ワイヤレスAndroidヘッドフォンから高精度のバッテリSOCデータを提供する

2019年9月18日

Bakul Damle 筆者:Bakul Damle
 ディレクター、マキシム・インテグレーテッド 
Sagar Khare  およびSagar Khare
 バッテリーマネージメント部門エグゼクティブビジネスマネージャー、マキシム・インテグレーテッド 


あなたは5時間のフライトに向けて座席に身を沈め、Bluetoothイヤホンを耳にはめてポッドキャストを聞き始めます。機器のバッテリと充電ケースは、長時間の動作を提供するのに十分なエネルギーを備えているでしょうか?近いうちに、この問題への答えがより明確になります。ワイヤレスAndroidヘッドフォンのバッテリ寿命の管理を容易化する計画をAndroidが発表したからです

今年の年末までに、Google Fast Pair Bluetooth機器を使用しているAndroidユーザーは、大幅に詳細なバッテリ寿命情報などの多数の新しい機能を、オペレーティングシステムを介してネイティブな形で手に入れることになります。完全ワイヤレスステレオ(TWS)ヘッドフォンを使用している場合、各イヤホンおよびケースのバッテリ寿命のパーセンテージも見ることが可能になります。また、機器が特定のパーセンテージに達したときに通知を受け取ることが可能になります。

これらの拡張を考えると、残量ゲージICを次のワイヤレスAndroidヘッドフォンの設計に組み込むことには十分な意味があります。これによって、正確で高精度なバッテリ残容量値(SOC)データによる顧客の満足度という点で明確な差別化が可能になります。

ワイヤレスイヤホン図1. 年末までに、完全ワイヤレスステレオ(TWS)ヘッドフォンを使用するAndroidユーザーは、各イヤホンやケースの詳細なバッテリ寿命のパーセンテージにアクセス可能になります。

バッテリ寿命データはもうすぐ見られるようになる

TWS技術によって、ユーザーはBluetoothを介して2つのオーディオ機器をペアリングし、左と右のチャネルを個別に送信することができます。Google独自のFast Pair規格は、サポート対象Android機器上でのBluetooth機器の迅速で容易な発見とペアリングを提供します。これまで、TWSヘッドセットは非常に基本的なバッテリ情報のみを提供し、言い換えると、機器の充電がすぐに必要になるかどうかをユーザーが判断するための十分な詳細を提供しませんでした。Fast Pairの拡張は、ユーザーが自分のAndroid携帯で、各イヤホンおよび充電ケースから高精細のバッテリ寿命のパーセンテージ情報を受け取るようになることを意味します。さらに、ケースを開閉したときにこのデータを含むポップアップ通知も受け取ることになります。これは、今まで簡素な色またはバーのバッテリ寿命インジケータで済ますことができた設計者が、これからはハードルを上げてはるかに多くの詳細情報を表示する必要があり、そうしなければ顧客を失望させる危険があることを意味します。さらに、これまで残量ゲージを使用していたBluetoothヘッドセットのメーカーは、もうユーザーがバッテリ情報を見るための専用アプリを開発する必要がなくなります。

これらの拡張の結果として、バッテリSOCの大まかな推量を提供する簡素な電圧測定は、もはや適切ではなくなります。バッテリを監視し、残り充電量の推量および劣化状態(SOH)に関するデータを提供する残量ゲージICは、より良いオプションになります。しかし、すべての残量ゲージ技術が同じように作られているわけではありません。最適な結果を実現するために、ワイヤレスAndroidイヤホンやヘッドフォンならびにそれらと組み合わせる充電ケースの設計には、以下の条件を備えた残量ゲージICが必要です。

  • 過酷な動作環境でも高精度を提供すること。
  • 低自己消費電流であること。これらのヘッドセットの小型バッテリが対応する容量は、通常は100mAhrまでのため、低自己消費電流は機器が使用時の消費電流を最小限に押え、機器がスタンバイ時のバッテリ放電を低減します。
  • これらの機器は小型形状であるため、小型で、多数の外付けディスクリート部品を必要としないこと。

小型、高精度残量ゲージICによってバッテリ寿命を延長

マキシムはポータブル機器用の高精度残量ゲージ技術を開発してきた長い歴史があり、ワイヤレスAndroidヘッドフォンの設計者がFast Pairの拡張がもたらす顧客の期待を満たすお手伝いをすることができます。マキシムのModelGauge m5 EZアルゴリズムを内蔵した残量ゲージICは、バッテリ特性評価を必要とせずに業界トップクラスのバッテリSOC精度を提供します。300種類以上のバッテリと3,000回以上の放電によるシミュレーションで、マキシムの製品は最も一般的なテストケースの97%以上で3%以下の誤差という結果でした。さらに、特性評価を行った場合、これらの残量ゲージは1%以下の誤差を示しました。また、これらのデバイスは低自己消費電流を備え、小型パッケージで提供されます。さらに高集積によってディスクリート部品の必要性が最小化されます。マキシムのICは10億以上の機器で使用されて成功を収めており、エンプティまでの時間、フルまでの時間、およびバッテリ経年データを提供します。

次のワイヤレスヘッドセットの設計で考慮すべきデバイスの例として、以下があります。

  • MAX17048:ModelGaugeアルゴリズム内蔵1セル/2セル残量ゲージ。このデバイスは、低自己消費電流(ハイバネート時3µA、アクティブ時23µA)を提供し、従来の残量ゲージで通常は必要とされる電流検出抵抗およびバッテリ学習サイクルが不要です。このデバイスは8ピンWLP (0.9mm × 1.7mm)で提供されます。
  • MAX17055:ModelGauge m5 EZ内蔵1セル残量ゲージ。このデバイスは動作電流が7µAで、電流、電圧、および温度の高精度の測定値を提供し、9ピンWLP (1.4mm × 1.5mm)で提供されます。
  • MAX17260:ModelGauge m5 EZおよびオプションのハイサイド電流検出内蔵1セル残量ゲージ。このデバイスは動作電流がわずか5.1µAで、9ピンWLP (1.5mm × 1.5mm)で提供されます。

下記のブロック図は、残量ゲージおよびパワーマネージメントICがどのようにTWSヘッドフォンのアプリケーション例に対応するかを示しています。

図2. TWSイヤホンとUSBおよびワイヤレス充電を備えたクレードル。図2. TWSイヤホンとUSBおよびワイヤレス充電を備えたクレードル。

図3. TWSイヤホンとUSB充電を備えたクレードルのブロック図。図3. TWSイヤホンとUSB充電を備えたクレードルのブロック図。

バッテリ寿命のFast Pair拡張の利用は、TWSヘッドフォンの設計者がユーザー体験をさらに強化する好機です。高精度、低自己消費電流、および小型サイズを備えた残量ゲージ技術を設計の中に実装することは、目標の達成に役立ちます。