信号モニタリングアプリケーションの診断機能を簡素化しつつ内部回路に給電する

2020年1月30日

Suravi Karmacharya  筆者: Suravi Karmacharya
 マキシム・インテグレーテッド、インダストリアルコミュニケーション事業部門シニアビジネスマネージャー 


産業用システムでは、機器内の奥深くに起因するフィールド側の障害を防止することができるかどうかが、自動化された工場などで連続したアップタイムを実現することができるか、それとも生産停止によって巨額の損失を被るかの分かれ目になる場合があります。信号モニタリングは、電圧が適正なスレッショルドに達しているかどうかや、リレー接点が存在するかどうかといった条件を検出する場合に不可欠です。また、高電圧のフィールド側回路と低電圧のロジック側回路間の電力およびデータ絶縁は、障害を防止し、両側間のノイズやグランドループを除去し、全体として機器の運用上の安全性を確保する上で有効な場合があります。

診断モニタリングを実現するためにはさまざまな手法が利用されますが、それらのアプローチは通常、多大な手間やコストを要します。たとえば、電圧と電流の管理では、多くの場合、コンデンサやダイオードなどのディスクリート部品が組み込まれます。この手法では、それらのディスクリート回路の設計だけでなく、システム内のエラー原因を正確に特定するために多大なデバッグ作業も必要になります。

電力絶縁については、トランスが従来使用されており、データ絶縁バリアの構築にはフォトカプラ(またはデジタルアイソレータ)が使用されます。こうしたディスクリートアプローチは有効ではあるものの、相当大きな基板スペースを利用し、設計のコストも高くなります。たとえば、高電圧モニタリングシステムにおける標準的なデータおよび電力絶縁方式を考えてみましょう。この場合、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)でフィールド側の高電圧をサンプリングし、4線式シリアルペリフェラルインタフェース(SPI)の形式でデジタル出力を生成することが考えられます。ADCとマイクロコントローラユニット(MCU)の間に置かれたデジタルアイソレータ回路は、フィールド側のデジタル信号をロジック側のMCUに伝送します。一方、ADC、アイソレータ、およびMCUは、フィールド側とロジック側の両方に別個の電源回路を必要とし、貴重な基板スペースを占有することになります。

では、システムの診断モニタリングとデータおよび電力絶縁機能が産業用通信回路にあらかじめ組み込まれていたとしたら、どうでしょうか。

図1. 信号モニタリングアプリケーションにおいて、絶縁型の電力伝送と簡素化された診断モニタリングを集積したアーキテクチャを活用。図1. 信号モニタリングアプリケーションにおいて、絶縁型の電力伝送と簡素化された診断モニタリングを集積したアーキテクチャを活用。写真提供:iStock/metamorworks

集積化した絶縁型マイクロパワーアーキテクチャ

マキシム・インテグレーテッドのMAXSafeという新しいシステムアーキテクチャは、診断モニタリングを簡素化しつつ絶縁型の電力供給を実現する上で有効です。MAXSafeは、業界初の集積化した絶縁型マイクロパワーアーキテクチャであり、最大250µAを供給することができます。これは内蔵チップや設計内の簡単なフィールド側回路への給電に十分な電流です。このアーキテクチャは独自の絶縁技術で開発され、フィールド側は集積化した絶縁型DC-DCコンバータを使用してロジック側から給電されます。このアプローチでは、フィールド側の電力要件が小さい場合、かさばる高価な外付け絶縁型電源が不要です。自己診断とモニタリングの機能は絶縁されたフィールド側にあります。絶縁された回路を通じて、機能とステータスをシステムのマイクロコントローラに伝達することができます。絶縁型の診断機能によって安定した通信が確保されます。

MAXSafeアーキテクチャは次のことを実現します。

  • 従来の絶縁型電源を使用する場合に比べて4分の1の省スペース
  • チャネル密度は2倍以上に増加

図2は、MAXSafeアーキテクチャを図示したものです。制御側には3.3V~5.5Vの電源があります。MAXSafeアーキテクチャに含まれる絶縁型DC-DCコンバータは、最大250µAをフィールド側回路に供給します。これは内部および外部回路への給電に十分な電流です。

図2. MAXSafeアーキテクチャの概要図図2. MAXSafeアーキテクチャの概要図

絶縁型、シングルチャネル、10ビットADCのMAX14001/MAX14002では、MAXSafeアーキテクチャを採用しています。これらのデバイスはプログラム可能な電圧コンパレータと突入電流制御を備え、設定可能なバイナリ入力アプリケーション向けに最適化されています。バイナリ入力側(フィールド側)とコンパレータ出力/SPI側(ロジック側)の間には、3.75kVRMSの絶縁が組み込まれています。デバイスに集積されたDC-DCコンバータがフィールド側回路に給電するため、入力信号が存在しない時でもフィールド側の診断機能を実行することができます。ADCは絶縁バリアのフィールド側で入力電圧を継続的にデジタル化し、絶縁バリアを越えてデバイスのロジック側にデータを伝送します。ロジック側では、入力電圧の大きさがプログラム可能なスレッショルドと比較されます。図3はMAX14001/MAX14002のブロック図です。

これらのデバイスの詳細については、デザインソリューション「Isolated ADC with Integrated DC-DC Converter Simplifies Field-Side Circuitry (DC-DCコンバータ内蔵の絶縁型ADCによるフィールド側回路の簡素化)」をお読みください。

図3. MAXSafeアーキテクチャを実装し、マイクロパワーDC-DCコンバータ、デジタルアイソレータおよび入力を集積したMAX14001/14002絶縁型シングルチャネルADCのブロック図。図3. MAXSafeアーキテクチャを実装し、マイクロパワーDC-DCコンバータ、デジタルアイソレータおよび入力を集積したMAX14001/14002絶縁型シングルチャネルADCのブロック図。

マキシムは、今後もMAXSafeアーキテクチャを実装した産業用通信ICのポートフォリオを拡張していきます。診断機能を簡素化しつつ内部回路に給電するMAXSafe製品に引き続きご注目ください。