「この電源設計シミュレーションツールを使おう」とnanoManは語る

2017年9月5日

筆者:nanoMan
ゲストブロガー、マキシム・インテグレーテッド


私のように高いIQを持っていれば、簡単に感銘を受けたりはしないものです。だからマキシムがEE-Sim® DC-DCコンバータツールを改良したと聞いた時、私は懐疑的でした。有効な電源設計がすべてのユーザーに可能?本当だろうか?しかし、その後、このツールの設計者の1人であるErin Mannasと議論しました。Erinは私に、この新バージョンのツールがどれほど使いやすくなっているか、またどれほど正確に電源回路をシミュレートすることができるかを教えてくれました。私は電源回路の設計をすばやく仕上げ、プロジェクトのその後のステージを進めることができました。私たちの議論をよく聞いてください。そして、ぜひご自分でこのツールを使ってみてください。

nanoMan:ベンダーは自社のツールを「使いやすい」と説明したがるものです。しかし、このツールについては以前からいろいろと聞いています。およそ技術者にそんな話を信じるべき理由があるのでしょうか。

Erin:このツールを設計し直すにあたって、私たちはユーザーインタフェースに多くの注意を払いました。目的は、このツールを頻繁に使うにせよ、1年に数回しか使わないにせよ、簡単にすばやく、また直感的に使えるようにすることでした。コンテキストナビゲーションの採用は避けました。そうした方式では、ページの端や上部に非常に多くのタブを設けることになります。その種のウェブデザインでは、何であれすばやく見つけることはできません。

むしろ私たちは、技術者たちが望む機能を備えることと、簡潔でよく整理された、わかりやすいインタフェースにすることとの程よいバランスを取りました。ツールを意識することが減れば、それだけ優れたツールだということになります。自分の電源設計に集中することができるからです。

私たちは今後も、ユーザーからのフィードバックに基づいて外観や使い勝手を改良していきます。そこで、このツールについてぜひご意見を聞かせてください。

nanoMan:もちろん、よろこんで私の考えを言わせてもらいます。ところで、このツールの旧バージョンはどこがそんなにいけなかったのでしょうか。一から設計し直したわけですよね。

Erin:今回施す機能強化の総数や改良の範囲から考えて、新たなツールを開発した方が効率的だろうと考えました。取り壊してもっと大きな家を同じ場所に新築するために、小さな家を購入する場合を考えてみてください。古い土台をそのまま再利用することはないでしょう?

nanoMan:ごもっともですね。始めからやり直す方が効率的で、もっと良い結果が得られる場合もあります。私のようなパワーユーザーは、どのような高度な機能を活用することができますか。

Erin:ほとんどのツールでは、シミュレーションパラメータを表示させることができないままシミュレートボタンを押すことになります。今回のEE-Simでは、パラメータを表示可能なだけでなく、変更することもできます。

私たちが追加したもう1つの機能として、再補償機能があります。EE-Simで電源設計を作成する際は、要件を入力した上、ツールでデータシートの計算式を実行して、ICの周囲にあるすべての部品につき最適な値を決定します。1つの部品を変更すると、それによって設計上の計算に狂いが生じ、設計が安定性を失ったり、まったく機能しなくなったりする場合もあります。ほとんどのツールでは、そうした結果を受け入れるしかありません。EE-Simでは、ある部品の値を変更したら、計算式を実行し直し、その他の部品につき更新した値を取得して、当初計算したものよりも優れた動作を実現することができます。

初心者のユーザーでも尻込みする必要はありません。このツールはすべてのパラメータについて、マキシムの技術者が定義したデフォルト設定を用意しており、最低限の調整を加えた上、申し分なく安定した結果を返します。実のところ、あなたのような専門家は、最初にデフォルト設定を使用し、結果を検討した上で、負荷を変更するか、またはその他の対策をとることを決めるのではないでしょうか。電源設計に時間をかけすぎず優れた製品の開発に集中したいなら、EE-Simが役に立つと考えられます。

 

EE-Simデザインツール図1:EE-Sim DC-DCコンバータツールが改良され、あらゆるレベルのユーザーの生産性向上を実現

nanoMan:しかし、EE-Simツールで本当に設計時間を節約することができるのでしょうか。(それが本当なら、ヨガの練習にもっと時間を割けるのですが・・・)

Erin:EE-Simを使用すれば、データシートをくまなく検討し、手作業で多数の計算式を導く必要がありません。マキシムのツールは、常に初回パス設計を出力しています。この最新バージョンでは、次のような操作が可能であるため、初回パス設計を超える結果が得られています。

  • コンデンサのディレーティングを行う
  • 部品を変更し、数秒のうちに再補償する
  • シミュレーションの実行方法を簡単にカスタマイズする(ソースおよび負荷設定の調整など)
  • 同じ設計につき複数のバージョンをすばやく比較する。当初の設計と、部品を変更した時に作成したバージョンをシミュレートし、両方の設計の波形を重ね合わせることも可能

このツールのレポートは、ユーザーが使用する部品に対するさまざまな精度等の詳細設定や制御を提供します。回路図にコメントやハイライト、また矢印で注釈を付けることもできます。たとえば、大きな電流を処理する必要があるトレースがあるとしましょう。回路図上でこれらのトレースをハイライトし、レイアウトにおいてもっと多くの金属を使用する必要があるとの注記を付けることができます。設計をレイアウト技術者に引き渡す必要がある場合、こうした注釈を付けておけば、対処する必要がある課題を同僚にすばやく伝えることが可能です。

nanoMan:このツールの波形ビューアは、市場に出回っている他のツールよりも優れているとのことですが、本当ですか。

Erin:このツールの機能は素晴らしく、何とか見た目も悪くないものにすることができました(笑い)。これは非常に高性能な仮想オシロスコープです。波形の追加や削除、色の変更、4種類の方法によるグラフのスケール変更、ズームイン、複数のマーカーを使用した横軸または縦軸の特定の値の強調、マーカー間での値の計算が可能です。1つのグラフ上に複数の波形があれば、それらを個別に、またはY軸を基準にして重ね合わせることができます。プロットを9種類の形式で保存してドキュメントに貼り付けたり、元のデータをスプレッドシート形式で抽出したりすることもできます。

nanoMan:改良版のツールについて詳しく教えていただき、ありがとうございました。私としては、電源設計に精を出す代わりに、自分のコア設計と、熱中しているアルティメットフリスビーのスキルに集中しようと思います。

参照:EE-Sim DC-DCコンバータツール