カメラインタフェースはなぜADASシステムの設計に極めて重要なのか

2017年4月18日

Jim Harrison 著者:Jim Harrison
ゲストブロガー、Lincoln Technology Communications


乗用車は、周囲の状況を検知し、分析した上で自律的に行動することができる、セキュアに接続された自動運転ロボットへと急速に変化しています。そして、おそらく一層急速に変化しているものは、多数の人が利用する小型の自動運転車、すなわち、公共交通機関の停車場から目的地までの最後の道のりで利用したり、商業地区または企業や大学の構内などで利用したりするタクシー、ライドシェアやバスです。

一例は、2015年10月に運行が開始された自動運転電気バスのNAVYA ARMAです。この小型バスは、運転手なしで、最大15名の乗客を最高時速28マイルで安全に往復輸送することができます。このバスは欧州と米国の多くの地域で試験運行や利用が始まっており、2017年のCES (コンシューマーエレクトロニクスショー)の期間中には、ラスベガス市街でデモ運行されました。

周囲の状況を認識する

乗用車であろうとバスであろうと、自動運転車では周囲の状況全体を検知するために、カメラやレーダー、また時にはライダー(LIDAR)が必要です。そうしたセンサーを組み合わせて使用して、車両の先進運転支援システム(ADAS)は、車体の前後左右すべての状況を検知することができます。複数(少ない時は5台、多くの場合は8台も)のビデオカメラが、このシステムでは極めて重要です。前部と後部に搭載するカメラは、クロストラフィックや衝突の検知に役立つ感度と即応性が求められ、多くの乗用車やSUVで急速に標準装備となりつつあります。すべてのサラウンドビューカメラを組み合わせれば、緊急ブレーキアシスト、アダプティブクルーズコントロール、死角検出、リヤクロストラフィックアラート、車線逸脱警報や自動車線維持、さらには遠からず登場する交通標識認識のために、信頼性の高い情報が得られます。標識認識が装備されれば、掲示された制限速度を超えることはなくなります。

不可欠なカメラシステム

例えば、テスラの自動車に搭載されている最新のハードウェア一式では、8台のカメラ、複数の超音波センサー、1台のレーダーシステムからデータを取得するNVIDIA Drive PX 2プロセッシングプラットフォームを使用しています。このプラットフォームは、オートクルーズ機能のためのエネルギー効率に優れた手のひらサイズのモジュールから、完全自動運転の能力を備えた高性能なAIスーパーコンピュータに至るまで、様々な規模に対応します。このシステムは、車両の周囲で何が起きているかをリアルタイムで把握し、高精細地図で車両の位置を正確に認識して、安全な経路を計画することができます。さらに、ディープラーニング、センサーフュージョン、サラウンドビジョンを組み合わせて、これまでとは異なるドライビング体験を実現します。

カメラシステムの性能は、安全支援機能を備えた車両や自動運転車にとって極めて重要です。カメラは当然ながら車両全体に分散され、CPUからかなり離れて配置されることもよくあります。カメラの性能レベルにより、解像度、ダイナミックレンジ、フレームレートに応じて、ADASがどれくらい離れた物体を認識可能であるか、どれくらい小さな物体を検出可能であるか、またどれくらい速く情報を入手可能であるかが決まります。カメラから得られる情報の決定的な重要性を考えると、高いエラーレートを許容することはできません。また、カメラは非常に高いデータレートを備えています。サラウンドビューシステムでは、各カメラは通常、解像度1280 x 800ピクセル、フレームリフレッシュレート30fpsのビデオストリームを処理します。

車載分野では、CAN、LIN、FlexRay、MOST、LVDS、イーサネットなど、様々なバスやネットワークが使用されています。しかし、ビデオリンクに必要なデータレートでは、これらのうち、おそらくLVDSとイーサネット以外はいずれも使用することができません。

より優れたソリューション

より優れたソリューションは、ギガビットマルチメディアシリアルリンク(GMSL)に見いだすことができます。GMSLはイーサネットに代わる、圧縮を用いない伝送技術です。イーサネットと比較して、GMSLは10倍高速なデータレート、配線コストの50%削減、EMC性能の向上を実現します。マキシムでは、電流モードロジック(CML)を使用して非常に高いノイズ耐性を実現し、最長15mまで低コストの50Ω同軸ケーブルまたは100Ωツイストペアケーブルでデータを伝送することができるGMSLシリアライザ/デシリアライザチップのMAX96707とMAX96708を提供しています。これらのチップは、最高1.74Gbpsのシリアルビットレートでメガピクセルカメラと連携します。カメラのデータクロックは、12.5MHz~87MHz x 12ビット + H/Vデータ、または36.66MHz~116MHz x 12ビット + H/Vデータ(内部エンコード使用)です。これらのICはいずれも9.6kbps~1MbpsのI2C制御チャネルを備えており、互いの間で、またアップデートやセットアップ用の外部ソースに対して接続可能です。これらのチップは、エラーを検出した場合に制御データを自動再送信する機能を備えています。制御チャネルは多重化してシリアルリンクに載せられ、ビデオチャネルの有無にかかわらず利用可能です。

シリアライザICのMAX96707は、長いケーブルを駆動するために、設定可能なプリエンファシス/デエンファシスを備えています。このICはビデオおよび制御データのエラー検出機能を備え、デュアルカメラ選択用にクロスポイントスイッチを備えています。設定可能なスペクトラム拡散をシリアル出力で使用可能です。このチップは小型の24ピンTQFNパッケージ(4mm x 4mm)で提供され、1.7V~1.9Vの電源電圧で動作します。最大消費電流は88mAです。

図1. MAX96707のファンクションブロックダイアグラム

図1. MAX96707のファンクションブロックダイアグラム

デシリアライザのMAX96708は、スペクトラム拡散シリアル入力からのデータをトラッキングすることができます。このチップの適応型イコライゼーションは、エラーレートを大幅に改善します。出力クロスポイントスイッチによって柔軟性が向上しています。このICのコア電源範囲は1.7V~1.9Vで、I/O電源範囲は1.7V~3.6Vです。このデバイスは、32ピンTQFNパッケージ(5mm x 5mm)で提供されています。

図2. MAX96708COAXEVKIT#開発キット

両チップとも-40℃~115℃の温度範囲で動作し、±8kV接触放電および±15kV気中放電のESD保護を備えてIEC 61000-4-2およびISO 10605規格に適合しています。また、いずれもAEC-Q100車載仕様に適合しています。評価キット(図2)は販売代理店から入手可能です。

私が自動運転システムを設計するなら、間違いなく、1つの重要事項はカメラとの安定した通信でしょう。私なら実際の車載環境で、またワーストケースのノイズ条件で、すべてのカメラ接続のエラーレートを入念にチェックします。GMSLテクノロジーは、標準規格への適合や高い信頼性の実現とあわせて、この極めて重要な分野で成功を勝ち取る最高のチャンスを提供しているように思えます。