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CES 2020で体験いただいたワイヤレスバッテリマネージメント

2019年12月18日

Tamer Kira  筆者: Tamer Kira
 マキシム・インテグレーテッド、オートモーティブ事業部門エグゼクティブディレクター 


より多くの自動車メーカーが電動化に向かっており、電気自動車(EV)の販売が増え続けています。カリフォルニア州の人口は全米のわずか12%ですが、国内の全EV販売数のほぼ50%を提供しています。世界全体では、中国が現在もEVの開発と販売をリードしています1。BloombergNEFの分析によると、2040年には、全乗用車販売数の57%が電気自動車になると予想されます2

これらの傾向によって、これらの電気自動車、およびその対抗馬であるハイブリッドおよびプラグインハイブリッド車を駆動するリチウムイオンバッテリパックにスポットライトが当たっています。バッテリパックには、数百あるいは数千の個別のバッテリセルが格納されています。安全、効率的、および長期間持続する動作を実現するには、これらのバッテリセルを高精度で管理することが不可欠です。セル電圧が注意深く監視されバランスが取られることを確保することが重要です。温度も厳密に監視する必要があり、診断を継続的に実行してシステムが完全に動作していることを確認する必要があります。

バッテリパックの安全性を維持するには、高速かつ高精度のバッテリマネージメントシステム(BMS)が必要です。マキシムには、BMS技術を含む車載設計の専門技術に関する長い歴史があります。今回、マキシムのポートフォリオにワイヤレスBMSソリューションが追加され、その実際の動作をCES 2020でご覧いただきました。マキシムのデモでは、有線のBMSとISM帯無線ベースのワイヤレスBMSソリューションを比較しました。このワイヤレスアーキテクチャ(図1を参照)は、中央コントローラとして動作するRFゲートウェイクライアントを備えています。このコントローラは、すべての2次ノードと通信します。BMSの各2次ノードは、ワイヤレス通信でゲートウェイにデータを返します。また、2次ノードは14チャネル、高電圧ASIL DバッテリモニタのMAX17853ともそれぞれSPIを介してインタフェースします。通常のアプリケーションでは、ゲートウェイデバイスはホストマイクロプロセッサと通信して測定および診断情報を提供します。デモでは、ゲートウェイはホストPCと通信して測定情報を表示します。

図1. ワイヤレスBMSデモの図図1. ワイヤレスBMSデモの図

自動車の効率を高めるワイヤレスBMS

バッテリパックとBMSモジュールをつなぐ従来の有線接続をワイヤレスBMSソリューションで置き換えることによって、多数の利点が提供されます。

  • ワイヤおよびコネクタの減少による重量の削減
  • モジュール間の絶縁部品の不要化によるコストの削減
  • 製造の複雑性および製造時間の削減
  • パック形状の柔軟性の向上

ゲートウェイと2次ノード間の通信は暗号化され、STAR回路構成によるデータ伝送は堅牢です。配線および関連部品が不要になることは、自動車の効率向上および走行距離の延長にもつながります。

図2. この画像で、上の列はワイヤレスBMS構成を示し、下の列は有線の方式を示しています。図2. この画像で、上の列はワイヤレスBMS構成を示し、下の列は有線の方式を示しています。

図3. ワイヤレスBMSのデモのクローズアップ図3. ワイヤレスBMSのデモのクローズアップ

ASIL Dの要件に適合するバッテリモニタIC

マキシムのワイヤレスBMSのデモの主な構成要素の1つは、バッテリモニタICのMAX17853です。このデバイスは、温度、セル電圧、および通信に関するASIL D準拠を実現する市場で唯一の中~大型サイズセルバッテリマネージメントソリューションです。1つの基板設計で複数のチャネル構成(8~14セル)に対応することによって、このICは検証および認定取得時間の削減を介して設計時間を最大50%短縮することができます。EVバッテリ用スマートセンサーの設計時に生じる機械的および電気的課題への対応に関するさらなる知見については、デザインソリューション「Why Fast Time-to-Market Calls for Flexible EV Battery Management Systems (なぜ市場投入までの時間の短縮には柔軟なEVバッテリマネージメントシステムが必要か)」をお読みください。

CESでMAX17853を使用したワイヤレスBMSのデモをご覧いただきました。また、車載製品デモルームでは、IRジェスチャ、ローカル調光ディスプレイ、セキュア車載認証、ギガビットマルチメディアシリアルリンク(GMSL) SerDes技術など、より安全で、スマートな自動車の設計に役立つその他のソリューションもラスベガスで展示しました。

出典

1 https://interestingengineering.com/6-interesting-statistics-about-electric-vehicles
2 https://about.bnef.com/electric-vehicle-outlook/