特性評価を行うことなくバッテリ動作時間を向上する

2017年6月20日

Bakul Damle 著者:Bakul Damle
モバイルパワー事業部門マネージメントディレクター、マキシム・インテグレーテッド


スマートフォンのバッテリ残量表示が残り30%を示している場合、充電器を使わずにそのまま大口のクライアントに重要な案件で電話をかけても絶対に大丈夫だと思うかも知れません。しかし、バッテリの残量が実際にはわずか5%で、重要な会話の途中で携帯が切れてしまったらどうでしょう?

高精度のバッテリ動作時間を得るには、非常に高精度の残量ゲージが必要です。しかし、温度と負荷が電圧に影響するため、残量ゲージ処理には困難が伴いました。従来、バッテリ残量ゲージは関係するバッテリのタイプに大きく依存してきました。その結果、個々のバッテリに対応するゲージの調整が必要になり、この工程は各種の負荷および温度条件下でラボでの長時間の特性評価を行う必要がありました。

単純な(または即時の)電圧は、残量ゲージ処理を実行する方法の1つです。しかし、セルの材質と温度が電圧に与える影響は時間によって変化するため、電圧のみを調べる方法は常にバッテリ充電状態を適切に示すとは限りません。単純な電圧を使用する場合、最も高精度の読み値はバッテリを少なくとも数時間オープン回路状態で休ませたあとに得られます。そのため、この方式はあまり実用的ではありません。

クーロンカウントはもう1つの残量ゲージ方式を提供し、バッテリから定常的に入出力される電流を測定します。全体でどれだけの電荷が残っているかを示すために、バッテリが保持可能な総電荷量から所定の機器によって使用された電荷の推定値が減算されます。クーロンカウントは短期的精度の面では優れていますが、この方式の重大な欠点としてオフセット累積ドリフトがあります。一見小さい誤差の結果として大きい精度の相違が生じ、最終的に、機器の早すぎるシャットダウンまたは突然のクラッシュに繋がります。

低自己消費電流の高精度残量ゲージ

今後は、もう残量ゲージ方式のトレードオフは必要ありません。マキシムは、時間のかかる、労働集約的なバッテリ特性評価を必要とせずにバッテリ動作時間の最大化に役立つ新しい高精度、低自己消費電流の残量ゲージを発表しました。MAX17055 ModelGauge m5は、高精度、低電力ホスト側バッテリゲージをより容易に設計する方法を探しているポータブル機器の設計者に最適です。MAX17055は、ほとんどの場合に充電状態(SOC)誤差1%以内という業界最高精度の残量ゲージを提供します。これは、機器の動作時間が最大になるように機器のシャットダウンを計画することができることを意味します。また、このゲージは自己消費電流も業界最小(低電力動作モードで7µA)で、小型形状を必要とするアプリケーション用にWLPパッケージ(1.4mm x 1.5mm)で提供されます。

長年にわたって、マキシムは13億以上の残量ゲージを出荷し、2,000以上のバッテリの特性評価を行い、80バッテリ年以上に相当するデータを分析してきました。マキシムのModelGauge技術は、リアルタイムの電気的測定値をSOCパーセントなどの使用可能なバッテリ情報に変換します。ModelGauge m5はこのアルゴリズムの最新バージョンで、MAX17055で提供されるEZコンフィギュレーションによって多くのアプリケーションでバッテリ特性評価が不要になります。マキシムはセルの特性および各種のテスト条件にわたる動作が含まれた大規模なバッテリデータベースを維持しています。このデータベースによって、マキシムはModelGaugeアルゴリズムの新しい拡張を検証することができます。

図1. MAX17055サブシステムブロック図図1. MAX17055サブシステムブロック図

MAX17055は、1セルリチウムイオン/ポリマーバッテリを使用する設計に最適です。残量ゲージ処理の詳細については、ホワイトペーパー「Accurate Technology for Easy, Secure Fuel Gauging You Can Trust」 (PDF)を参照してください。