アプリケーションノート5596

エネルギー測定プロセッサ78M6610+PSUによるインシステム較正


要約:78M6610+PSUは、高出力のスイッチモード電源ユニット(PSU)に組み込まれ、システムの消費電力をリアルタイムで測定して報告するエネルギー測定プロセッサです。あらゆる測定デバイスと同様、その測定値の精度を確保するには、78M6610+PSUとともに使用される検出回路を較正する必要があります。このアプリケーションノートでは、78M6610+PSUを使用した測定サブシステムを較正する方法を説明します。

はじめに

78M6610+PSUは、電圧および電流測定シグナルチェーンの各構成要素におけるシステムごとの差異を考慮した、電圧および電流測定のインシステム較正を行う自動ルーチンを内蔵しています。ACの測定では、1ポイントの較正を実行して、システムの電流および電圧利得の正しい設定値を計算します。この新たに計算した利得は、新しいデフォルト値として内蔵フラッシュメモリに保存することができます。電圧または電流入力のDC成分は、78M6610+PSUファームウェアに実装されたデジタルハイパスフィルタによってすべて除去されます。そのため、DCオフセットの較正は不要であるか、または実行されません。
このアプリケーションノートでは、78M6610+PSUの電圧および電流測定のための較正手順とスケーリングについて説明します。これらの手順が該当するのはファームウェアバージョンCB26だけであり、将来のバージョンでは手順が変わる可能性があることに注意してください。
78M6610+PSUのデータシート78M6610+PSUの評価キットのユーザーマニュアルには、このアプリケーションノートを補足する追加的な情報が記載されています。
このアプリケーションノートで取り上げる実例では、電圧の検出に抵抗分圧器を使用し、電流の測定に電流シャント抵抗を使用するものと仮定しています。その他のセンサーを使用した例は記載していませんが、使用するセンサーのタイプによって較正手順が変わることはありません。「78M6610+PSUEVKを使用した較正手順の例」の項では、標準の78M6610+PSU評価(EV)キットに付属しているGUIと基板を使用した較正手順の実用的な例を示します。

スケーリング値

電圧と電流の測定値を較正し、78M6610+PSUで正しい電力計算を実行可能にするには、最初にユーザーが選択したセンサーやLSBサイズに見合った正しいスケーリング値を設定する必要があります。
ファームウェアは、電流、電圧、電力、周波数のScalingレジスタを提供します。最初の3つ(電流、電圧、電力)については、これらのScalingレジスタに次の2つの機能があります。
  1. 想定される測定のフルスケール値を設定する。
  2. 報告される値の分解能(最小有効ビット(LSB)の値)を設定する。
最後の項目(周波数)については、スケーリングパラメータではフルスケール値を規定しませんが、分解能は設定します。

スケーリング値の決定

Scalingレジスタ用に選択する値は、78M6610+PSUのアナログ-デジタルコンバータ(ADC)の入力範囲、対象システムや評価(EV)ボード上に実装されたセンサーと入力信号調整回路、および78M6610+PSUのデータワードの長さによって決まります。

ADCの入力範囲

78M6610+PSUのADCの入力範囲は、3.3V電源(V3P3A)基準の±250mVです。電圧と電流のスケーリング値を決定する際の最初のステップは、78M6610+PSUのADC入力に対して±250mVのピークを生み出す(センサー入力の)ピーク入力電圧と電流を決定することです。次の例を考えます。
78M6610+PSUのEVボードには、図1に示すような、1MΩの抵抗2つと750Ωの抵抗1つを直列に接続したライン電圧測定用の分圧器が実装されています。
図1. インレット電圧検出用の分圧器
図1. インレット電圧検出用の分圧器
ライン電圧は抵抗チェーン全体に印加されます。ADC入力は750Ω抵抗の両端の電圧です。ADCの入力電圧(VADC)は、次のように計算することができます。
VADC = VLINE × (750/(750 + 2 × 106)) (式. 1)
この式は入力ライン電圧を0.000375倍しています。この分圧器を使用した場合、78M6610+PSUで測定可能な最高電圧は次のとおりです。
VMAX = ±0.25V/0.00375 ±667VPEAK (式. 2)
したがって、正弦波の電圧波形を仮定すると、この分圧器の最高入力電圧は±667VPEAK (472VRMS)です。
78M6610+PSUのEVボードでは、電流の測定に0.004Ωのシャント抵抗を使用します。この抵抗の両端で±250mVの降下を生み出す電流量は、次のとおりです。
IMAX = (±0.250V)/0.004Ω ±62.5APEAK (式. 3)
4mΩのシャントで測定可能な最大ピーク電流は62.5Aです。正弦波の電流波形では、これは44.19ARMSに相当します。測定する最大電流を決定する際は、RMS電流よりもピーク電流を考える必要があります。電源アプリケーションでは、最大負荷時の電流波形は、力率補正によってほぼ正弦波になるのが普通です。そのため、波高率(RMS電流に対するピーク電流の比)を1.414~1.5と仮定するのが妥当です。
これらの計算は、電圧と電流のスケーリング値の上限を示しています。Scalingレジスタの設定値は、ファームウェアで測定や報告が可能な最大規模の入力を規定します。

測定の分解能

Scalingレジスタの値は、報告される測定値の分解能も設定します。電圧、電流、および電力については、スケーリング値は測定の基本単位(V、A、W)を目的の分解能またはLSBの重みで除算することによって計算されます。
VScale = VMAX/(電圧のLSBの重み) (式. 4)
IScale = IMAX/(電流のLSBの重み) (式. 5)
表1表2に示すように、LSBの重みは小数の測定単位とは限りません。
表1. VScaleの例
Maximum Peak Voltage (V) Voltage Resolution (V) VScale Register
667 1 667
667 0.001 667000
170 1/2048 348160
表2. IScaleの例
Maximum Peak Current (A) Current Resolution (A) IScale Register
32 1/2048 65536
62.5 0.001 62500
62.5 0.0000078125 8000000

PScaleの値

電力は電流と電圧の積であるため、PScaleレジスタの入力値は、VScaleレジスタとIScaleレジスタの値を決定する際に使用した最高ピーク電圧値と最大ピーク電流値の積、および目的の電力報告の分解能によって決まります。
PScale = (VMAX × IMAX)/(電力のLSBの重み) (式. 6)
たとえば、VMAX = 200Vで電圧の分解能が10mV/LSB、IMAX = 20Aで電流の分解能が1mA/LSB、電力のLSBの重みが1mWである場合、PScaleは次のように計算されます。
PScale = (200 × 20)/0.001 = 4000000 (式. 7)
すべてのスケーリング値、特にPScaleはサイズに制限があります。スケーリング値は、78M6610+PSUの24ビットのデータワードに収まる必要があります。スケーリング値は24ビットの整数として実装されますが、常に正の値でなければなりません。24ビットの整数で表すことができる正の最大値は、8,388,607 (223 - 1)です。計算されたスケーリング値が8,388,607を超える場合は、最大値、LSBの重み、またはその両方を調整して、24ビットの符号付き整数として表すことができる正の値にする必要があります。78M6610+PSUEVKのデフォルトのスケーリングを表3に示しています。
表3. 78M6610+PSUEVKのデフォルトのスケーリング
  Maximum Resolution Scaling Value
Voltage 667V 0.001V 667000
Current 62.5A 0.0000078125A (1/128mA) 8000000
Power 41687.5W 0.005W 8337500
78M6610+PSUEVKのPCデモプログラムは、データ値の表示や較正目標値の入力の際にスケーリングパラメータを考慮します。

TScale、PFScale、FScale

残りのスケーリング値(TScale、PFScale、FScale)は、較正や測定値のフルスケール範囲に直接影響を与えません。値の報告に関わる分解能(LSBの重み)を規定するだけです。たとえば、FScaleが1000に設定された場合、周波数は1/1000Hzの分解能で報告されます。また、PFScaleを1000に設定すると、力率が小数点以下3桁で報告されます。

測定上の考慮事項

ほとんどの場合、電源アプリケーションにおける測定の対象は、電圧、電流、および電力です。これらの測定は、システムの電源インレットにおいて行われます。しかし、電気的絶縁、物理的制約、EMIといったシステム上の考慮事項のために、電源インレットにおける直接測定が現実的でない場合もあります。高い精度を実現するには、較正時に測定ポイントより前にある部品を考慮する必要があります。スイッチモード電源では、図2に示すように、電圧と電流の測定を入力EMIフィルタのセクション間で行うのが一般的です。この場合、フィルタコンデンサ(一般にXおよびYコンデンサと呼ばれる)を流れる電流やPCBトレースとコモンモードチョークでの電圧降下は78M6610+PSUによって測定されませんが、測定において考慮する必要があります。
図2. 電源内の標準的な測定位置
図2. 電源内の標準的な測定位置
78M6610+PSUのファームウェアは、これらの直接測定することができない電圧や電流成分に関して特に補償を行うように設計されています。これらの成分の補償係数は、テストデータから計算した固定値として入力することができます。ファームウェアには、XおよびYコンデンサの正しい係数やすべての電圧降下を算定するための自動較正ルーチンも組み込まれています。

一般的な較正

デバイスの一般的な較正を行う場合、ユーザーはCommandレジスタによって較正ルーチンを設定して開始することができます。較正処理が完了すると、(Calibrationコマンドを発行するために0xCAに設定した) Commandレジスタのビット23:16がクリアされ、較正に成功したパラメータに対応するビットもクリアされます。失敗したパラメータに対応するビットはセットされたままです。Commandレジスタのビットマップを図3に示しています。較正が完了した後、Access (ACC)コマンドを発行することによって、新しい係数をデフォルトとしてフラッシュメモリに保存することができます。
図3. 78M6610+PSUのCommandレジスタのビットマップ
図3. 78M6610+PSUのCommandレジスタのビットマップ
このアプリケーションノートの以下の各項では、78M6610+PSUを使用する際の具体的な較正プロセスについて説明します。

電圧および電流利得の較正

78M6610+PSUの較正を正常に実行するには、「スケーリング値の決定」の項で説明したように、システムで使用しているセンサーに基づいて、ユーザーが電圧と電流の適切なスケーリング係数を設定する必要があります。
図4に示すように、システムに既知の安定した電圧ソースと負荷を提供し、較正対象のセンサーには安定したAC電源と負荷を印加する必要があります。印加したAC電源に相当する値(通常、電力計で測定)を、該当するTargetレジスタ(VTarget、ITargetなど)に入力する必要があります。
較正を開始するには、CommandレジスタにCalibrationコマンドを書き込みます。較正中はラインロックモードを設定することが推奨されます。
最初に、選択したパラメータについて利得の値がユニティに設定されます。次に、すべての入力についてRMS値が計算され、CalCycレジスタによって設定される測定サイクル数にわたって平均が求められます。該当するTargetレジスタの値を測定値の平均で除算することによって、新しい利得が計算されます。その後、エラーが発生しなければ、選択されたGainレジスタにその新しい利得が書き込まれます。電圧および電流利得の計算は、目標値(レジスタVTargetとITargetによって入力)と測定値との誤差に基づいています。この誤差は複数の測定値の平均であるため、安定したソースと負荷が必要になります。
完了すると、Commandレジスタでコマンドのビットがクリアされ、システムセットアップのビットだけが残ります。較正に失敗した場合は、Commandレジスタで該当するビットがセットされたままになります。較正ルーチンは、新しい利得係数を該当するレジスタに保存します。新しい係数をデフォルトとしてフラッシュメモリに保存するには、ユーザーがAccessコマンドを発行する必要があります。
図4. システム較正の標準的な接続
図4. システム較正の標準的な接続

オフセットの較正

78M6610+PSUのファームウェアには、Offsetレジスタ(Ioff, Voff)の較正用にルーチンが組み込まれています。
オフセットを較正するには、すべてのDC信号をすべての入力から除去する必要があります。AC信号が存在しても較正を行うことは可能です。Commandレジスタで、ユーザーはどのチャネルを較正するかを指定します。Targetレジスタは、オフセットの較正には使用しません。
較正プロセス中は、CalCycレジスタによって指定された較正期間全体にわたって各入力が積算されます。結果はサンプルの総数で除算され、特定のOffsetレジスタがCalibrationコマンドで選択されていた場合、該当するOffsetレジスタに書き込まれます。Offset Calibrationコマンドは、ハイパスフィルタ(HPF)の係数(HPFCoeffV、HPFCoeffI)を0に設定することによって、Offsetレジスタ(Ioff、Voff)をそれぞれの較正値に調整します。
新しい係数をデフォルトとしてフラッシュメモリに保存するには、ユーザーがAccessコマンドを発行する必要があります。

X+YコンデンサとRの補償係数の較正

ほとんどの大電力アプリケーションでは、図5に示すように、ライン入力フィルタを使用してEMI放射を最小限に抑えます。78M6610+PSUより前にあるフィルタコンデンサの電流(ICAP)を測定することはできません。電流は電圧に対して90°位相シフトしているため、電力の測定に影響はありません。ただし、電流の測定で高い精度を得るには、総電流(IRMS)の計算でコンデンサの電流を考慮する必要があります。
フィルタコンデンサの値から計算される補償係数の固定値を使用することができます。フィルタコンデンサに許容差(多くの場合、±20%)があるため、電流の測定精度を引き上げるには、システムごとに固有の係数が必要になることがあります。78M6610+PSUには、X+Yコンデンサの補償係数用に較正ルーチンが組み込まれています。X+Yコンデンサの補償係数のルーチン較正では、図5に示すように、測定された電圧と周波数のほか、外付けの電力計を使用して測定された目標電流を利用します。
較正を開始するには、ユーザーがビットX、Y、R、Iのほか、ラインロックなどの必要なオプションをセットしてCalibrationコマンドを書き込みます。較正プロセス中は、CalCycレジスタによって指定された較正期間全体にわたって各入力が積算されます。完了すると、バルク容量の見積値でXYcompパラメータが書き込まれます。較正ルーチンは、新しい利得係数を該当するレジスタに保存します。
このルーチンは再帰的ではありません。電流の読取り値が目標電流と一致するまで、ユーザーがCalibrationコマンドを再発行することが必要な場合があります。
新しい係数をデフォルトとしてフラッシュメモリに保存するには、ユーザーがAccessコマンドを発行する必要があります。
図5. 標準的な較正回路におけるライン入力フィルタを使用したEMIの抑制
図5. 標準的な較正回路におけるライン入力フィルタを使用したEMIの抑制

チップ内温度の較正

チップ内蔵の温度センサーを較正するには、最初にユーザーが「T」コマンドビットのみを「1」に設定する必要があります(他のビットはすべて0)。このコマンドによって、78M6610+PSUのファームウェアによるTempCレジスタの上書きが防止されます。次に、既知のチップ温度をTempCに書き込む必要があります。最後に、Calibrationコマンドを0xCA0400 (温度の較正)に設定します。これによって、ユーザーが設定した既知の温度に基づいてToffパラメータが新しいオフセットで更新されます。
新しい係数をデフォルトとしてフラッシュメモリに保存するには、ユーザーがAccessコマンドを発行する必要があります。

外部温度の較正

外部温度を較正するには、最初にユーザーが「X」コマンドビットのみを「1」に設定する必要があります(他のビットはすべて0)。これによって、78M6610+PSUのファームウェアによるExtTempレジスタの上書きが防止されます。次に、既知の外部温度の読取り値をExtTempに書き込む必要があります。最後に、Calibrationコマンドを0xCA0100 (外部温度の較正)に設定します。これによって、ユーザーが設定した既知の外部温度値に基づいてXgainパラメータが新しい利得で更新されます。
新しい係数をデフォルトとしてフラッシュメモリに保存するには、ユーザーがAccessコマンドを発行する必要があります。

較正の手順

78M6610+PSUの較正機能は、較正ポイントや較正の実行順序に関して高度な柔軟性を備えています。たとえば、電流と電圧の較正は順次行うことも、同時に行うこともできます。ファームウェアは、電流の較正を完了すると、電圧の較正が要求されているかどうかを確認します。必要な場合、電圧の較正が開始されます。電圧と電流の較正は任意の動作ポイントで実行可能ですが、システムの特性に基づいて較正ポイントを選択することによって最適な精度が得られます。
温度の較正など、その他いくつかの較正処理は別の処理として実行する必要があります。図6の楕円で表された較正機能に終了の矢印が記されていない場合は、いったんその較正機能が完了したら、別のCalibrationコマンド(0xCA0000 + 要求ビット)がCommandレジスタに書き込まれるまで、ファームウェアがそれ以上の較正処理を開始しないということです。たとえば、チップ温度(ビット10)、電流(ビット11)、電圧(ビット12)がすべて同時に要求された場合は、温度の較正(ビット10)のみが実行され、電流(ビット11)と電圧(ビット12)はセットされたままになります。
ファームウェアが各種の較正の要求を処理する順序を図6に示しています。図6を検討する際は、図3のCommandレジスタのビットマップを参照するとわかりやすいでしょう。
図6. 78M6610+PSUのCalibrationコマンド処理のフローチャート
図6. 78M6610+PSUのCalibrationコマンド処理のフローチャート

推奨される較正順序

各種の較正処理を実行する順序は、想定される動作範囲全体にわたって測定結果の精度に影響を与えます。下に示す順序で実行すると、最良の結果が得られます。
  1. PSUの設計電圧範囲の下端に近いACインレット電圧で電流の測定を較正します。PSUには、リファレンスメーターの表示で0.9以上の力率が得られるように負荷を掛ける必要があります。低いライン電圧で電流の較正を行うと、リファレンスメーターによって測定される一方、計測デバイスによっては測定されないXおよびYコンデンサの電流が最小限に抑えられます。
  2. 高いライン電圧と小さな電流(IRMS < 500mA)で電圧の測定を較正します。電圧の測定と電流の測定に依存関係はありません。小さな入力電流で電圧を較正すると、PCBや、AC電源インレットと78M6610+PSUの測定ポイントの間にある部品における電圧降下が最小限に抑えられます。
  3. 高いライン電圧と小さな電流でX+Yコンデンサの補償を較正します。高電圧ではXおよびYコンデンサの電流が増大し、小電流では78M6610+PSUで測定した電流に対するコンデンサ電流の比が増大します。これによって、X+Yコンデンサの補償の較正結果が改善します。
  4. 低い入力電圧と大きな電流でRの補償を較正します。大電流では、PCBやEMIフィルタにおける電圧降下の幅が増大します。低入力電圧では、78M6610+PSUで測定した電圧に対する、インレットと測定ポイント間の電圧降下の比が増大します。
  5. 更新された較正値をフラッシュメモリに保存します。
表4. 較正とスケーリングのチェックリスト
Step Description
1 Calculate the new voltage, current, and power scaling values based on the sensors used in the system and the desired resolution. Set the VScale, IScale, and PScale registers accordingly and store these parameters in flash memory.
2 Calculate the frequency and power factor scaling parameters to obtain the desired resolution (if required). Set the relevant FScale and PFScale registers and store these parameters in flash memory.
3 Connect source and load for voltage and current calibration. Set the calibration point values.
4 Set the VTarget, ITarget, and TTarget registers.
5 Perform VCAL , ICAL, and TCAL.
6 If necessary, perform XYComp and RComp calibrations.
7 Store the newly calculated coefficients in flash memory.

78M6610+PSUEVKを使用した較正手順の例

この項では、750Wのサーバー電源に接続した標準的な78M6610+PSUのEVボードを使用した場合の較正手順について、順を追って説明します。較正には2つのポイントが必要であり、電圧、電流、およびX+Yコンデンサの補償係数を対象とします。
電源は、EVボードを簡単に接続することができるように変更を加えてあります。測定位置は、この種のアプリケーションに標準的なものです。図7は、電源の入力段(EMIフィルタ)とEVボードを示しています。
図7. 較正例のテスト回路
図7. 較正例のテスト回路
78M6610+PSUのインシステム較正を実行するには、安定したAC電源とその電源の出力に対する負荷が必要です。インレット電流と電圧が既知であることも必要です。AC電源から電流と電圧の正確な読取り値が得られない場合は、電力計が必要です。
この例では、次の機器を使用します。
  • AC電源:Chroma®モデル6430
  • 電力計:Chromaモデル66202
  • DC負荷:Chromaモデル6314、63106 (DC負荷メインフレームとDC電子負荷モジュール)
  • 78M6610+PSUEVKに付属の標準GUIを搭載したコンピュータ
ステップ1. 電流利得の較正
このステップ(図8参照)では、電流利得を較正します。X+Yコンデンサの補償係数の値は、0に設定する必要があります。ユニティに近い力率を得るために、電源の出力に負荷を掛ける必要があります。力率は電力計で測定します。電源の入力は、動作電圧の下位レンジ(100VACなど)に設定する必要があります。こうしてフィルタコンデンサの電流の影響を最小限に抑えることによって、より高い精度を得ることができます。電力計で読み取った電流値を新しい目標電流として入力する必要があります。また、Calibrationコマンドを入力する必要があります。
図8. 78M6610+PSUEVKのGUIにおける電流利得の較正
図8. 78M6610+PSUEVKのGUIにおける電流利得の較正
ステップ2. 電圧利得の較正
第2のステップ(図9参照)では、電圧利得の較正を行います。このステップでは、出力の負荷を低減することができます。入力電圧は上位レンジに設定する必要があります。
図9. 78M6610+PSUEVKのGUIにおける電圧利得の較正
図9. 78M6610+PSUEVKのGUIにおける電圧利得の較正
ステップ3. X+Yコンデンサの補償係数の較正
第3のステップ(図10参照)では、X+Yコンデンサの補償係数を設定します。
図10. 78M6610+PSUEVKのGUIにおけるX+Yコンデンサの補償係数の較正
図10. 78M6610+PSUEVKのGUIにおけるX+Yコンデンサの補償係数の較正
ステップ4. 新たに計算した係数をデフォルトとしてフラッシュに保存

精度の結果

較正後の精度の結果を図11図12に示しています。
図11. 120VRMSにおける負荷ライン
図11. 120VRMSにおける負荷ライン
図12. 230VRMSにおける負荷ライン
図12. 230VRMSにおける負荷ライン

結論

多くのシステム(サーバー電源など)では、電力、電流、電圧や、負荷のあらゆる電気的特性がリアルタイムで正確に報告される必要があります。こうした報告は、負荷の正しい管理や診断に必要です。高い精度を実現するには、インシステム較正が推奨されます。このアプリケーションノートで説明したとおり、78M6610+PSUには、高速なインシステム較正を実行するためのルーチンが内蔵されています。これらのルーチンによってテストや較正の時間を短縮し、ひいてはコストを削減することができます。


ChromaはChroma ATE Inc.の登録商標です。



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