アプリケーションノート6382

マキシムの標準ワイヤボンディングQFN (Quad Flat No lead)パッケージの表面実装技術およびPCB設計のガイドライン


要約:このアプリケーションノートは、マキシムの標準ワイヤボンディングQFNパッケージ、フリップチップQFNパッケージ、およびSide-Wettable QFNパッケージのPCB設計および表面実装技術のガイドラインを提供します。

はじめに

QFNパッケージは、リードレスのチップスケールパッケージ(CSP)と同じような形状で、銅リードフレーム基板をプラスチック樹脂で封止したパッケージです。QFNとPCBボードの接続はパッケージ裏面のリード(端子ピン)とエクスポーズドパッドを介して行います。リードとエクスポーズドパッドは、PCB上で直接ハンダ付けすることができます。このアプリケーションノートはQFNパッケージを実装する際のガイドラインとしてPCB設計と表面実装技術を解説します。

パッケージタイプの断面

マキシムのQFNパッケージには、パンチ式QFNと切断式QFNの2種類のパッケージがあります。図1aおよび図1bは、各方式のパッケージ断面を示しています。

図1a. パンチ式QFNパッケージの断面図 図1b. 切断式QFNパッケージの断面図
図1a. パンチ式QFNパッケージの断面図 図1b. 切断式QFNパッケージの断面図

また、マキシムはフリップチップQFN (FC-QFN)パッケージも提供しており、この場合チップはハンダボールまたは銅ピラーを用いてリードフレームに接続されます。図2は、切断式FC-QFNパッケージの断面を示しています。

図2. 切断式フリップチップQFNパッケージの断面 図2. 切断式フリップチップQFNパッケージの断面

一部のアプリケーションにおいて、設計者が自動外観検査機を使用してQFN端子のハンダ接合状態を目視検査する場合があります。これらのアプリケーションでは、設計者はSide-Wettable QFNパッケージオプションを検討すべきです。

マキシムのSide-Wettable QFNパッケージオプションは、ハーフカットリードフレーム、ハーフエッチリードフレーム、またはディンプルリードフレームなどの幾何学的ソリューションを採用しているのでハンダリフロー後にハンダ接合状態を光学的に検査することができます。図3aはディンプル式Side-Wettable QFNの図を示し、図3bはハーフカット式Side-Wettable QFNの図を示しています。

図3a. ディンプル式Side-Wettable QFNパッケージ 図3b. ハーフカット式Side-Wettable QFNパッケージ
図3a. ディンプル式Side-Wettable QFNパッケージ 図3b. ハーフカット式Side-Wettable QFNパッケージ

パッケージ表面実装について
パッケージを実装するPCBを適切に設計するためには特別な考慮が必要です。熱的、電気的、および基板レベルの性能を向上するためにパッケージのエクスポーズドパッドは基板上のサーマルパッドとハンダ付けする必要があります。

基板を介した良好な熱伝導を得るためにはPCBのサーマルパッド領域にサーマルビアを配置する必要があります。PCBのフットプリント設計は、パッケージ、PCB、および実装による寸法の許容度から考慮する必要があります。多数の条件が、基板上のパッケージの実装およびハンダ接合の品質に大きく影響します。設計者は、以下を含むこれらの条件について考慮する必要があります。

  • サーマルパッド領域のハンダペーストカバー率
  • ペリフェラルおよびサーマルパッド領域のステンシル設計
  • ビアのタイプ、基板の厚さ
  • パッケージのリード仕上げ、基板の表面仕上げ
  • ハンダペーストのタイプとリフロープロファイル

このアプリケーションノートは、これらの条件を考慮した基板設計のためのガイドラインを設計者に提供します。厳密にはユーザーが適切なマザーボード設計と表面実装プロセスを身に付けて頂くことを目的としたガイドラインであることに注意してください。ユーザーは表面実装の要件と実践方法に従いプロセス条件を最適化するには、実際に研究および開発が必要になります。

PCB設計のガイドライン

PCBパッドの設計

最適な製造歩留まりと製品性能には、プリント基板(PCB)の適切な設計と製造が必要です。

表面実装デバイスでは2種類のランドパターンが使用されます。

  1. ハンダマスク定義(SMD)パッド:ハンダマスクの開口が金属パッドより小さい
  2. 非ハンダマスク定義(NSMD)パッド:ハンダマスクの開口が金属パッドより大きい

NSMDパッドではハンダが基板上の金属パッドのエッジ領域がより大きく、ハンダ接合の信頼性を向上させるため、マキシムはNSMDパッドの採用を推奨しています。

図4. NSMDの断面図。注:同じQFNフットプリント内にSMDパッドとNSMDパッドを混在させることはできません。部品の配置を容易にするため、マキシムはQFNパッケージの近くに基準点マークを付けることを推奨します。

PCBランドパターン寸法
QFNパッケージのランドパターン図はウェブサイト(www.maximintegrated.com/jp/packages)からダウンロードすることができます。IPCのランドパターン計算器(IPC-7351)はウェブサイト(www.ipc.org)からダウンロードすることができます。

マキシムはパッケージリード端子の周辺およびタイバー終端があるパッケージコーナーの下にハンダマスクで覆われていないビアホールを配置することは推奨しません。「ランドパターンとビアホールの位置関係」の設計上の推奨事項はIPC-7351を参照してください。

PCBリード端子パッドパターン
下記の事項を考慮してリードの長さ(Y)を決定して下さい。

  • 標準QFNパッケージの場合:ハンダフィレット形成を向上させるために、パッケージの端子長より0.20mm~0.5mm長くする(外側に向かって延ばす)
  • Side-Wettable QFNパッケージの場合:ハンダフィレット形成を向上させるために、パッケージの端子長より0.25mm~0.5mm長くする(外側に向かって延ばす)
  • パッケージの中心線に向かって0.05mm延ばす

下記事項を考慮してリードの幅(X)を決定して下さい。

  • リードピッチが0.65mmより大きい場合、パッケージの端子幅より0.05mm太くする(つまり、片側0.025mm)
  • リードピッチが0.65mm以下の場合、ハンダブリッジの危険性を最小限に抑えるため、端子幅と同じにする
図5a. リード端子長 図5b. リード端子幅
図5a. リード端子長 図5b. リード端子幅

PCBパッドの表面仕上げ
適切なPCBパッド表面仕上げは、最終的な基板実装において最適な製造を確保する上で非常に重要です。表1に、一般的な表面仕上げを比較を示します。

表1. 表面仕上げのオプション
Finish Name Description Recommendation Comments
Copper OSP Organic solderability preservative (OSP) Acceptable
ENIG Electroless nickel immersion gold Acceptable
Silver Immersion Thin layer silver electroless plated Acceptable Silver immersion thickness must be controlled (0.150mm to 0.625mm to minimize micro voids at the solder joint
Gold Immersion Thin layer gold electroless plated Acceptable
HASL Hot air solder leveling Acceptable Process must be controlled to provide solder coverage of small mask openings

ステンシル設計のガイドライン
ステンシルの厚さとパターン形状によって、デバイスのランドパターンに塗布されるハンダペースト量が厳密に決まります。ステンシルのアラインメント精度および均一なハンダ量の送出は、均一なハンダリフローにとって非常に重要です。ステンシルは通常はステンレススチールで作られます。

設計の推奨事項:

  • ステンシルの厚さ
    • 5 mil:ステンシルの開口部はパッドサイズより片側1 milずつ小さくします。
    • 4 mil:ステンシル開口部はPCBパッドサイズと1:1にします。
  • ステンシルの製法
    • レーザーカットと電解研磨の組み合わせによって、通常のレーザーカットステンシルよりハンダ剥離性が向上します。
  • ステンシルの開口部
    • 特に0.5mmおよび0.4mmピッチのパッケージの場合、許容誤差によって実質的に開口部サイズが減少するため、許容誤差を厳密に管理する必要があります。
    • 開口部の側壁はできる限り滑らかにし、角に丸みを付け、断面を台形にすることによって(図6)、開口部からのハンダペーストの剥離性が向上します。
  • QFNのステンシル開口部は、面積比0.66以上という業界標準に適合する必要があります。

図6. ステンシルの断面 図6. ステンシルの断面

サーマルパッド(エクスポーズドパッド)のステンシル設計

推奨事項:

  • ボイドを最小限に抑えるためには一つの大きな開口部ではなくより複数の小さい開口部を使用する
  • ハンダペーストカバー率:50%~80%
  • ハンダペーストの詰まりを最小限に抑えるために、角に丸みを付ける
  • 底面の開口が上面の開口より大きい正のテーパーを付ける

図7. エクスポーズドパッド用ステンシル設計 図7. エクスポーズドパッド用ステンシル設計

ハンダペースト
一般的にQFNの実装には、低残渣、洗浄不要のハンダペーストが使用されます。最小スタンドオフ(パッケージとPCBの距離)の存在によって、パッケージの下に入り込んだフラックスを洗浄することが非常に困難になるため、水溶性フラックスは推奨できません。

0.5mmピッチの印刷には、タイプ3 (またはそれより粒径の小さい)ハンダペーストを推奨します。ハンダリフロー中は窒素ガスでパージすることを推奨します。

推奨鉛(Pb)フリーハンダペースト:SAC305 (Sn-Ag-Cu)合金

ハンダペースト印刷

自動または手動ステンシル/スクリーン印刷機を使用してハンダペーストをPCBランド上に塗布します。

実験計画法(DOE)を常に使用して、最適な印刷パラメータの組み合わせを決めてください。ほとんどの実装業者は以下のパラメータ範囲を出発点として用います。

  • プリントヘッド速度:1~2インチ/秒
  • スキージ印圧:スキージ1インチ当り0.75~1.5ポンド
  • ステンシル下の拭き取り:基板3枚ごと
  • 温度:23℃~28℃
  • 湿度:30%~60% (相対湿度)

ステンレススチールのスキージを使用してください。ファインピッチのデバイスの場合では、ハンダペーストの汚れの原因になるため複数回の印刷は避けてください。

パッケージの配置とアラインメント

従来の配置システムではQFNの外形またはリードの位置のいずれかを配置ガイドとして用いることができます。リードの位置を配置ガイドとして使用する方がより高精度ですが時間がかかり、高度な画像処理システムが必要になります。パッケージ外形による配置方法はより高速ですが、精度は劣ります。請負PCB実装業者は最も妥当な方式を採用して下さい。QFNパッケージは、BGAパッケージと同等の優れたセンタリングセルフアライメント能力を備えていると考えられます。

リフロープロファイル

マキシムのQFNは、すべての業界標準ハンダリフロープロセスと互換性があります。すべての新しい基板設計に対してプロファイルを確認することが重要です。さらに、背の高い部品が基板上に混在している場合、ボード上の異なる位置でプロファイルを確認する必要があります。部品の温度は、周囲の部品、PCB上での部品の位置、およびパッケージ搭載密度によって変化する場合があります。

リフロープロファイルのガイドラインは、実際のリードとPCBランドのハンダ接合部の温度に基づきます。ハンダ接合部の実温度はリフロー装置の設定温度と異なることが多いです。ハンダメーカーの推奨事項に従って、熱電対を使用して実際のハンダ接合部の温度を測定してリフロープロファイル測確認することを推奨します。

ハンダ付け性を向上させ、ハンダボールなどの欠陥を低減するためには、窒素ガス雰囲気中のリフローが推奨されます。図8は、JEDEC J-STD-020によるPbフリー温度プロファイルのリフローの一例です。

図8. JEDECの鉛フリーリフロープロファイル 図8. JEDECの鉛フリーリフロープロファイル

表2. 推奨Pbフリーリフロープロファイル
Lead (Pb) free reflow profile feature Description Pb-Free assembly recommendation
TSmin Min Soak Temperature 150°C
TSmax Max Soak Temperature 200°C
tS Time Between TSMIN and TSMAX 60–120 Seconds
TL Liquidous Temperature 217°C
tL Time Above TL 60-150 seconds
TP Peak Package Body Temperature 260°C
tP Time Within 5°C of TP 30 Seconds
TL to TPRamp-Up Rate 3°C/Seconds (max)
TP to TL Ramp-Down Rate 6°C/Seconds (max)
Time 25°C to Peak Temperature 8 Minutes (max)

ハンダ接合性検査のガイドライン

QFNをPCB上に実装した後の接合性検査は、通常は透過型X線装置を使用して実施されます。X線はリフロープロセスモニターおよび不良解析ツールとして使用されています。ハンダブリッジ、ハンダ切れ、およびボイドを検出するためには最大倍率での斜位像(OVHM)を備えた2D X線システムを推奨します。

ハンダ接合性目視検査の推奨事項

標準QFNパッケージ
一般的に、QFNパッケージが基板に正常にハンダ付けされたかどうかを目視することができません。すべてのリード付きパッケージ技術と同様、リードのエッジはベア銅が露出しています。ベア銅だけではリード側面の濡れ性を十分に確保することはできません。

この部分のハンダ濡れ性の不足を、目視検査での不合格の基準にすべきではありません。パッケージ個片化後に銅が露出するため、マキシムはこれらのリード端子の側面にハンダフィレット(トウフィレット)の形成を保証していません。

Side-Wettable QFNパッケージ
リード側面の濡れ性を向上するために導入されたハーフカット、ハーフエッチ、ディンプルによって、リード端子の側面に目視可能なハンダフィレットを形成します(図9)。フィレットの目視検査によって、端子が正常にPCBパッドにハンダ付けされているかを確認することができます。ハーフカット、ハーフエッチ、ディンプルの高さ部分はすべてハンダフィレットに覆われている必要があります。

図9. ハーフカット式Side-Wettableおよびディンプル式Side-Wettable QFN 図9. ハーフカット式Side-Wettableおよびディンプル式Side-Wettable QFN

PCBの洗浄
低残渣、洗浄不要ハンダペーストを使用する場合、PCBの洗浄は不要です。しかし、さまざまなタイプの洗浄不要ハンダペーストが提供されているため、マキシムはアプリケーション固有の評価を実施し、残渣を基板から除去する必要があるかどうか確認することを推奨しています。

リワークのガイドライン

部品のリワークを行う場合は、適切なリワークステーションを使用してください。

部品取り外し
リワークを行う前に、PCBボードを125℃で少なくとも4時間ベークし、吸湿した水分を放湿してから部品を取り外しすることを強く推奨します。

取り外し中は、対流式ヒーターで基板を裏面から加熱し、部品上部には高温ガスまたは空気を使用することを推奨します。特殊なノズルを使用して熱をその部品のみに向け、隣接する部品への加熱を最小限に抑えてください。

最大部品温度はのハンダの融点217℃以上にする必要がありますが、260℃を超えないようにしてください。接合部のリフローが終わったら冷却するまでの間に真空吸引装置で部品を吸引・取り外しして下さい。真空圧力は15inHg以下に維持し、すべての接合部がリフローされていない場合に部品が吸引されないように注意して下さい。

実装位置の修復
部品の取り外し後、パッドを損傷することなく実装位置を適切に清掃する必要があります。残留ハンダを除去後、溶剤でランドを洗浄します。溶剤は元の実装に使用したペーストのタイプ専用のものを使用します。ペーストメーカーの推奨に従ってください。

ハンダペースト印刷
小型ステンシルを使用してPCB表面の部品実装位置にハンダペーストを印刷することを推奨します。

最初にPCB実装用に提供されたステンシルの厚さ、ステンシルの設計、ハンダの推奨事項、およびスクリーン印刷のガイドラインに従ってください。新しい部品(デバイス)に交換する前に50倍の顕微鏡で実装位置を検査し、ステンシルとパッドの位置合わせをして下さい。

部品配置
QFNパッケージは、BGAパッケージと同等の優れたセンタリングセルフアライメント能力を備えています。リードはパッケージの裏面にあるため、スプリットビーム光学システムを使用して基板上で部品のアラインメントを行ってください。それによって、対応するフットプリント上にリードの画像が重ね合わせて表示され、適切なアラインメントに役立ちます。配置精度が0.05mmの配置装置を使用してください。

リフロー
最初の部品取り付け時に採用したリフロープロファイルを使用して新しい部品を取り付けた後、リフロー後の検査を実施してください。



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© Jun 29, 2017, Maxim Integrated Products, Inc.
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