1兆個のコネクテッドデバイスが作り出す世界とは

2017年12月7日

Christine Young 筆者:Christine Young
ブロガー、マキシム・インテグレーテッド


1兆個のスマートなコネクテッドデバイス。そこに至るには何が必要でしょうか。そして、その実現は本当に必要で、また望ましいことなのでしょうか。

確かに驚くべき数です。考えてみましょう。世界には約3兆400億本の樹木があります。その3分の1にセンサーを取り付けることを想像してください。5分間のニュース番組では、アナウンサーは約1,000語の単語を読み上げます。1兆語の単語を読むと、番組の長さは6,000年にもなります。それでも、この1兆個のデバイスという見通しは、Armが予測を立てるにとどまらず、実際にサポートし、可能にしようとソリューションを開発しています。ソフトバンクの会長兼CEOで、現在はArmのオーナーでもある孫正義氏は、2017年はじめのMobile World Congressで講演した際、Armが今後20年で約1兆個のIoTチップを供給すると述べました。

この年のArm TechConでは、基調講演の多くがこの1兆個のデバイスへの道を中心的なテーマとしていました。モノのインターネット(IoT)の専門家である技術ジャーナリストのStacey Higginbotham氏は、10月24日の講演でIoTがなぜ非常に難しいかについて論じました。「これはどう見ても簡単にはいきません。テクノロジーの革命は一夜にして起こるわけではなく、何十年もかかります」と、彼女は述べています。

「10年前、iPhoneが登場した頃のことを覚えていますか?」と、Higginbotham氏はサンタクララコンベンションセンターで聴衆に問いかけました。iPhoneの登場は、かつて答える必要のなかった数多くの問題を生み出しました。会議中にテキストを打っても大丈夫だろうか。ディナーの席でおかしな猫のビデオを見るのはどうだろうか。現在では、問題はもっと切実で範囲も広いと思われ、その答えは私たち皆に影響を与えます。収集したデータすべてについて誰が決定を下すのか。人々を追跡管理するのは誰か。何が重要かを決定することができるのは誰か。誰が物事を執行し、物事がうまくいかないときにはどうなるのか。すべて、社会に浸透して解決されるのに長い時間を要することもある難しい問題だと、彼女は指摘します。

その1兆個の節目に到達すれば、インテリジェンスとコネクティビティが様々なアプリケーションに導入され、重大な影響を及ぼすに違いありません。すでにオーストラリアでは、ピアツーピアのエネルギー取引プラットフォームであるPower Ledgerという新興企業がブロックチェーンを利用して、コネクテッドメーターを備えた家の住民が余った太陽光電力を近隣に直接販売することを可能にしています。医療分野では、様々な健康状態を予測する、より多くのソリューションが現れると考えられます。たとえば、NASAは現在、ペルー政府と協力し、衛星データを使用してマラリアの流行を予測しようとしています。農業では、コンピュータビジョンを利用して農薬や化学肥料の散布を規制し、使用量を管理する試みが始まっています。これらは、世界がいかに変化を遂げつつあるかを示すいくつかの例に過ぎませんが、来るべき世界を垣間見ることができる事例でもあります。

スマート農業

農業におけるセンサーの利用は、農業従事者が農薬や化学肥料をより効果的に使用する上で役立つ可能性があります。

人間とコンピューティングの最良の部分を組み合わせる

技術者が新しいコネクテッドワールドを生み出すにつれて、理想的には人間とコンピューティングの最良の部分を活かす、新たなエコシステムの形成のような様相を呈すると、Higginbotham氏は述べています。そのためには、次のようないくつかの不可欠の分野で課題に取り組む必要があると、彼女は説明します。

  • ソフトウェア開発:コーディングは直感的でないため、私たちの核心的な人間性が活かされません。モデリングでは活かすことができます。
  • セキュリティ:セキュリティに関する旧来の考え方は、インターネットが登場する前には問題ありませんでしたが、現在の脅威の下では、ブロックチェーンを利用する信頼性の高いエコシステムの創出が求められます。
  • エネルギー消費:エナジーハーベスティングを優先課題とする必要があります。結局のところ、誰かを現場に派遣してセンサーのバッテリを調整したり交換したりするのは手間がかかりすぎます。
  • ユーザーインタフェース:私たちは自分が住みたいような世界を考える必要があり、人々が信頼するような仕方で、より良いサービスを生み出すために生成されたデータをいかに使用するかを検討し、人々が快適にそのデータを共有することができるようにする必要があります。
  • ルールと規制:これについては現在、多くの異なる国々にわたって継ぎはぎ状態となっており、コネクテッドワールドにふさわしい状況とはいえません。

Higginbotham氏は、次のような行動の呼びかけで講演を締めくくりました。このような世界に適応するには時間がかかりますが、それは人間の創造性とコンピューティングのパワーを尊重するような仕方で成し遂げなければなりません。

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