機械に乗っ取られる?

2017年6月2日

Christine Young 著者:Christine Young
 ブロガー、マキシム・インテグレーテッド  


映画「マトリックス」シリーズでは、人間は人工知能(AI)を備えた機械によって支配されています。こうした筋書きは現実化しつつあるのでしょうか。スマートなコネクテッド製品がより高い知能を獲得していくと、ついにはそうした機械に乗っ取られる日が来るのでしょうか。

そんなことはありません。今日の「モノのインターネット」 (IoT)の開発者たちが、人間の活動を高める目的で新しいテクノロジーを送り出し、消費者のプライバシー、セキュリティ、それに倫理的な配慮を忘れなければ。5月にサンタクララコンベンションセンターで開催されたIoT Worldにおいて、SamsungのエンタープライズIoT担当副社長であるEd Abrams氏は、「テクノロジーが私たちを追い越すことはありません」と述べました。

Abrams氏は、「A Big Picture Look at IoT 10 Years in the Future (今後10年のIoTの大局的見通し)」というパネルディスカッションに参加していました。パネリストの技術者たちは、AI、マシンラーニング、ブロックチェーン、拡張現実(AR)などのテーマをめぐって議論を交わしました。

Artificial intelligence
IoTとAIのテクノロジーを組み合わせれば、より高度な予測能力を持つ製品が実現します。

現在、機械と人間の相互作用をめぐって試験が行われています。ARテクノロジーを開発しているDAQRIの副社長で共同創業者のGaia Dempsey氏は、そうした試験の実施機関が自主規制を行わなければ、政府が世論に押されて規制を導入せざるを得なくなると述べました。したがって、開発者はユーザーが安全性を感じられるような形で新テクノロジーにアプローチする必要があると、彼女は指摘しました。

BNY Mellonのシリコンバレーイノベーションセンターで製品および戦略担当の副社長を務めるKumar Srivastava氏は、現在の混雑したIoT業界で生き残るのは、結局のところ、自社製機器が収集するデータのプライバシーを尊重する企業であると述べました。多種多様な機器がますます大量のデータを収集していけば、そうしたデータはコンピュータビジョンアルゴリズムを高度化し、より有益な評価結果を引き出すのに役立ちます。しかし、IoTとマシンラーニングの組み合わせは非常に有効である一方、開発者は自分たちが実際にはどのような課題を解決しようとしているのかを自らに問いかける必要があると、Abrams氏は指摘しました。Philips Lightingで米州地域のPhilips Hue研究開発ディレクターを務めるSait Izmit氏は、「物事の透明性が確保され、(消費者が)主導権を握っていると感じられる必要があります」と述べました。ベンダーはこうした新しいIoTテクノロジーからどのように恩恵が得られるのかを消費者に示す必要があるとも、彼は述べています。実際、多くの消費者は今初めてIoT機器を試そうとしているところにすぎないため、必ずしも広範な普及段階に達したわけではないと、彼は指摘しました。

セキュリティ分野では、分散型で改ざん不可能なブロックチェーンは「画期的に」透明性とセキュリティに優れていると、Dempsey氏は指摘しました。それでも量子コンピューティングを利用すれば、ブロックチェーンで使用される暗号化技術を突破することができるのではないかという疑問があります。その可能性はありますが、その時には、その同じテクノロジーによって新たなセキュリティメカニズムを構築することができると、Dempsey氏は述べました。

実現に近づくサイボーグ

プライバシーやセキュリティ上の問題はさておき、スマートなコネクテッド製品は、私たちの生活を予期しない形で変える可能性があります。Blockchain LabのCEOであるIsmail Malik氏は、この事情を次のように説明しました。

  • 人々の自由時間が増え、新しいスキルに関するトレーニングが必要になる。
  • 買い物や請求書の支払いのような今日の一般的な用事や雑用は、ブロックチェーンによって過去のものとなり、このテクノロジーが私たちの代わりに選択し、行動をとるようになる。
  • 普遍的なベーシックインカムが普通のことになる。

「今から10年後には、私たちの身の回りのモノがそれ自身の意思決定プロセスを持つようになると考えるのは非常に自然なことです」と、Dempsey氏は述べました。「これらの様々なテクノロジーは、連携が進むにつれて、実は互いに加速し合うようになります。様々な技術が合流して相乗効果を生み出すことにより、私たちははるかに長足の進歩を遂げることになります」。

Scott Amyx氏の見方では、今から10年後には「人のインターネット」が議論の中心になります。Amyx+の創業者でCEOのAmyx氏は、自称「IoT未来学者」です。彼は、人々が脳にAIチップを埋め込み、SFに登場するような能力増強されたサイボーグとなる世界を予想しています。「聞きたくもない話でしょうが、それが私たちの進んでいる方向です」と、彼は述べました。

知能は今日、すでに私たちの周りに存在しています。たとえば、Eコマースサイトは、過去の行動に基づいて将来の買い物を推奨しています。モノがさらにスマート化するにつれて、予測機能は一層洗練されたものとなるほかないと、Srivastava氏は指摘しました。Dempsey氏は、私たちの行動の影響や結果を予測できるほどスマートなシステムを想定して、知能拡張という概念を提起しました。これは私たちの行動にどのような影響を与えるでしょうか。

顧客の問題を解決する

今から5年後には、IoTをめぐる議論は、機器、センサー、および機能ではなく、むしろ顧客のために問題を解決する統合ソリューションに焦点を合わせたものになると、Abrams氏は述べました。開発者たちは今後も認知技術と音声などの入力との統合を推し進め、こうしたテクノロジーの利用は私たちにとってもっと当たり前になります。ブロックチェーンでは音声が3要素認証の一要素になる可能性があると、Malik氏は述べました。

IoT Worldに参加した技術者たちは、人間と機械の相互作用について魅惑的な未来図を描きました。読者の皆さんは、つながるモノの知能が高度化するにつれて、どんなことが起きると予想するでしょうか。