高速リンク上で伝送されることになります。