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nanoPower技術というツールを、もっとエンジニアのツールキットに

2021年3月17日

筆者:David Andeen
マキシム・インテグレーテッド、リファレンスデザイン担当ディレクター


下に示した愉快な昔風の挿絵では、原始人が粗末なハンマーとノミを使って車輪のようなものを削り上げようとしています。彼が硬化鋼のハンマーと、超硬チップを備えた鋭いビットを持っていたとしても、まだ不十分でしょう。できれば、旋盤と超硬ビットくらいは欲しいところです...と、冗談はさておき、この挿絵はツールをテーマにしています。質の高いツールは非常に重要だからです。間違ったツールを使えば仕事は厄介で難しいものになりますが、正しいツールを使えば仕事は楽しくなります。そもそも、そのために私たちはエンジニアになったのではないでしょうか。

図1. この気の毒な人を見てください。もっと優れたツールがあれば、厄介な仕事も手早く片付きます。

ツールについて考えると思い出されるのは、マキシムが初めてnanoPowerデバイスを発表した2017年当時のことです。MAX1722xファミリのnanoPowerブーストコンバータは、自己消費電流がナノアンペア単位にすぎません。これらのnanoPowerデバイスは、消費電力を可能な限り小さく抑え、システム全体の消費電力を制限するように最適化された、他に例を見ないツールです。これらのツールは、より小さな電源でより長く動作する、素晴らしい新たな機器やアプリケーションに電力を供給します。

nanoPower Technologyに関するエキサイティングなニュースとして、マキシムが引き続きイノベーションを推し進め、包括的なツールキットを作り上げていることです。イノベーションは、それが好きだから実現するというものではありません。確かにエンジニアは物作りが大好きですが、世界の経営状態の良い企業は、高度に訓練されたエンジニアにただ何でも好きな物を作らせるということはありません。むしろ、市場がそのような開発を要求するに違いないのです。私たちのお客様である皆様は、マキシムにnanoPower製品の設計、開発、テスト、そして改良を続けるよう促しています。今では、nanoPowerのブーストおよびバックコンバータ、アンプ、リアルタイムクロック、電圧監視回路IC、マイクロコントローラなどの選択肢が提供されています。最終的には、これらの製品は皆さんのツールキットの一部になり、このキットを使えば、機能豊富な小型の低消費電力システムを開発し、作り上げることができます。

エキサイティングな最新のnanoPower製品は、2AブーストコンバータのMAX17227Aです。このデバイスは、上記のMAX1722xファミリと同じ入力および出力電圧を備えています。その入力範囲(400mV~5.5V)では、たとえ放電したとしても、1本の単3バッテリに至るまで、さまざまなバッテリに対応することが可能です。出力側では、MAX17227Aは最大2Aのピークインダクタ出力電流を供給し、自己消費電流はわずか350nA、シャットダウン時の消費電流は1nAにすぎません。それに対し、最初のnanoPowerブーストコンバータは、1Aのピークインダクタ出力で消費電流は300nAでした。

自己消費電流が350nAにすぎないのに出力電流が倍増することで得られる可能性を考えてみてください。マキシムのnanoPower技術は、間欠的に動作して、バッテリや制限された電源から給電されるセンサーシステムに最も大きな利点を提供します。世界のセンサーの数は急速に増え続けています。Allied Market Researchの推定では、センサー市場の2019~2025年のCAGR (年平均成長率)は9.5%です[1]。また、各ハードウェアユニット内のセンサーおよびサブシステムの数が増大し続けていることも重要です。

仮想現実/拡張現実ヘッドセットなどの先進的なハードウェアユニットを取り上げてみましょう。このハードウェアは、ユーザーの頭の動きに従って動く画像を投映します。先進的な製品は、より没入的な体験を実現するために眼の動きを追跡します。空間マッピングやハンドトラッキングは、ユーザーをさらに深い体験へと導きます。一層の没入を促すために、マイクロフォンは音声を拾い、オーディオエンジンがその音響特性をマッピングします。システム全体の仕上げとして、SoCやカスタムシリコンがこれらすべての信号を処理して、クラウドとの通信を行う必要があります。明らかに、これほど複雑なシステムは大量の電力を必要とし、可能な限り消費電力を抑える必要があります。

次回の設計にセンサーを追加することを検討していませんか?あるいは、より小型の電源を使用してシステムサイズを縮小する必要はないでしょうか?プロジェクトの固有の要件がどのようなものであれ、マキシムの最新のnanoPower製品を検討してみてください。

[1] Sensor Market Outlook - 2026 (センサー市場の見通し:2026年)