小型、高信頼性のイヤホンを急いで設計する必要があるのですか?クールに取り組む方が良い場合もあります…

2020年3月24日

Michael Jackson 筆者:Michael Jackson
 マキシム・インテグレーテッド、主席ライター  


完全ワイヤレスイヤホン(図1)を設計する場合、以下のような重要な特長を備える必要があります。

  • 小型サイズ
  • 信頼性
  • 急速で効率的なバッテリ充電

図1. 完全ワイヤレスイヤホン図1. 完全ワイヤレスイヤホン

これらの密接に関連する特長のそれぞれについて、それらがなぜ重要なのかを理解し、イヤホンの設計でそれらを実現する上で何が邪魔になるかを把握するために、より詳細に見ていきましょう。

小型サイズ

耳にはあらゆる形とサイズがありますが、たとえ最も耳が小さい人でも付け心地のよいイヤホンを見つけることができる必要があります。「完全ワイヤレス」イヤホンにケーブルがないのは素晴らしいことですが、これを可能にするには電子回路をどこかに配置する必要があります。当たり前かも知れませんが、使用する部品数を削減することによって、あらゆる機会を捉えてスペースを節約し、筐体をできる限り小型にする必要があります。ワイヤレス接続を使用してイヤホンと充電ケースとの通信を可能にすることは優れた方法のように思えますが、それには追加のICが必要で、スペースを取ることになります(また、電力も必要です)。これはまさに、私たちが避けようとしていることです。以上を頭に入れた上で、次の重要な特長の検討に進みましょう。

信頼性

使用時以外、ワイヤレスイヤホンは通常は充電ドックに戻されます。多くのイヤホンは、3つ(またはそれ以上)の端子を使用してドックと接続します(図2)。

図2. 標準的な3端子イヤホンインタフェース図2. 標準的な3端子イヤホンインタフェース

しかし、端子が多いほど障害点が増え、これは製造過程に限らず、フィールド(またはお客様が好んで使う「現実」)においても同じです。思い出して欲しいのですが、各イヤホンは、通常は1日に数回(おそらく寿命までに数千回)人の耳から取り外されてドックに戻されます。しかも、これは常に愛情を込めて行われるわけではなく、あらゆるタイプの過酷な取り扱いに耐えることを強要され、その過程で好ましくない状況に置かれる場合もあります。ワイヤレスイヤホンを設計するときは、常にイヤホン/チャージャ間インタフェースの端子数を最小限(理想的には2つのみ)に抑える方法を検討して、壊れにくくする必要があります。

急速で効率的なバッテリ充電

完全ワイヤレスイヤホンの(有線イヤホンと比較して)不利な点の1つは、バッテリを備えていることです。バッテリは、誰でもよく知っているように電池切れになり、これが起きると文字どおり音楽が止まります。再び使えるかどうかは、どのくらい速くバッテリを再充電することができるかにかかっています。明らかに、速ければ速いほど良いのですが、ここで注意が必要です。エンジニアの世界では、効率は「熱」と同義であり、イヤホンの充電が効率的に行われないと、非常に急速に発熱します。熱はバッテリ寿命に良くないという事実を抜きにしても、熱くなったイヤホンを耳に付けたいと思う人はいません。必要なのは、バッテリの急速な再充電を可能にするとともに、イヤホンを低温に維持する、制御された充電です。しかしこれは、前項のポイントに関係してきます。制御された充電にはイヤホンとそのチャージャの間の通信が必要で、そのためにイヤホン/チャージャ間インタフェースに3つ(またはそれ以上)の端子を使用するのが一般的になっているのです。

すなわち、制御されたバッテリ充電を実現したければ、2つ以上の端子を備えた充電インタフェースが必要ですが、それは信頼性を低下させるという板ばさみの状況です。これを回避する1つの方法は、イヤホンとチャージャ間にワイヤレス通信を使用することですが、すでに述べたように、これはイヤホンのサイズを増大させ、バッテリの消耗を早める原因になります。最適な解決策はないように思えます…それとも、あるのでしょうか?

図3の回路構成は、2つのICの組み合わせを使用してこれらの問題を克服しています。

イヤホンがその充電ケースと通信するためのより効率的な方法は、データと電力転送を1つの有線チャネルに組み合わせ、データ信号を電力上に効果的に重畳させることです。これは「電力線通信」と呼ばれます(電源コンセントを使用して有線ネットワーク通信を拡張する方法と同様です)。MAX20340は、スペースが制限されたアプリケーションでの使用に最適な双方向DC電力線通信インタフェースを提供することによって、この技術の新しいバリエーションを実装します。このICを使用すると、インタフェースの端子数を2つ(理想的ソリューション)に削減することが可能で、最大166.7kbpsの速度で双方向データ転送が可能になります。マスターICは充電ケース内に配置され、アドレス指定可能スレーブICは各イヤホン内に配置されます。

図3. 通信ICとバックブーストコンバータによる制御されたイヤホンのバッテリ充電を示す図図3. 通信ICとバックブーストコンバータによる制御されたイヤホンのバッテリ充電を示す図

すでに述べたように、発熱を防ぐためには、イヤホンのバッテリ再充電を可能な限り効率的に行う必要があります。このプロセスを詳細に調べることによって、気付かないうちに生じる可能性のある電力損失の発生源を見つけることができます。充電ケース内のリチウムイオンバッテリ(3.7V、typ)は、通常はDC-DCコンバータICを使用して5Vに昇圧されます。この電圧は、次にイヤホン内のリニアチャージャによってバッテリ充電に使用されます。しかし、充電時にイヤホンのバッテリ電圧が上昇しても、それは常に5V以下のままです。過大な電圧は、発熱の形で電力の無駄を発生させます。これを防ぐためには、充電時のバッテリ電圧の上昇に合わせて、リニアチャージャへの入力(ブーストコンバータによって供給される電圧)とバッテリ電圧の間の電圧差を連続的に最小化する必要があります。上記の図3に示したMAX20343はこれに対応可能なバックブーストコンバータで、ダイナミック電圧スケーリング(またはDVS)と呼ばれる手法を使用します。定期的にMAX20340はイヤホンのバッテリ電圧を問い合わせ、この情報をケース側のマイクロコントローラに伝えます。次に、マイクロコントローラはMAX20343の出力電圧を調整し、イヤホンのバッテリ電圧と、リニアチャージャによって必要とされる追加のオーバーヘッドとの和に一致させます。これには、ケース側バッテリのエネルギーの浪費を最小化するとともに、イヤホン内の発熱を低減するという特長があります。

このように、よく言われる「問題は解決されるためにある」という言葉どおり、MAX20340およびMAX20343によって、最小限の発熱で急速充電が可能な、小型、高信頼性のイヤホンの設計に関する課題を解決することができます。