どうすれば1兆個のコネクテッドデバイスを作ることができるのか?

2017年11月8日

Christine Young 筆者:Christine Young
ブロガー、マキシム・インテグレーテッド  


今年のArm TechConでは、どうすればより多くのものにインターネットを導入することができるかに焦点が当てられました。モノのインターネット(IoT)機器は2020年までに約500億個に達するという予想はよく引用されるため、たぶんお聞きになったことがあるでしょう(もうスマート冷蔵庫は購入されましたか?)。Armの世界では、1兆個のスマート、コネクテッドデバイスに向けた動きという話になります。

Arm®のCEOであるSimon Segars氏は7月のブログ投稿で、2006年にソフトバンクのCEO兼会長である孫正義氏と技術の将来について話し合ったときのことを書いています。その10年後、ソフトバンクはArmを買収し、インテリジェンスとコネクティビティに関する共通のビジョンが明らかになりました。「私たちのビジョンは、人と物、人と人の相互動作の方法を変えることになります。私たちのビジョンは価値を生み出し、私たちがこの世界を形作る能力を高めます。最も重要なのは、それによって持続可能で安全な進歩が可能になり、私たちが夢見るすべてが実現可能になるということです」とSegars氏は書いています。「Armのエコシステムは明日に向かうための集結地点だと考えています。世界を変える発明につながる、1兆個のセキュア、コネクテッドデバイスのシリコンを基盤として構築される未来の中心地です」。

10月24日(火)にArm TechConの開幕を飾った2つの基調講演で、 同社の創設者の1人で現在のCTOであるMike Muller氏と、同社のIoTサービスグループ社長であるDipesh Patel氏が、1兆個のコネクテッドデバイスを作るために必要なものについて語りました。

製品デザインの修士号を目指しているご子息との会話に触発されて、Muller氏は製品およびユーザーインタフェースを設計するときに感情を考慮に入れる必要があるという話を構成しました。怒り、畏怖、信頼、喜び-これらはすべて、新しい製品を使ったり調べたりするときに呼び起こされる感情です。たとえば、Muller氏はSpaceX社のFalcon 9ロケットが大海原に浮かんだ舟艇に高精度で遠隔着艦するのを見たときの畏怖の感覚について強調しました。この畏怖は、(特にNASAのSaturn V計画とそれ以後の進展を思い出したあとに)彼が感じた古き良きエンジニアリングについての強い感銘から生じたものだと同氏は語っています。怒りは、たとえば製品の設計が悪い場合や、ライフサイクルが十分に管理されていない場合に現れます。怒りのツイートの例として、以前に電気自動車を所有していた人が、車を売却したあともずっとスマートフォンにメンテナンス警告を受け取り続けていた話が紹介されました。さらに喜びがあります。私たちは皆、製品がより良い方法で問題を解決してくれるとき、あるいは単純に使うのが楽しいときに喜びを感じます。Muller氏の場合、ご子息がいつか作ると思われるさまざまなタイプの製品を夢想しているときに喜びを感じるそうです。

「20年後の未来はどうなっているでしょう?スマートフォンでDNAシーケンス解析やゲノム編集が可能になり…あらゆるものが、まったく新しい種類の製品として登場すると思います」とMuller氏は語っています。

Muller氏は、現在のお気に入りのIoT機器として、心臓病患者用のビデオベースの在宅モニタを紹介しました。Heartfelt Technologies社によって開発されたこのスキャナは壁掛けが可能で、患者が前を通るときに心血管の情報をキャプチャします。データはクラウドに送信されて処理され、たとえば患者に心臓病の前兆である足首の腫れが生じた場合、モニタはケアチームに警告を送信します。その後、ケアチームは患者に薬を飲むよう指示することができます。この救命の可能性を備えた装置は人工知能によって動作し、Raspberry Piボード、ビデオカメラ、ハードウェアドライブ、およびネットワークハブで構成されます。

「人々は構成要素を選び、それらを組み合わせて、新しい製品を作っています」とMuller氏は語っています。「そのため、私はIoTが世界を変えるものになると確信しています」。

もちろん、信頼がなければIoTはスケーラブルにならず、1兆個のコネクテッドデバイスについて話してきたことはすべて無意味になります。「セキュリティをオプショナルにすることはできません」とMuller氏は強調しています。
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IoT革命の始まり

Patel氏にとって、今は革命の始まりだそうです。彼が先見の明で見ていることを、10年か20年先には私たちも明確に見ることができるでしょう。基調講演の中で、同氏はIoTの3つの要件として、簡素さ、セキュリティ、およびスケーラビリティを強調しました。第1に、機器はライフサイクル全体を通して容易に作成、配備、および管理することができる必要があります。第2に、「セキュリティは最優先にする必要があり、後回しにすることはできません」と同氏は語っています。第3に、「機器の数が数十億に達する場合は、作成するあらゆるソリューションがスケーラブルである必要があります」。

Patel氏の講演では、電力から接続性やセキュリティまで、あらゆるものに関するIoTの課題に設計者が対応するために役立つ複数のArmソリューションが紹介されました。たとえば、オープンソースArm Mbed OSエンベデッドオペレーティングシステムは、セキュリティ、接続性、RTOS、センサーおよびI/Oデバイス用ドライバなど、Arm Cortex®-Mマイクロコントローラをベースとするコネクテッド製品の開発に必要な機能を提供します。Mbed Cloudは、IoT機器の管理の課題に対応するスケーラブルなソリューションを提供します。信頼性のある革新的なエンベデッドおよびオートメーション製品およびソリューションを提供しているAdvantech社は、Mbed Cloudを使うことによってスマートパーキングアプリケーションの配備に必要な時間を通常の6か月から3か月に短縮したとPatel氏は説明しています。Mbed Edgeはゲートウェイボックス上で動作し、ゲートウェイ自体を介した機器の監視およびリモート制御を可能にします。

IoTの成功には、デバイス-クラウド間の強力なパートナーシップが必要になるとPatel氏は語っています。「私たちが協力し、簡素さ、セキュリティ、スケーラビリティという原則に従うなら、1兆個の機器に到達することが可能だと考えます」と同氏は締めくくりました。