アプリケーションノート1891

ウェハレベルパッケージ(WLP)とその応用


要約:このアプリケーションノートは、マキシムのウェハレベルパッケージ(WLP)について解説し、WLPのためのPCB設計とSMT実装のガイドラインを提供します。

はじめに

ウェハレベルパッケージ(WLP)は、小型サイズと低インダクタンスという利点を提供します。マキシムのWLPは、ウェハ上に製造されます。WLP本体の機械的強度を高めるため、裏面ラミネートが適用されます。ダイからPCBへの相互接続として鉛フリーはんだボールが使用されます。パッケージ外形の例を図1に示します。

図1. WLPのSEM写真 図1. WLPのSEM写真

マキシムはWLPをテープ&リール(T&R)形式で出荷しています。テープ&リールの要件は、EIA-481規格に基づいています。

T&Rに関する追加情報 ›

図2. 0.4mmピッチWLPのパッケージ外形図 図2. 0.4mmピッチWLPのパッケージ外形図

PCBデザイン

2種類のランドパターンが表面実装パッケージに使用されます(図3)。

  • NSMD (非はんだマスク定義)パッド:はんだマスクの開口部は金属バッドより大きくなります。NSMDパッドのサイズは、金属パッドと同じです。
  • SMD (はんだマスク定義)パッド:はんだマスクの開口部は金属パッドより小さくなります。SMDパッドのサイズは、はんだマスクの開口部のサイズになります。

図3. NSMDおよびSMDランドパッドパターンの図解 図3. NSMDおよびSMDランドパッドパターンの図解

NSMDおよびSMDの両方のパッドがアプリケーションで使用されますが、NSMDパッドが推奨されます。NSMDパッドには、パッドの寸法がより高精度で、基板側のはんだ接合の信頼性が高いという利点があります。特定の実装面積では、1つのタイプのパッド(NSMDまたはSMD)および1つのタイプのパッド表面処理のみを使用してください。推奨されるパッドサイズを表1に示します。はんだ接合形状の変形の原因になるトレースへの過度のはんだ流れを防ぐため、NSMDパッドへの接続部でのトレースの幅は100µm以下にしてください。トレースクラックの危険性を低減するため、トレース接続部はティアドロップ形状が推奨されます。

大電流の伝送などの理由でパッドへの広いトレース接続部が必要な場合は、SMDパッドを使用することができます。SMDパッドの場合は、より大きい金属パッドおよび太い金属トレースを使用することができます。

ビアインパッド(VIP)は許容されます。VIPにディンプルがあると、実装時にはんだボイドが発生する可能性があります。VIP部の小さいボイドによって、はんだ接合の信頼性が大幅に低下することはありません。ビアの品質が許容可能かどうかを評価することを推奨します。ビアキャッピングによって完全に平坦なVIPを実現することができますが、必須ではありません。PCBの信頼性を向上させるため、VIPをコーナーボールの位置に配置することが推奨されます。

表1. 推奨NSMDパッドデザイン
Ball Pitch(mm) Acceptable PCB Pad Diameter (µm) Recommended PCB Pad Diameter (µm)
0.5 220 to 280 250
0.4 200 to 260 250
0.35 190 to 220 200
0.3 160 to 190 180

PCB表面処理

OSP (有機はんだ付け性保護材)、ENIG (無電解ニッケル/無電解金メッキ)、電解ニッケルメッキ/金メッキ、ENEPIG (無電解ニッケル/無電解パラジウム/無電解金メッキ)、無電解銀メッキ、および無電解錫メッキ処理が業界で使用されています。落下試験での信頼性を必要とするアプリケーションには、OSPが推奨されます。

SMT実装

WLPの実装には、標準的なSMT機器および処理が使用されます。処理の流れは以下のとおりです。

受入WLP検査
ペースト塗布
WLPのピックアンドプレース
はんだリフロー
フラックス洗浄(オプション)
検査

はんだペーストまたはフラックス印刷およびフラックスディップの両方の方式で、許容可能な実装品質と信頼性が提供されます。マキシムのWLPは、JEDECレベル1耐湿性分類に適合しています。実装前のベイク処理は不要です。

ステンシル設計

はんだペースト、ペーストフラックス、または液体フラックスは、実装前にステンシルを使ってPCBに印刷することができます。ナノコーティングを施した高品質レーザーカットステンレス鋼ステンシルは、転移効率と一貫性を向上させるため、WLP (特にピッチが0.4mm以下のもの)に推奨されます。それらのファインピッチWLPの実装には、はんだペースト検査(SPI)も推奨されます。最適なステンシルの開口部サイズは、ステンシルの製造技術、印刷機器、はんだペーストのタイプ、および工程のパラメータによって異なります。推奨されるステンシルの厚さと基準開口部サイズを、表2に示します。

表2. ステンシルの厚さと開口部
WLP Ball Pitch 0.5mm Pitch 0.4mm Pitch 0.35mm Pitch
Recommended stencil thickness 4 mils 4 mils 4 mils
Reference stencil aperture size 250µm 250µm 200µm

0.3mmピッチのWLPのペースト印刷は、難しい作業です。機器の機能、はんだペーストの選択、およびステンシルの技術に基づいてステンシル設計を決定してください。あるいは、フラックスディップ方式を使用することもできます。

はんだペースト

WLPの実装には、従来の鉛フリーはんだペーストを使用することができます。0.5mmおよび0.4mmピッチのWLP実装にはタイプ3のペーストを使用することができますが、0.35mmおよび0.3mmピッチのWLPにはタイプ4のペーストが推奨されます。鉛フリーWLPの実装には、SnPbはんだペーストを使用しないでください。

自動部品ピックアンドプレース

マキシムのWLPの配置には、標準的なピックアンドプレース装置を使用することができます。精度を高めるため、ファインピッチICパッケージ配置装置が推奨されます。プラスチック製のピックアップノズルが推奨されます。ピックアンドプレースの力は2N以下にしてください。

WLPの本体外形を部品の認識に使用することができます。配置の精度を高めるため、はんだボールを位置揃えに使用することができます。この方式では、ルックアップカメラを使用してはんだボールを認識します。装置がボールアレイ自体を実装面積に挿入することによって、より高い位置決め精度を実現します。

リフロー

マキシムの全WLPは、業界標準のはんだリフロー処理に対応しています。最適化されたリフロープロファイルは、フラックスのタイプおよび基板にはんだ付けする全部品を考慮に入れます。窒素不活性気体リフローの使用はオプションです。エアリフローに比べて、パッド上での鉛フリーWLPのセンタリングが向上し、はんだの酸化が少ないことが示されています。

フラックス洗浄

特に無洗浄タイプのはんだペーストを使用する場合、リフロー後の洗浄は推奨されません。洗浄が必要な場合は、浸漬下噴霧または超音波浸漬洗浄法が推奨されます。フラックス、ペースト、および洗浄剤の互換性に関する詳細な研究を評価する必要があります。

アンダーフィル

一般に、WLPにはアンダーフィル材は不要です。特定のアプリケーションでは、適切なアンダーフィル材を選択した場合、アンダーフィルによってWLPの機械的堅牢性を高めることができます。

リワーク

リワークは推奨されません。リワークを行う場合は、機械的損傷およびESD損傷を防ぐ、制御された認定済みの処理のみを使用してください。

信頼性

信頼性の要件を表3に示します。

表3. 信頼性認定の要件
Stress Specification Abbv Condition No. of Lots/SS per Lot Duration/Acceptance
MSL Preconditioning JESTD20 PC MSL1 3 lots/150 units Visual and Electrical test
High Temperature Storage JESD22-A103 HTS 150°C 3 lots/77 units 1000hrs/0 Fail
Temperature Cycling JESD22-A104 TC

-40°C to
+125°C
1 cycle/hr

3 lots/77 units

1000 cycles for array size ≤ 6x6/note

500 cycles for array size > 6x6/note
Operating Life Test JESD22 A108 HTOL TJ = 135°C 3 lots/77 units 1000hrs/0 Fail
Drop Test JESD22-B111 DT Cond B 1 lot/60 units 150 drops/note
注:信頼性ストレスに関して規定された回数において90%の信頼度レベルで5%以下の故障率に適合。

熱性能

熱モデリングは、JEDECの静止空気条件で行われています。0.5mm、0.4mm、および0.35mmピッチWLPのジャンクション-周囲間熱抵抗値を、それぞれ表4表5、および表6に示します。

表4. 0.5mmピッチWLPの熱抵抗
Array Size Pitch (mm) θJA (°C/W) for 2S2P Board
2x2 0.5 87.4
4x4 0.5 49.1
6x6 0.5 37.7
8x8 0.5 31.6
10x10 0.5 27.7
12x12 0.5 24.8
14x14 0.5 22.5
表5. 0.4mmピッチWLPの熱抵抗
Array Size Pitch (mm) θJA (°C/W) for 2S2P Board
2x2 0.4 102.6
4x4 0.4 57.9
6x6 0.4 45.7
8x8 0.4 38.2
10x10 0.4 33.6
12x12 0.4 30.2
14x14 0.4 27.5
表6. 0.35mmピッチWLPの熱抵抗
Array Size Pitch (mm) θJA (°C/W) for 2S2P Board
2x2 0.35 104.61
4x4 0.35 66.97
6x6 0.35 53.16
8x8 0.35 45.19
10x10 0.35 39.54
12x12 0.35 35.36
14x14 0.35 32.16


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© Aug 14, 2003, Maxim Integrated Products, Inc.
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APP 1891: Aug 14, 2003
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